- 単価に見合った仕事をどうやって取ればいいか
- 自分がいま請けている仕事の金額は妥当か
- 今後どういった分野で価値を上げるべきか
フリーランスの方であれば、一度はこういった不安を考えたことがあるのではないでしょうか。仕事に対するスタンスや自身の値決めは、今後豊かな人生を歩むためにも一番重要といっても過言ではありません。
今回は、各ジャンルにおいて活躍するフリーランスのスペシャリストたちに自身の値決めという切り口から、人間関係を築くコツや今後の仕事の展望まで幅広く伺いました。
※本記事は2019年11月1日(金)に開催されたイベント「世の中に自分の旗をたてよう!フリーランスのパワーを最大化する一日<Independent Power Fes>」内のセッション「自分の値決め、どうしてますか?フリーランスなら身に付けたい交渉力とスキルの見える化」をSoloProで編集した記事になります。
<登壇者プロフィール>
スピーカー:”人や情報をつないで価値を創る”コネクタ 日比谷 尚武(ヒビヤ ナオタケ) 2003年、株式会社KBMJに入社。取締役として、会社規模が10名から150名に成長する過程で、開発マネジメント・営業・企画・マネジメント全般を担う。2009年より、Sansan株式会社に参画し、マーケティング&広報機能の立ち上げに従事。並行して、Open Network Labの3期生(Pecoq)、PR Table創業、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会広報委員など、各種社外活動に参画。2016年12月に独立。現在は、Sansanのコネクタ/Eightエヴァンジェリストとして社外への情報発信を務める他、一般社団法人at Will Work理事、渋谷をつなげる30人プロジェクト コネクタ、一般社団法人Public Meets Innovation理事、スタートアップへのアドバイス&出資、ロックバーshhGarage運営等、各種活動を並行して行う。 |
スピーカー:戦略・事業開発コンサルタント/声楽家 秋山ゆかり イリノイ大学アーバナ・シャンペン校在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に戦略・事業開発コンサルティングを行う株式会社Leonessaを設立。声楽家としても活動し、テレビ朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評された。 |
モデレーター:慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授 高橋 俊介(タカハシ シュンスケ)慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。東京大学工学部航空工学科卒業、日本国有鉄道勤務後、プリンストン大学院工学部修士課程修了。マッキンゼーアンドカンパニーを経て、ワイアット社(現在Willis Towers Watson)に入社、1993年代表取締役社長に就任。その後独立し、ピープルファクターコンサルティング設立。2000年5月より2010年3月まで、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、同大学SFC研究所キャリア・リソース・ラボラトリー(CRL)研究員。2011年9月より現職。個人主導のキャリア開発や組織の人材育成の研究・コンサルティングに従事。 |
Contents
仕事の取り方、報酬の決め方は?
高橋 俊介さん(以下、高橋):フリーランスにとって値付け・値決めって非常に重要ですよね。それは仕事の取り方に関わってくると思うんですが、皆さんどういった営業活動をされていますか?
日比谷 尚武さん(以下、日比谷):僕がメインで関わっているのはスタートアップやベンチャー企業です。案件は広報のコンサルや新規事業の立ち上げが多いのですが、そのほとんどは過去の取引先や知り合い、ベンチャーキャピタルさんなどから紹介いただいたものです。
以前から意識していた点は、持っている情報や人脈は惜しみなく他者へ繋いでいくこと。そういう活動がいつのまにか仕事となる種を撒いてきたんだと思います。
秋山ゆかりさん(以下、秋山):私も基本的に紹介ですね。1つプロジェクトが終わるとFacebookなどのSNSに『秋山、いま手空いてます』って呟くんですよ(笑)。そうすると前職の先輩や以前のクライアントから仕事の依頼をいただけます。それも、だいたい1時間以内には埋まってしまいます。
高橋:では、紹介してもらった仕事をどうやって値決めしていますか?
