新卒カードや安定を捨ててでも、新卒フリーランスライターという茨の道を進んだ理由

はじめまして。ライター/編集者の齊藤颯人です。

「大学を出たら就職するものだ」

この認識は、言うまでもなく一般的です。政府が発表した2020年の大卒就職率は98%。統計上「就職を希望した人」の就職率ではありますが、大多数の学生が卒業後に就職しているのは明らかでしょう。

そんな社会において、私は卒業後を見据え、在学中に学生フリーランスのライター(以下、フリーライター)となりました。現在は新卒のフリーライターとして、各種ニュースサイトやWebメディアで記事を書いて生活しています。

しかし、この生き方に賛同してくれる人は決して多くありません。

「新卒でフリーランスは無理だ」「就職してからで独立しても遅くない」「一生に1回しか使えない新卒カードを捨てるのか」

何度もそう言われました。

ただ、私自身この指摘は全くの正論だと思っていて、反論する気は一切ありません。それでもあえて新卒フリーライターになったのは、莫大なリスクを背負ってでも「自由」を追い求めたかったからです。

「サラリーマンは人生哲学と相反する働き方」だと気づく

誤解のないように言っておくと、決して始めから新卒フリーライターを目指していたわけではありません。むしろ、大学3年まではいわゆる「就活ガチ勢」でした。

3年次までに就活を見据えてTOEICや筆記試験の勉強を重ね、大企業の幹部や政治家が数多く訪問する事務所でアルバイト。財閥系企業でサマーインターンも経験し、四季報を読み込んで志望企業の絞り込みをしていました。

ところが、一連の就活を通じて「サラリーマンは人生哲学と相反する働き方」だと気づいてしまいました。

まず、「週5日8時間勤務」の業務体系に強い拒否感がありました。学生時代から「稼ぎよりとにかく自由な時間を」という気持ちが強く、アルバイトは週に多くて2日。予定を拘束されるのが嫌いで、シフト制のアルバイトはすべて短期間で辞めました。

しかし、サラリーマンとなれば否が応でも週の大半を「社業」に割かなければなりません。加えて、当時業界として関心があった出版系に就職すれば、定時どころか残業や休日出勤は当たり前。稼ぎにはあまり興味がなかったので「どうして週3日勤務で年収500万円の仕事がないんだ」と考えてしまいました。

他にも……

・超インドア派で、毎日外出することに抵抗感があった

・チームワークが苦手だった

・飽き性のため、就職してもすぐに辞めそうだった

という理由が重なり、大学3年の秋には就活意欲が完全に消滅。とはいえ、当時フリーライターになるという選択肢は頭の片隅にもなく、「就職しないと生きていけない。しかし絶対に就職はしたくない。じゃあ死んでしまえばすべて解決するのでは?」と思い、大真面目に卒業後の進路は「自殺すること」と公言して死に方を検討する毎日を過ごしていました。

上記の「就職したくない理由」は、社会人からすれば甘えなのかもしれません。しかし、少なくとも大学3年の私にとって、就職は自分の人生哲学と絶対に合致しないものでした。

後述するように、学生時代から現在にかけて、普通に就職する数倍の苦労はしてきていると思います。それでいて、現在の収入は新卒社員と大差なく、仕事としての安定感もゼロ。それでも、新卒で就職しない決断を後悔したことはありません。

実績・経験・知識はゼロからのスタート

「フリーライターを目指そう」と思ったのは、就活シーズン直前にあたる大学3年の1月。文章を書くのは得意かつ好きで、業務内容を調べてみても自分の願いを実現できそうでした。実務経験がないどころか仕事の中身もよくわかっていませんでしたが「とりあえず死ぬ前に挑戦だけしてみよう」と思いました。

最初期は、クラウドソーシングを通じて好きだったアニメや映画の感想記事を書いていました。実績も経験もゼロだった部分は、個人ブログを立ち上げて営業材料に。複数の小規模メディアで毎日1記事(5000字ほど)を書き、時にはヒジに不調をきたしながらなんとか月10万円くらい稼いでいました。

