100年時代の戦略的人生設計書『LIFE SHIFT』と、その実践者から紐解くフリーランスの未来

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100歳まで生きると考えたことはありますか?

リンダグラットン著・16万部のベストセラーである『ライフ シフト ―100年時代の人生戦略』によると、2007年に生まれた日本人は、107歳まで生きる確率が50%あると試算されているそうです。

そして、教育→仕事→引退という3ステージで、レールの上を歩くような生き方はなくなっていき、今後は多様性のあるマルチステージに突入していく……。その時に必要なのは有形資産(金銭や不動産など)ではなく、無形資産であるスキルと知識(生産性資産)、健康(活力資産)、自分理解と人的ネットワーク(変形資産)だ! と本書では書かれています。

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LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

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リンダ グラットン アンドリュー スコット
東洋経済新報社
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では、それをフリーランスの生き方に置き換えて考えた場合、これからどんな視点を持って生きていけばよいのでしょうか。

『LIFE SHIFT』編集長の佐藤朋保さんと、テクノロジーで働き方を変えるサービスを展開するランサーズ株式会社 代表 秋好さん、さらには、20代・40代・80代という各年代で独立して働いている3名をゲストに開催された対談イベントを取材しました。

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Contents

東洋経済新報社 編集第1部編集長 佐藤朋保
1998年東洋経済新報社入社。以来、一貫して書籍の編集に携わる。『クルーグマンミクロ経済学』や『高収益事業の創り方』(三品和広著)など、経済書、経営書を主に手がける。2012年より翻訳委員会委員長として、『善と悪の経済学』(T・セドラチェク著)、『ワーク・ルールズ!』(R・ボック著)、『ライフ・シフト』(L・グラットン/A・スコット著)などを担当。プロモーション・チームとともに本の編集・販売にあたる。
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ランサーズ株式会社 代表取締役社長 秋好陽介
大学卒業後2005年にニフティ株式会社に入社。複数のインターネットサービスの企画/開発を担当。2008年4月に株式会社リート(現・ランサーズ株式会社)を創業。日本初クラウドソーシングサービス「Lancers(ランサーズ)」の提供を開始する。シェアリングエコノミー事業「pook」デジタルマーケティング事業「Quant」を提供している。

人生100年時代!? これからの働き方・生き方はどう変わる

秋好さん:『LIFE SHIFT』は、今なぜ注目されているのでしょうか?

佐藤編集長:いろいろなところで自主的に勉強会などが開催されるなど、僕たちもその反応に驚いています(笑)

秋好さん:人生100年時代というのがとても印象的なキャッチフレーズですよね。本の中にもありましたが、これから日本は長寿社会を迎えるにあたって、それが良い悪いではなく、良くしなくてはいけないという時代背景もあるのかもしれません。

佐藤編集長:そうですね、そしてこれからは自分次第。だからこそ、『LIFE SHIFT』は長寿社会で課題先進国の日本人にこそ読んでほしかった本なんです。

秋好さん:実際に、世界の中で日本が一番売れているとも聞きました。

佐藤編集長:はい、他にも日本の課題として終身雇用制度があり、1つの会社に忠誠心を持って全てを注ぐ時代ではなくなってきたことも背景にあります。また、技術革新により企業の寿命が短くなり、1つの企業にいることの方がリスクになる時代になってきたのです。

これから必要なのは、好きなことを追求していく生き方

秋好さん:世代間で価値観の違いはどれくらいあるのでしょうか?

佐藤編集長:すごいありますし、これからさらに広がっていくと思います。例えば、最近の子供たちは生まれた時からスマートフォンがあるので発想の起点が違います。また、働きたい人は今までは大学を卒業して新卒一括採用の枠に入るのが当たり前と言われていましたが、今ではランサーズさんなどインターネットサービスを使って自分のやりたい仕事を検索できるようになりました。

秋好さん:僕は今1981年生まれの35歳なんですけど、40歳くらい前後の人とは、すでに価値観の違いを感じることはありますね。特に企業経営においては、10年後くらいにはテクノロジーに精通したデジタルネイティブでないと務まらない時代になるのではとも思っています。

他に、『LIFE SHIFT』で触れていることで、これからの時代に必要なことはありますか?