日比谷:長らく発注側の立場にいたこともあり、フリーランスで請ける仕事の相場を知っているので、そこを崩さないように金額の交渉をしています。広報の勉強会やスタートアップ界隈のイベントなどを企画していると、情報が入ってきたりもします。こんな仕事はいくらで請けてもらっているとか。
秋山:私もまず相場を知ることからです。同業他社の友人たちにストレートに聞きます。『1時間いくらでやってる?』って(笑)。基本的に金額はふり幅なく請けていますが、ベンチャーやNPOなどでお手伝いしたいと思う企業や法人であれば、ボランティアでもサポートするようにしています。
断る仕事の基準とは?
高橋:状況によっては断る仕事もあると思いますが、何を基準に決めていますか?
日比谷:まず、シンプルに自分自身が忙しい時にはお断りします。仕事に責任が持てないので。
あと、たまにいらっしゃるんですが上から目線の人の案件は請けていないです。使ってやるわ、という雰囲気の人(笑)。自分がやりたいかやりたくない案件か、ということを一番大事にしています。
秋山:私はプロジェクトそのものに死臭がするものは請けないです(笑)。新規事業に関わることが多いんですが、そもそも新規事業ってほとんど成功しないんです。そのなかで、経営者が本気でなさそうとか人の配分が悪いとか細かいところで匂うんですよね、死臭が(笑)。
日比谷:たしかに。周りの投資家に言われていやいや相談しにきているなとか、経営陣が本気でやろうとしてないなってなんとなくわかりますね。
高橋:まあベンチャーキャピタルの人はよく言いますけど、スタートアップに金を出すかどうかは結局”人”ですよね。ビジネスプランは変えられるけど、人は簡単に変えられないですから。
フリーランスが築くべき人間関係とは
高橋:先ほどお伺いした仕事の取り方については、お二人とも自身のネットワークを使っていらっしゃいましたが、フリーランスにとって人との関係性は非常に大事ですよね。自身の幅を狭めないためにも特に1対1での互酬性(見返りを求めること)にこだわらないこと、つまり貸し借りの関係を意識しないということが重要だと言われています。
秋山:たしかに、私は見返りを求めずにいろんな人たちを繋いだりしていますが、結果的に自分に回りまわってきたりしますね。今、ベトナムやパキスタンなどの海外ビジネス案件を支援していますけど、昔どこかで繋がっていた人からの紹介だったりします。どこでどう回ってくるかわからないですね。
高橋:今の若い人たちは特にそうですが、目標に対して逆算して人生の歩み方を考えてしまっています。こういった効率的且つ、合理的にキャリアを作っていくという考えはよくないこともあります。先のことはわからないですから。逆算思考になると「この人には何もしないでいいや」「この人には恩を売ろう」という考えになってしまうんですよね。
次の仕事や人生のテーマ、どう決めてる?
高橋:時間が経つと世の中のニーズも変わってくるし、クライアントも勉強するから売れるスキルも変わってくる。そういう流れのなかで、次の仕事とかテーマはどうやって決めてますか?
日比谷:僕は振り返ってみると、これまで『新しい職種→ノウハウ化→発信→ラベリング』というサイクルを3年くらいのスパンで回ってきているんです。ラベリングできてくると、また新しい仕事がやりたくなったり、頼まれたりするんですね。それが結果的にまた新しい仕事の軸になっていく。こんなサイクルをずっと辿ってます。
高橋:それは面白い。私もずっと経営コンサルタントをやっていたんですけど、経営に踏み込むなら人事まで幅を広げないとダメだなと思って人事をやり始めました。そんなことの繰り返しです。長い時間が経って振り返ってみるとやっていることが変わっていた、という印象ですよね。
秋山:私はあんまりやっていることって変わってないんですよね。事業開発は1つとして同じものはないですし、好きな分野であるテクノロジー関連の案件は常に変わり続けている領域なので、そこをやっている限り、飽きないし、最先端でありつづけられます。好きなものに携わっている状態を続けられているから変えなくていいんですよね。今後もそれは変わらないです。
高橋:秋山さん自身にテクノロジーの土壌があるし、そのなかでしっかりバリューを発揮している。何よりその分野が好きで、興味があるからこそ続けられているということですね。
自分にあった仕事、そして仕事の請け方がありますね。ありがとうございました。
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