こうして書き殴るのは大きなメディアへの営業に向けた実績作りと位置づけていましたが、営業成果が全く上がらなかったため、この方針は間違いなのだと気づかされました。私のアニメや映画知識は「一般人より詳しい」程度。そんな素人の書く感想記事を見て、寄稿を依頼する大手メディアなどあろうはずがありません。

挫折を経験してキャリアを見つめ直していると、私が大学で専攻し、趣味としても愛してきた「歴史」の知識が執筆に役立つと思い至りました。今まで「歴史なんてニッチで仕事にならない」と思っていましたが、戦国系を中心に意外と需要があったのです。

以後、歴史を軸にした専門ライターとして活動し、稼ぎや仕事量も多少は向上していきました。

ただ、やはり「歴史だけ」を扱っているサイトは少なく、すぐに行き詰ってしまいます。大いに悩み、結果として「歴史の知識を活かして旅行記事も書く」という打開策を見つけ、旅行メディアの仕事もできるようになりました。

実績ができてくると、知人の同業者や編集者にもライターとして認知されはじめ、今まで手が届かなかった出版社系のニュースメディアで書く機会がめぐってきました。Yahooニュースにも安定して記事を出せるようになり、ようやく「ライターになった」という感覚を手にしたのは大学を卒業する頃。

新卒で社会に出てからはそれなりに安定してライターの仕事ができていると同時に、日々フリーライター適性を強く感じています。文字を書くのも、取材をするのも好きですし、上司や部下がおらず人間関係にも悩まされないからです。実際、サラリーマンの妻が毎日出社するのをを見ていても、自分に真似できるとは到底思えません。

若くに独立するなら、「絶対にフリーランスでありたい理由」が欲しい

ここまで述べてきたように、新卒フリーランスとして生きていくのは大変な労力を使います。しかし、そこまでしても10年後に生き残っている保証はありません。

つまり、若くしてフリーランスになるのは非効率的なのです。サラリーマンをしながらスキルや人脈、経験を手にし、20代後半から30代前半にかけて独立するほうが効率はよく、生存率も高いと思います。社会人の先輩たちが新卒フリーランスの働き方に理解を示さないのも納得です。

そんなハンデを背負ってでも若くに独立するなら、自分なりの「絶対にフリーランスでありたい理由」を持ちたいところ。他人が何と言おうとブレない信念があれば、逆境に立ち向かう準備は完了です。

ただし、若手フリーランスが全てにおいて中堅フリーランスに劣っているわけではありません。

私たちにある最大の武器は「若さ」。心身の充実度はピカイチで、多少の無理は利きます。失うものが少ないからこそリスクを背負い、冒険ができるのもこの年齢ならでは。

加えて、若いうちは実家の世話になりながら力をつけていくのも有効です(私は実家を離れ妻と二人暮らしです)。

いきなり単身でフリーランスになってしまうと、生活費を稼ぎながら多様な業務をこなさなければなりません。独立からすぐは収入も安定せず、貯金が目減りしていけば大きなストレスに。また、すぐお金にならずとも将来に繋がる活動が難しくなるのも事実です。可能なら、恥を忍んで親の協力を仰ぎたいですね。

さらに、私の場合は「学生フリーライター」「新卒フリーライター」という肩書の希少性も役立ちました。この年齢のフリーライターは珍しく、「面白い」と興味をもってくれる大人は少なくありません。SoloProで記事を書けているのも、行動の成果やライティングの技術面だけでなく、「若いうちから意欲的に行動し、応援したくなる部分がある」からだと聞きました。新卒フリーランスでなければ、このチャンスはなかったかも。

こうした若手ならではのメリットもあるので、強い覚悟があれば若くからフリーランスとして生きていくのも不可能ではありません。

自分が10年後も生き残っているか、それは分かりません。ただ、もし仮にライターとして失敗したとしても「できることは全てやった。後悔はない」と言い切れるよう、日々を生きています。

 

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ABOUT US

齊藤 颯人
(ライター/編集者) 上智大学出身の新卒フリーライター・編集者。大学で専攻した歴史系の記事を中心に、スポーツ・旅・フリーランス論などの分野で執筆。フリーランス向けメディア編集部にも参画し、編集者としても活動している。