「毎月新しい国や街へと旅しながら働く」
フリーランスなら一度は憧れを抱くであろう働き方を支援しているグループをご存知ですか?
その名も、リモートイヤー(RemoteYear)。
「自分の眼で世界を見たい、異文化に出会いたい」という、各国のリモートワーカー同士が旅の道中で仲良くなり、各国の文化にふれながら、自分自身の内面とも向き合っていく。そんなエキサイティングな1年を過ごすプログラムを提供しています。
リモートイヤーとは、リモートワークをしながら毎月新しい国や街へと旅するプログラムのこと。2015年6月に開始したアメリカのスタートアップRemoteYearが企画提供しています。初回2016年度では75人の枠に対し25,000人の応募者が殺到し、世界から注目を集めている。
この魅力たっぷりなプログラムに参加している世界各地メンバーが、日本の京都に滞在しているということで、RemoteYear参加中の4名が実体験を語り尽くす「未来の働き方~旅をしながら仕事をする~」というイベントが開催されました。
ときは2017年11月24日(金)、場所は京都のandwork。The Millenniaks KYOTOというホテルのロビーをワークスペースにしている、なんともユニークなコンセプトの会場です。
美味しいドリンクを片手に、他の訪問者と交流するもよし。仕事にガッツリ集中するもよし。心豊かな時間を過ごせて、仕事もはかどること間違いなしの素敵な空間です。
所在地: 京都市中京区河原町三条下ル2丁目山崎町235HP: https://www.xandwork.com/ |
旅から、Remote Year参加者たちが得たものは何か?
「世界を旅しながら働く」を実践するうえで意識していることは?
この記事では、トークセッションやQ&Aで、フリーランスにとって重要なポイントをピックアップ。新たな働き方を挑戦・支援する個人・企業のインタビューがライフワークの1つとなっている、ライターの松尾美里がお届けします。
対談相手は、SoloPro運営の松田然、女性に向けたコーチングで独立し、海外セミナーや、国内各地での起業塾やアカデミーを開催する鈴木実歩さん。
「旅しながらリモートワーク」に関心のあるフリーランス、複業やパラレルキャリアに興味がある方、必読です!
Contents
【登壇者紹介:Speaker】
■Daire Summerville
is a digital analytics specialist from the west coast of Ireland. A business graduate from the University of Limerick in Ireland, Daire has worked in digital marketing for the past 6 years in both the education and healthcare sectors for companies of varying sizes from start-ups to multinationals. Daire currently works on the Digital Marketing team at Abbott Laboratories and has been working remotely for the past 2 years.
■Dr. Bria White
PMP, CSPO is currently serving in leadership role at America’s #1 University for Innovation, Arizona State University. She has been an Educator and serial IT entrepreneur for 30+ years. She has been called an “Inspiration,” a “Realist” and a “True Leader” for her practical approaches to mentoring and coaching “Start-up” teams.
■Tanner Spees
has founded and run his own Digital Personal Training company for 6 years now, Spees Fitness. In addition to being a young Entrepreneur at the age of 23, he’s also a Professional Ultramarathon Runner and has been traveling solo as a Nomad for years.
■Emily Mitnick
is a Strategic Account Director for Stylus, a leading innovation and advisory firm. Emily has worked in trends for a number of years helping some of the best-known global brands and creative agencies identify the most relevant global consumer lifestyle, product design and engagement trends. Her client list includes well known brands like Nike, Sephora, Starbucks, Samsung, Apple and Estee Lauder. With a background in consulting and communications, Emily applies a unique conceptual and emerging opportunity analysis. Her experience across markets from food, fashion, hospitality, tech, automotive through to retail, fuels her ability to identify cross-industry implications and applications of research.
■松田 然
フリーランスの働き方をアップデートするメディア「SoloPro」編集長。働き方実験家。ライターカンパニー「合同会社スゴモン」代表。自転車旅ライター(仕事をしながら47都道府県走破)、月の半分は旅か出張で東京以外で過ごすライフスタイルを実験中。他、フリーランス向けのコーチングやオンラインサロン「FreeRun`s」も主宰している。
■鈴木 実歩
未来シフト株式会社代表取締役社長 大手化粧品会社のマーケティング部や、上場企業のIRで働きながらも、なかなか仕事に夢中になれず、将来に対する漠然とした不安を持ち続ける。30歳の誕生日に人生を変える決意をし、女性に向けたコーチングで独立。SNSを使った発信戦略と集客メソッドで、3ヶ月後にはコーチングで月商100万円を超える。現在は、会社設立1年目で年商1億円越え、海外セミナーや、国内各地で起業塾やアカデミーを開催。プライベートでも毎月国内外を旅行するなど、旅のあるライフスタイルを送っている。
