「心が喜ぶPlayfulな人生」のつくり方って? 海と山に囲まれた福岡県糸島市の合同会社こっからを訪問!

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「収入を得ることが第一。いつも何かに追われている」

とくに起業初期の新米フリーランスは、こういった状態に陥りやすい。現在フリーランス2年目、「恋する旅ライターかおり」として活動している私にも、同じような悩みがあります。

「東京で締切に追われていると、なんだか心が擦り減っている気がするなぁ。やりたくてライターをやっているのに……」。

そこで私が目をつけたのが「心がワクワクするPlayfulな生き方」をビジョンに掲げる合同会社こっからさん。

同世代の男性5名で創業したみなさんは、組織・人材開発など「エンパワメント事業」から採用にまつわる「リクルーティング事業」、さらにはBBQイベントを開催するなど、「コミュニティデザイン事業」も手がけているそう。

全員が「代表社員」として活躍する、まさにSoloPro(ソロのプロフェッショナル)集団なのです。

こっからのオフィスは、移住や観光で大注目の福岡県糸島市にあり、無人の「大入(だいにゅう)駅」から徒歩30秒の一軒家。「こっから大入ハウス」と名付けられたこのオフィスは、360度、海・山に取り囲まれています。

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Photo by 小金丸和晃

今回はオアシスのような同オフィスにおじゃまし、こっからの創業秘話を伺うと共に「どうしたら毎日ワクワクしながら、Playfulに生きられるの?」という率直な悩みをぶつけてみました。

「Playful」とは、「物事に本気で向き合うことで生まれる、ワクワク・ドキドキする心の状態」を指します。

今回は5名のメンバーのうち、糸島を拠点にしている大谷さん、武井さん、巴山さん、寺平さん(愛称:デビさん)の4名にインタビュー。ボケと突っ込みにあふれていて、これまでのライター人生で一番笑った現場でした(笑)。さすが関西人! ぜひ「Playfulな人生を生きるためのヒント」を盗んでいってください!

スクリーンショット 2017-04-01 17.58.51【大谷 直紀/Ooya Naoki】代表社員
株式会社リクルートキャリア入社。福岡勤務後、本社コーポレートスピリット推進部に異動。CSR担当として次世代グローバルリーダー輩出プログラム「GLIP(Global Leadership Intern Program)」の立ち上げ後、新卒採用リーダーに従事。「社会のための採用活動」を実現するため、全社員採用事務局リーダーとして学生とフラットでオープンな対話の場「ROOTS」、内省型リーダーシップインターンプログラム「SPIRIT」を企画、運営。2014年初代リクルートグループHRアワードを受賞。その後、リクルートホールディングスIT人材統括室にて、新卒WEB採用グループマネジャーに従事。
スクリーンショット 2017-04-01 17.59.00【武井 伸悟/Takei Shingo】代表社員
元ニートからあるきっかけで立ち直り、カポエイラ修行@ブラジル、南米周遊、ラジオカフェ@京都でラジオDJ、動き出すきっかけ創りの学生団体こっからの立ち上げを経験。人をエンパワメントしたいという思いで株式会社インテリジェンスに入社。IT・WEB•コンサル業界の採用•転職支援を経て、最速で営業MGRに。その後人材開発MGRに異動。2011年にはコーチ・コミュニケーション講師としても独立しダブルワークに。もっと豊かにプレイフルに生きていくために、正社員でありながら日本に9か月、海外に3か月というデュアルライフを実践し、先進的なはたらき方としてAERA 2015/05/04・11日号の巻頭特集に掲載。
スクリーンショット 2017-04-01 17.59.09【巴山 雄史/Hayama Yushi】代表社員
学生時代、NPO法人ブレーンヒューマニティ副理事長を経て、学生団体こっからの立ち上げに関わる。2006年大学卒業後は、株式会社リクルートに入社。住まい領域に配属され、中小企業〜大手デベロッパーまで約500社 の広告を軸とした経営コンサルティングを手がける。30歳でマネージャーに任用され、新規マーケットの開拓と新組織の立ち上げを経験。在職最終年度は、業界最大手クライアントを担当。
資格:宅地建物取引士
スクリーンショット 2017-04-01 17.59.16【寺平 佳裕(デビ)/Teradaira David Yoshihiro】代表社員 
学生時代学生団体こっからの立ち上げに参画。その後株式会社リクルートキャリアに入社。大阪・東京で人材紹介でのリクルーティングアドバイザー・WEB求人広告営業を経験。数百にもおよぶ中小企業の経営者や人事担当者と正面から向き合い、伴走し続けてきた。また最後3年間はチームマネジメントを行い、メンバー個々人がどれだけ楽しくプレイフルに本気でやり切れる環境を作れるかに拘り続ける。現在はキャリアコンサルタントとして転職・採用のコンサルティングをメインにしながら、周りの人を楽しませたい想いからラジオDJとして福岡でラジオ番組もスタート。
スクリーンショット 2017-04-01 17.59.24【墨 健二/Sumi Kenji】代表社員 ※東京を拠点に活動中
米国での留学生活後、”世の中の学生をもっとイキイキさせたい”という想いを抱き、学生団体こっからを創設。代表を務める。数々の企画を通じて、学生の動き出す場ときっかけをつくりだすことを経験。社会に出ても”人の動き出すきっかけをつくる”を軸に、株式会社リクルートコミュニケーションズに入社。広告制作ディレクターを経た後、新サービス・新ビジネス開発に従事。在職中に社外ではコピーライティング、コーチングを学び、人の心の機微に向き合うことをプレイフルに探究。独立後の現在は、東京をベースにしながら様々な企業に対して、態度変容や行動変容を生み出す対話の場づくりをデザインし提供する。

