熱狂ファンが生まれる秘訣、ここにあり!? ヤッホーブルーイング流「知的な変わり者」を活かすチームづくりとは

よなよなエール、水曜日のネコ、インドの青鬼……

ちょっと変わったネーミングと、インパクトのある缶のデザイン、そして一般的なビールのイメージを覆す独特な味と色と香り!

こんな個性あるクラフトビールを手がけるのは、1997年創業の株式会社ヤッホーブルーイング。

ファンを熱狂させる製品づくりやプロモーションを企画し話題になることが多く、ビールを大勢のファンと楽しむフェス「よなよなエールの超宴」や、コアなファンと濃密な時間を過ごすオンライン飲み会「よなよナイト」、ファンと一緒に会社の戦略を考える「よなよな これから会議」などさまざまなイベントを開催している。

その結果、Great Place to Work® Institute Japanが実施した2019年版「働きがいのある会社」でベストカンパニーに選ばれたり、マーケティングの神様と評されるフィリップ・コトラー氏が全世界で開催する「コトラーアワードジャパン2018」最優秀賞を受賞したり、14年連続増収益を達成するなど成長著しい企業だ。

そこで今回はビールやマーケティングのご紹介……は少しだけにして、熱狂的なファンがいる同社のチームづくりにフォーカスし、”知的な変わり者”が活躍する組織カルチャーを取り上げたい。

今チームづくりをしている人、これからコミュニティを運営したい人などは参考になることも多いはず!

※今回の記事は、グリーンズの学校が開催する「コミュニティの教室」にて、同社の「よなよなエールFUN×FAN団」ユニットディレクターを務める佐藤潤さんが「よなよなエール流ファンとの絆づくり」をテーマにして行なった講義から一部を抜粋しています。

Contents

なぜ、そんなにファンを大切にしているの?

よなよなエールFUN×FAN団ユニットディレクター 佐藤潤さん

まず、私たちがファンを大切にする理由をお伝えします。

1997年の創業時、地ビールブームも後押しし好調なスタートを切りましたが、2000年初頭にブームが崩壊、会社が潰れかけるようなどん底の時期がありました。

しかし、その状況でもファンの皆さんは変わらず支え続けてくれたのです。店頭からうちの製品が消えても、通信販売を通じて声を届けてくれたので、将来への手応えを感じました。

その経験を通じて体感したことは、ファンの支持なくして製品や会社の成長がないこと。さらには、ファンの支持で社員(スタッフ)のモチベーションが上がることです。

特に、パレートの法則(2:8の法則)と同様、全体の売上の大部分を占める少数のコアなファン層が、新しいお客様を連れてきてくれたり、イベントを盛り上げてくれたことは、当社の成長を語る上で欠かせない要素です。

日本のビール市場にバラエティを提供する

では、どうやったらファンをつくり、さらには熱狂的ファン(伝道師)にシフトするのか?

それには企業のことを深く知って共感してくれること、特に企業の使命であるミッションへの共感がとても大事でした。

私たち、ヤッホーブルーイングのミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」です。

画一的な味しかしなかった日本のビール市場にバラエティを提供し、新たなビール文化を創出することでビールファンにささやかな幸せをお届けしたい。

その想いで事業を運営しています。

だからこそ、当社はただ製品を提供するだけではなく、「学び、交流、共創」をキーワードにオンラインとリアルのイベントを企画しています。そして、満足度と熱狂度の2つの指標でファンの声を聞き、また企画を立ち上げるというサイクルを回していくことで、だんだんとファンが増え売上も上がっていきました。

同時に、お客様が当社のスタッフとコミュニケーションを取ることも多くなり、その過程を通じて製品の熱狂ファンが会社の熱狂ファンへシフトしていく傾向に。

つまり、ファンをつくるにはスタッフ自身が熱狂することも大事なのです。

知的な変わり者が活躍できるガッホー文化

では、スタッフを熱狂させるにはどうするか。

それはファンと同様、スタッフも会社の「ミッション(「ビールに味を!人生に幸せを!)への共感」があり、会社としてもスタッフの働きがいを大切にすることで成り立っていると思います。

具体的には、まずミッションがあり、そこに向かうためのビジョンがあり、ミッション・ビジョンを実現するための文化、価値感、バリューを明確化し、スタッフ全員で共有しています。

例えば、文化でいうと「ガッホー文化(頑張れヤッホー)」を掲げ、以下の1〜6を意識しながら働ける「知的な変わり者」が活躍できる職場環境を整えています。

  1. 究極の顧客志向
  2. フラット
  3. 自ら考え行動する
  4. 切磋琢磨
  5. 仕事を楽しむ
  6. 知的な変わり者

ちなみに、ただの変わり者だと何も考えずに行動しちゃう人みたいな感じなので(笑)「知的な変わり者」としてお客様の期待に答えられる人を育てています。

フラットな組織の中で資質を活かしチームで動くとは

他にも、スタッフが働きやすい環境をつくるために心がけていることがあります。

その1つが、米国ギャラップ社の開発したオンライン才能診断ツール「ストレングスファインダー」で判明する「5つの資質」を入社時に全員実施し、共有することです。資質を全社に共有することで、適材適所の人材配置ができるようになります。

私自身も、自分の資質を発揮しながら、会社の成長に貢献できることはやりがいに感じています。逆に自分が苦手なことや辛い時は、それが得意な周りの人が巻き取ってくれたりと、お互いを知っているからこそ自然と助け合いが生まれています。

実は、昔は離職率は1%で、会社が大きくなった今は5%程度と増えています。それでも少ない方かもしれませんが、昔は「辞めたい」と言う社員のことは引き留めていました。
ですが、今はでてきた歪みは無理に是正せず、本人にとって一番いい環境へ送り出すようにしています。

自分のリソースの2割は社内プロジェクトへ

ヤッホーブルーイングの仕事の内訳は、7割が自分の仕事、1割が自己啓発、残り2割が社内プロジェクトの立ち上げや参加です。

プロジェクトを起案する際は、リーダーの呼びかけで各部署からメンバーが立候補し、それぞれが得意な分野に参加し、顧客接点を積極的につくっています。

こんなイメージ↓

企業階層も3つ(社長、ユニットディレクター、メンバー)しかなく、とてもシンプル。

ユニットディレクターは立候補制で、年1回全社員の前で事業戦略をプレゼンし、社長・プレイヤーから戦略や適性が認められた人が選ばれる仕組みです。

ここでも一番大事にしているのは、経営理念の浸透で、その軸があるからこそ、ただのグループがチームに変わるのです。

まとめ

コミュニティづくりの最短距離はないと佐藤潤さんは言います。

組織作りとマーケティングの両立。そして社長自身が先頭に立ってチームビルディングを学び、社内でファシリテートして今の形ができあがったというヤッホーブルーイング。

社内でコミュニケーションの質と量を高め、最高の成果をだすチームをつくることで良い製品とファンが生まれ、ファンが社員と仲間になり同志になることで熱狂的ファンになっていく……。

そんなチームやコミュニティ、つくりたいと思いませんか? 一歩一歩。

 

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