ぼくが「フリーランス・トラベラー」になるまでに学んだ、二つの大切な意識(中村洋太)

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Contents

村上春樹さんのライフスタイルに憧れて

満員電車に揺られて、朝から夜まで働き、疲れて帰宅する。食べて、寝て、また翌日も同じことが繰り返される。

東京に暮らす会社員にとっては普通の日常かもしれませんが、ぼく自身は、このライフスタイルをずっと疑問に思っていました。「果たしてこの生き方が幸せなのだろうか?」と自問自答したときに、正直、幸せと言える状態とはほど遠かったのです。ぼくは恐らく、平均的な日本人よりも、仕事が好きではありません。残業は嫌いだし、気が進まない仕事に対する耐性も低いです。

あるとき、村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』というエッセイを読みました。ぼくの大好きな本です。そこには、村上さんがハワイに長期滞在し、朝早くから小説を書いて、午後はランニングをしたり、好きなことをして過ごすという彼の日常が描かれていました。そんな生活に、強く憧れました。

彼のライフスタイルを、少しでも体験してみたい。そう思って、ぼくは長期休暇を使って、ひとりで沖縄へ行きました。ビーチ近くのホテルに連泊し、観光はほとんどせずに、早朝から毎日10kmランニングをして、ホテルでシャワーを浴びて、朝ごはん。その後はドライブをしたり、自分の好きな文章を書いたりする生活をしてみました。それは、想像していた以上に素晴らしい時間でした。自分にとっての幸せは、こういう生き方だと感じました。

「いつか会社を辞めて、フリーランスとして生きていこう」

と思ったのは、その頃からだったかもしれません。

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実感をともなった収入

もうひとつ、ぼくに強い影響を与えたのは、起業した友人の言葉です。

大手外資系企業に勤めていた友人が、会社を辞めて、ひとりで事業を始めました。素晴らしく優秀で、ガッツのある男でした。それからしばらく経って、久しぶりに会ったときに、

「ひとりで仕事を始めてみて、どう?」

と聞いてみたら、

「月5万稼ぐのがどれだけ大変かわかった」

と話していて、ガツンと大きな衝撃を受けました。

普通、そんなに生活が苦しそうだとわかったら、絶対に羨ましくなんて思わないハズなのに、なぜかそのとき、ぼくは彼の生き方に憧れたのです。

自分がいくら分稼いだのかよくわからないまま、毎月決まった日に決まった給料が振り込まれるよりも、実感をともなった5万円を稼ぎたいと思いました。

その言葉で、ぼくの独立欲は一気に高まりました。いずれライターになりたいと思っていましたが、本業は旅行会社でした。書く力をつけるためにも、週末の時間を使って様々な方にインタビューさせてもらい、その記事をFacebookやブログでアップしていました。

それを2年くらい続けていたときに、ある起業家の方から、「うちのメディアで記事を書いてほしい」とお声がかかりました。そのときはじめて、自分の文章力が対価を得られるレベルまで上がったのだと気付くことができました。それが自信になって、仕事を辞める決意ができました。

職業ライターの厳しさ

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昨年末に退職し、2017年からはフリーランスになることができました。だけどしばらくは、自分の無力さと職業ライターの大変さを実感する日々が続きました。

それまでは、自分の好きな文章を書いていただけだったので、辛いことはあまりありませんでした。しかし、仕事として依頼を受けた原稿では、編集者とのイメージのズレがあると、修正を要求されてしまいます。直しても直してもダメ出しが続くと、報酬は変わらないのに、時間と体力がどんどん奪われていきます。それによって精神的にも疲弊しました。自分の実力不足が原因ですが、これを続けていたら悪循環に陥ると感じました。

ライターは無数にいます。誰にでも書ける文章を書いていたら、いつまで経っても自分の価値を上げられません。そして主導権を相手に握られてしまいます。

「替えのきかない仕事をしよう」と強く思いました。それから、模索が始まりました。

「自分にしか書けない文章って何だろう?」

考え出した答えのひとつは、「自分にしかできない体験をすれば、自ずと文章も自分にしか書けないものになる」ということでした。

フリーランスに大切な二つの意識

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今ぼくは、「フリーランス・トラベラー」と名乗っています。旅行会社で約6年間、海外添乗員をしていた経験を生かして、世界中を飛び回りながら、旅の魅力を伝える仕事をしたいと思ったのです。そこに付随する文章は、きっとオンリーワンのものになるでしょう。それなら、自分の好きなように書けるし、ライターとしての価値も高めることができます。

今年2月のある日、ろくに資金もないなかで、4月から「アメリカで語学留学する」とブログに宣言しました。勇気の要ることでした。言ったからには、行かないと嘘になる。でも仕事を取ってこなくてはいけません。

だけど結果として、ぼくは企業と業務委託契約を結ぶことができ、必要な資金を得ることができました。4月から実際に2ヶ月間語学学校へ通い、さらに6月からは、1ヶ月間かけてアメリカ西海岸を自転車で縦断します。その自転車旅のスタート前日にこの原稿を書いています。この旅を通して、ブログやSNSで企業の宣伝をします。それがぼくの仕事です。ようやく、好きなことが仕事になりました。

また、今年11月からは、自転車で台湾を一周することも決めました。それに関しては、これから仕事を取ってくるつもりです。フリーランスになってまだ約半年ですが、二つの大切なことを学びました。

ひとつは、「自分にしかできない仕事をしよう」ということ。

もうひとつは、「勇気を持ってチャレンジしよう」ということ。

機会は、待っていてもなかなか生まれません。勇気と覚悟を持って、自ら機会を作ることで、人とお金を引き寄せることができます。会社員であれば、受け身の姿勢でもなんとなるかもしれません。もちろん決して好ましいことではありませんが、簡単にクビになることはないでしょう。だけど、フリーランスになったら、受け身の姿勢では何も起きません。とにかく動かないといけません。

フリーランスの醍醐味は、自分の好きな仕事をできることです。独立したての時期は、生計を立てるために、ときには気の進まない仕事をやらざるを得ないこともあるでしょう。しかし、それに慣れないでください。「自分にしかできない仕事」を意識しながら、「勇気を持ってチャレンジ」していけば、必ず自分の理想に近づいていけるハズです。自分の好きなことを仕事にする。その醍醐味を享受できるようになってからが、フリーランスの本当の楽しさだと思います。

 

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ABOUT US

フリーランス・トラベラー、ライター。海外添乗員として約6年勤務後、フリーランスに。これまでに30ヵ国以上を訪問。過去に自転車で西ヨーロッパ一周の旅、四国無一文の旅、東京〜大阪間600km徒歩の旅など。教育、インバウンドに興味があります。