Contents

起業の発端は、学生時代に創設した「学生団体こっから」の活動だった

かおり
武井さん以外は、みなさんリクルートグループ出身なんですね。そんなみなさんが、なぜ会社を辞めて「こっから」を創業するに至ったかの背景が気になります。
武井さん
元々僕らは大学生時代からの友人同士なんです。学生時代に「学生団体こっから」の立ち上げと運営を経験していて、その経験が起業の大きなキッカケになっています。
かおり
その団体ではどんな活動をされていたんですか?
武井さん
「学生がイキイキするためのキッカケづくり」をコンセプトに、イキイキしている学生を取材してWEBに掲載したり、やりたいことに一歩踏み出すためのイベントを仕掛けたりしていました。たとえば「100人で富士山に登る」とか。それらの活動がメディアに掲載されたりして、僕らが大学を卒業するときには後輩にバトンパスできるぐらいの団体に成長しました。何より自分たちが一番楽しんで活動していたんですけどね。
かおり
そこで手応えをつかんだものの、すぐに起業には至らなかったんですね。
デビさん
「またみんなで、おもしろいことをやれたらいいな」って思いはあったんですが、当時は事業化したいという意図は薄かったので、そのときの想いを大事にしたくて、各自で就職活動をして社会人になりました。

「ここに人生をかけていいのか」葛藤の末、5人で合同会社こっからを創業

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デビさん
起業の話が動き出したのは2年ほど前です。武井がこの家を気に入って、購入を決めたことがキッカケでした。
武井さん
僕自身が心の底から幸せに生きていくために、会社員時代に挑戦していた海外と日本とのデュアルライフだけではなく、日本にいる間も都会と田舎の半々で暮らしながら、海外と合わせて多拠点生活をしたいと思っていたんです。

「じゃあ、地方の家を探そう」ってなって、海も山もあり空港からのアクセスが良い糸島に、大谷とデビを誘って「家探しの旅」に出かけました。そうしたら、この家を見つけた瞬間ビビっときて、即決で「俺、この家買うわ」って(笑)

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かおり
トキめいたわけですね! 素敵! でも、みなさんはそれぞれ職場で活躍されていたわけで、その生活を失うことに“恐怖”はなかったんですか?
デビさん
僕は活躍してなかったんで……(笑)。それに僕と武井は独身なので、自分の意思決定一つで決められたんですけど、既婚者の3人はやっぱり違いましたね。
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巴山さん
僕は最初の配属先が福岡で、2年半働いたのち東京に異動で。福岡自体は大好きな街だったので移住そのものには何の抵抗もなかったですね。