「旅は幸せの源泉」
RemoteYearに参加した4名のスピーカーへの最初のお題は、「なぜリモートイヤーに参加しようと決めたのか?」
最初のスピーカーは、デジタルマーケティングアナリストとして6年間キャリアを積んできたDaire Summervilleさん。「多様なカルチャーにふれて、新たな学びを得たい」という一心でリモートイヤーに参加したといいます。WEBのトラフィック分析をする業務には、各地域の人が日々どんなふうにスマホやラップトップを使っているのかを見聞きする経験が活きているそうです。
つづいてTannerSpeesさんは23歳にして会社を2社立ち上げた経営者。彼が実践するのは、1つのホームといえる拠点を定めない「無拠点生活」。このRemote Yearが終わったら、また新たな地に住むそうです。
このお話を聞いて思い出したのが、エストニアをベースに無拠点生活をめざす千葉恵介さん。スマートフォンやラップトップがあれば、1つの場所に依存することなく、やりたい仕事に取り組めるのが今の時代だと再認識しました。
3人目のスピーカーは、アカウントプランナーとして活動するEmily Mitnickさん。RemoteYearへの参加を決めた理由は「旅が幸せの源泉」だから。Emilyさんはこれまでニューヨークで10年間働いていました。しかし現実は、通勤ラッシュに毎日巻き込まれ、移動だけで疲弊する日々。それを変えるにはRemoteYearのような働き方がピッタリで、旅をしているときがベストな状態でいられると感じているそうです。
そして4人目のスピーカーは、アメリカの大学にてイノベーションやリーダーシップについてコーチングやメンタリングを行うDr. Bria Whiteさん。子育て中は異国を旅する機会はなかったけれど、子どもがみんな成人し、時間に余裕ができたので旅を始めたといいます。旅をすることがもはやライフスタイルの1つになっており、RemoteYearもその一環で参加したそう。
「自分が生産性高く、居心地よく働くためには?」という問いを原点にして、自分の心に素直になり、より良い働き方、働く場所を考える。すると、日本にとらわれず「多様な国・地域で働くこと」が、選択肢の1つになります。
こうした発想をもつことで、仕事の効率やクオリティも上がり、それがより本質的な「働き方改革」の実現につながるのではないか、と感じました。
本業 × 「旅しながら働く」のシナジーは? 最重要ミッションは周囲の理解を得ること
トークセッションで興味深かったのは、2017年度の参加者、約60名のうちフリーランスは60%(そのうち20%は起業家)で、40%は会社に所属しているという事実。働く時間や場所に制約が多いとされる会社員でもトライできることに驚きでした。
ということは、会社の承諾といったハードルがない分、より柔軟に働けるフリーランスにとってRemoteYear的な働き方のハードルが低い、と前向きに捉えられるかもしれません。
また、本業とのシナジーとして、「旅しながら働く」を続けることで、「多様な視点、受け取り方があることが実感としてわかり、自分の仕事において『これが必ず正解』という断定的な見方をしないようになった」と話すスピーカーもいました。
ただし会社員の場合は、「旅しながら働く」という斬新なワークスタイルを上司や同僚に理解してもらうのが大変だったというケースもあります。
大学での教員をしているDr. Bria Whiteさんは、「旅しながら働く」経験が業務にもたらすメリットを示す資料を作成し、上司にプレゼンして見事許可を勝ちとりました。
RemoteYear的な働き方を実践するには、顧客や取引先、パートナー(会社員の場合は上司や同僚)に理解してもらい、協力をあおぐことは最重要ミッションといってよいでしょう。そのためには、本業と旅とのシナジーを明確にした説得材料を用意することが大事になります。
旅先を満喫する時間、仕事に集中する時間。どうバランスをとる?
訪れた国それぞれの習慣、さまざまな言語や、食文化、自然、観光地――。
新たな刺激に満ちた日々は、一見良いことづくめ。
ですが、こんな誘惑だらけの中、自分の仕事を期限内にやり遂げるには、相当なセルフマネジメント力が問われるはず。
外部の刺激を満喫する時間と、仕事の時間。両者のバランスをどうとっているのでしょうか?
スピーカーのみなさんは、旅をしながら試行錯誤を重ね、自分にとっての良いバランスを模索していったそうです。「集中タイムと、その土地を満喫する時間を具体的に決めて、メリハリをつけるようにしている」と、鈴木さんが工夫ポイントを共有してくださいました。
そもそも時差の問題で、取引先や顧客、同僚との調整が大変という声も。別の地域にいる仲間や顧客とうまく連携をとるための時間も組み込んでいたほうがよさそうです。
「働く」の未来を考えるうえで大事なポイントとは?
最後に、「世界を旅しながら働く」を実践するうえで意識していることを語っていただきました。
キーワードは「変化への適応」。旅をしながら自律して働くには、自分で色々な業務をこなさなければならない。そのため、自分の専門領域に限らず、多彩な業務を担えるだけの財務やプログラミングやブランディングなどスキルを磨くことが大事になります。これは、旅をするかどうかにかかわらず、フリーランス全般にとって大事なポイントといえるでしょう。
鈴木さんは、「SNSを駆使し3カ月後にコーチングセッションで100万円を稼げるような体制をつくった」という経験の持ち主。そこから、ニッチでも「誰にも負けない強み」と、それを裏づける実績を築くことの重要性を語りました。これらが、他の経営者などとの対等に話せる関係構築の武器になってくれるそうです。
働き方・生き方のロールモデルを探す
「世界を旅しながら働く」は、子育てと両立することは可能なのか。独身でしがらみがない状態でないと厳しいのでは? そんな疑問が浮かんだところ、ちょうど聴衆から同じ質問が飛び出しました。
これに対し、「親子で国内外を旅しているロールモデルをできるだけたくさん見つけて、『これはよさそう』、『取り入れられそう』という点を探して、少しずつ実践してみては?」というアドバイスが。
ただ、ロールモデルがいることを知らないフリーランスも多いはず。多様なロールモデルを探して、その生き方をインタビューさせていただき発信する。これもこのメディア「SoloPro」を通じて、トライしたいことだと改めて思いました。
今回のRemoteYear参加者の体験談も含めて、ロールモデルから「いいとこどり」をして、生き方・働き方のパッチワークをする。そうすればもっと柔軟に、持続的に自分らしい働き方ができるのではないか――。固定観念が解き放たれ、スピーカーたちの熱をひしひしと感じる2時間でした。
京都での滞在を楽しんだRemote Yearの一行の旅は、まだまだ続きます。
Remote Yearに興味のある方はSNSをフォローしてみてはいかがでしょうか。
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