佐藤編集長:100歳時代は、お金などに価値観を置き続ける”有給資産”で生きるのは大変。なので、お金を貯めていくより、無形資産である人的ネットワークを作るなど、その場その場でつなぎ合わせていく生き方になっていくかもしれません。

秋好さん:そんな時代に私たちは何を気をつければいいのでしょうか?

佐藤編集長:楽しくやることかなと。他の人が嫌いで自分が好きなことを突き詰めて考えることが必要かもしれません。

秋好さん:好きなこをやりたいというのはみんなそうだと思いますが、どうやって見つければいいのでしょうか?

佐藤編集長:それは僕も聞きたいのですが(笑)秋好さんはランサーズという会社を起業されていて、好きなことを仕事にしている印象もあります。どうやってそうなったのですか?

秋好さん:僕の場合は、体験の数をどれだけ増やせるかが重要かなと思っています。例えば、今までコーヒーしか飲んだことがない人に、「何飲みたい?」と聞いても、コーヒーとしか答えられない。同様に、今まで会社員しかやったことがない人は、それしか見えてないし、他にもっと好きなことがあるかもしれないのに、わからない。だから、チャレンジの数、体験の数が多くなるとコントローラブルな人生になる可能性が増すんじゃないかな。

佐藤編集長:たしかに、自分の中で絶対的なものを見つけるのは本当に難しいことなので、いろいろな経験をしながら好きなことを相対的に発見するのはいいですよね。

20代、40代、80代の実践者が語る、長寿時代のLife&Work

では、実際に100歳時代を生きる各年代のフリーランサーは、どんな価値観で働いているのでしょうか?20代、40代、80代を代表して3人の方が登壇しました。

1993年生まれ(24歳)「就職ではないキャリア」

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大学を辞めてフリーランスに。怖かったけど、独立してやりたいという気持ちの方が強かった。世代の価値観のギャップがあるかは、正直よくわかならないけど、周りの友達も、会社に入ってから、フリーランスをやりたいと言っている人はいます。やらないと後悔するという気持ちでチャレンジすれば、成功に近づくと思っています。

1969年生まれ(48歳)「LIFE = WORK」

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23年間一般企業に勤務。このまま働いていていいのだろうかという疑問があったが、子供もいるし、独立してもお金がすぐに入るわけでもないし、キャリアを捨てる葛藤はあった。ただ、今のまま60、70代にはなれないと思ったし、貯蓄って稼げないから必要なわけで、自分がこれからも稼げればいい。だから自分の好きなこと、得意なことで独立しました。

変化は新しいところから持ってくるのは難しいけど、今やっていることをちょっと変えるのも変化。そういうのを楽しんでいける人はフリーランスに向いているのではと思います。私は、挑戦することで、成長できることをこれからもやり続けたいです。

1935年生まれ(82歳)「生涯現役の生き方とは」

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今まで大使館で働いたり、翻訳業の仕事をしたりと英語漬けの生活をしていました。母の介護のため実家に戻りましたが、私は常に世の中と繋がっていたいと思っています。インターネットはそれを可能にしてくれました。これからは古典落語の英訳を仕上げたり、作曲もしてみたい。

80代になると、体はなえてきますがやる気は十分! 人は生まれた時から生きる力の総量はあまり変わらないと僕は思うんです。若い時は体力などがあるけど、歳をとれば知恵と経験が上がってくるので、仕事はできる。

まとめ

今、話題の書籍『LIFE SHIFT』の編集長や、場所や時間を問わず働けるクラウドソーシング事業を担うランサーズの代表、そして、20代から80代までの価値観を一度に触れられるイベントもなかなかないと思いました。

最後に、イベントのまとめとして話された、印象的だった言葉を紹介します。

佐藤編集長:これからの100年時代は何があるかわからないので、お金だけに価値観を置かないこと。所得を3割削ってもハッピーになる方法を選ぶことも選択肢の1つだと思います。

秋好さん:大企業から個人に時代がシフトしてきました。例えば、instagramerやYoutuberは、個人で何百万人の人にリーチしている人もいます。何か新しいことをやるのは怖いかもしれませんが、2040年くらいにそれが当たり前になっているはず。今はまだ先にチャレンジすることがチャンスになるし、副業でもいいので、個人としてできることをはじめてみてはいかがでしょうか。

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