それより自分自身の気持ちとしては、会社の要望に自分の志向をすごく器用に合わせにいってることにどんどん違和感を感じてる時期で、起業のリスクはあるっちゃあるけど、「このメンバーでリスクを背負えるならいいな」って思えた

嫁さんは福岡出身だったので、移住についてはすんなり受け入れてくれました。

大谷さん
僕は相当悩みました。リクルートでおもしろい仕事ができていたから。それに「5人でいるのが楽しいから」って理由だけで独立するのは嫌だった

僕の場合は、奥さんの存在が大きかったですね。彼女は同期だったんですが、僕より先に会社を辞めて独立しました。だから家に帰ったら、悪戦苦闘しながらも楽しそうに仕事をしている奥さんの姿を目にするわけです。それは純粋に楽しそうだなって。

一番の決め手は、奥さんの実家が岡山の飲食店で「最終的に何もなくなっても岡山でお店やれるじゃん」と彼女に言われたこと。「じゃあ失敗しても死なないし、自分で責任を取る覚悟でやろう」って思って、一歩を踏み出せました。

Playfulに生きるには、心にスペースをつくり「内側の声」を聞くこと

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かおり
ジーンとする創業ストーリーですね。どうしたら、Playfulな人生を生きられるんでしょうか?
巴山さん
僕らが研修で伝えているのは、「やり方=doing」ではなく「あり方=being」。自分の「内側の声」を聞きに行くことを伝えています。
デビさん
わかりやすく例えると、組織に属していると上からの命令や期待があるから、「〜しなければならない」という状態に陥りやすいんです。それだけを追い求めていると余裕がなくなって、「今、自分がどんな感情なのか」「本当にやりたいことがなんなのか」が見えなくなってしまう。だから、めちゃくちゃがんばっているのに充実感がない(いつまでたっても満たされない)状態になるんです。
かおり
私の場合、締切に追われているときは、「間に合わせなければならない」が一番の感情になってしまっているときがありますね。
デビさん
その気持ちはわかります。ただ意識的に心にスペースをつくって、「自分が何をしたいのか」という内側の声を聞きにいくようにすると、自分自身で選択しながら行動をすることができるようになる。そうすると、圧倒的に充実感がUPします。
かおり
心のスペースをつくるのに、環境面は関係するのでしょうか? このオフィスみたいに大自然に囲まれていたら、余裕ができるような気がして……。
デビさん
確かにここは「〜しなければならない」という意識が、極限に湧きにくい環境をつくっています。でも、外的環境を整えることが必ずしも必要なわけじゃない。あくまで心の持ちようが大事なんです。

不安を解消するためではなく、「どうありたいか」の意図から動く

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武井さん
今の話に付け加えると、環境面でも「居心地が悪い環境」と「心地よくいられる環境」のどちらも必要なんです。両方知っているからこそ、それぞれのメリットとデメリットを内包できる。そのうえで全体として満たされることが、Playfulにつながる大事な要素です。

自分の中にも両面があって、その瞬間、瞬間で「こうしたい」っていう欲求(意図や願い)があるじゃないですか。その意図や願いに素直に生きることが僕らにとってのPlayfulなんです。過去でもなく未来でもなく「今ここを生きる」ってことです

かおり
忙しくなると、どうしても自分の感情を無視しがちになっているかも……。みなさんは、ワークライフバランスをどうやって保っているんですか?
武井さん
僕らはそもそも、ワークとライフを切り分けていないんです。「ライフ」の中に「ワーク」があるという考え方で、そこに区別はありません。ここにいると、仕事かそうじゃないかのグラデーションが曖昧なんですよ。畑で農作物を育てたりしているので、「草むしりや収穫って仕事なの?」っていう(笑)。それをいちいち「これは仕事」って議論して管理すること自体が、全然Playfulじゃないから。
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イベントにて参加者に薪割りをレクチャーするデビさん Photo by 小金丸和晃
かおり
うんうん、確かにその通りですね。私を含め駆け出しのフリーランスの多くは、「収入を得なきゃいけない」って不安が一番にあって、なかなか心にスペースが作れていないんですが、どうしたらスペースができますか?
武井さん
ちゃんと見えてるじゃないですか。自分の中に「不安がある」って。研修をしていると、それすら自覚できていない人ばっかりですよ。小林さんが言うように「稼がなきゃ死んじゃう」っていう恐れから、「稼げる仕事ばかり選んで本当にやりたいことができない」のが起業初期あるあるだと思います。

もちろん不安は消えないんですが、不安から動き出すんじゃなくて、「自分がどうありたいか」、「どうしたらワクワクいられるか」を源泉にして動くことを大事にすると、Playfulにつながっていくと思います。

巴山さん
これは僕らの実体験ですが、起業初年度は年収がサラリーマン時代の初任給ぐらいまで下がったんです。でも、自分たちがどんな暮らしをしたいのか」「どんな世界を創りたいのか」という意図や願いを軸にして動いていたら、当初見立てていた計画値を大きく上回る成果を出すことができました。
かおり
そうですね。起きてもいない不安を考えるより、意図や願いを軸にしたほうが絶対にいい結果になる気がします

器を磨くために「旅」をしよう! 本を1冊持って「こっから」に宿泊してみては?

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かおり
他にも、みなさんが大事にされている考え方があれば教えてください!
武井さん
先ほど、doing(やり方)とbeing(あり方)の話をしましたが、僕らは「自分の器を磨くこと」に主眼を置いたbeingの学びと、「磨いた器にスキルや知識を蓄えていくこと」に主眼を置いたdoingの学びに切り分けていて。そのうえで、意識的にbeingの学びを重視しています。
巴山さん
その一環として、今年から新たな施策「Playful Planet Quest」を取り入れました。これは1年に1回、海外に冒険できる権利で、目的は「事業開発」と「トレーニング」の2つです。器を磨くために自分の好きな国に行って、会いたい人に会ったり、異文化と触れたり。事業に育てばなお良し。
かおり
もうすでに行かれた方はいるんですか?
大谷さん
僕は1月にタイのチェンマイに行って、現地でNGO団体「アークどこでも本読み隊」を立ち上げた全盲の女性・堀内さんの1日付き人を体験してきました。彼女は大学を卒業し証券会社に勤めたあと、インド・ケララ州にあるIISEという社会起業家研究機関で学び、それからタイでNGO団体を設立したんです。ものすごいパワフルな方でしたよ!
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かおり
そんなすごい日本人の方がタイにいるなんて……! どんなお話をされたんですか?
大谷さん
タイでは「盲目の人=前世で悪い行いをした人」と見られるそうです。彼女は「その考え方はおかしい。タイの人たちに学びの機会を作りたい」との想いから、読み聞かせ隊を立ち上げたと話してくれました。

1日付き人では、タイ人の社会起業家、ポーランド人のクリエイター兼ソーシャルファシリテーターとのミーティングに同席させていただきました。その内容がとにかく本質的で、「そのビジネスをしようと、あなたを突き動かすものは何か」「世界にどんな前進を意図しているのか」など。まさにPlayfulに生きる人たちを目の当たりにしました

かおり
やっぱり「旅は最高に自分の器を磨けるもの」ですよね。あと人間力が育つものといえば「恋愛」ですかね。
デビさん
「恋する旅ライター」やもんね! ちなみに、この中で誰が一番タイプ?
かおり
マジで答えますね。武井さんです。私が話しやすいように一番導いてくれるので。
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武井さん
うぇーい!

(ひとしきり雑談で盛り上がったのち)

かおり
このオフィスって宿泊も大丈夫なんですよね?
大谷さん
そうそう。2階にゲストルームがあって、1階のスペースに雑魚寝も含めると(笑)10人くらいまで泊まれます。
巴山さん
代金はいただいていないので、本(新品・中古問わず)を1冊プレゼントしてもらえれば。
デビさん
俺とデートだけしてもらえれば。
巴山さん
うるさい。黙っとけ(笑)。ぜひ宿泊して、ゆっくりと過ごしていってください。
かおり
みなさん超おもしろい!(笑) 最高!!! 今度はSoloPro仲間と泊まりに来まーす♪

SoloProとして生きることは、自由を得ると同時に「責任」を追うことでもあります。プレッシャーや不安はどうしてもなくならない。でも「どうありたいか」を心の真ん中に置いておくことで、ネガティブな感情さえも原動力にできるはず。「Playful に生きる人」が、SoloProの世界に一人でも増えますように!!

 

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