やらないこと、決めてますか? フリーランスとして、これからの時代を生きるために必要なこと【「ひとりしごと」専門税理士 井ノ上陽一さん】

SoloPro編集長の松田 然(もゆる)です。

このメディアは、1人で仕事をすることが多い個人事業主やフリーランスに向けて、”ソロ”のプロフェッショナルになるためのヒントを提供したいと思い立ち上げました。

特徴は、個人事業主である、私自身が取材したい人に会って話を聞くことを基本スタンスにしているところです。いい仕事です(笑)

……ということで、今回も会いたかった方に会えました!

著書に『フリーランスのための一生仕事に困らない本』『ひとり社長の経理の基本』、『ひとり税理士の仕事術』などがある井ノ上 陽一さん。

使用画像2

一言で言うと、雇われない生き方をしているプロフェッショナルです。

税理士である井ノ上さんには、経理やお金のことを聞くだけではなく、明日から使える仕事術から、一生使える仕事に対する考え方まで、これからの時代にフリーランスとして生きる上で大切なことを対談を通じて掘り下げてきました。

現在、フリーランスの方、これからなりたい方、必見です!

◎井ノ上 陽一(いのうえ よういち)

1972年12月18日 大阪生まれ。宮崎育ち東京・お台場在住。
ひとりしごと=雇われない雇わない生き方を、時間・お金の両面でサポート。

・株式会社タイムコンサルティング代表取締役
・MicrosoftMVP for Excel
・アイアンマン(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)
・税理士

日課は1日1新、ブログ(EX-IT | 雇われない雇わない生き方)。2007年7月9日から毎日更新中。

Contents

フリーランスの悩みに寄り添う税理士として

dsc07485
以前、井ノ上さんと初めてお会いした際、フリーランスに向けてとてもわかりやすくお金の仕組みを教えてくれる方だなぁという印象を受けました。しかも、税理士の本業以外にも、フリーランス向けの本を出版したり、セミナーを開催したり、ブログで情報発信をしていますよね。このように、フリーランスを対象にした活動をしているのはなぜですか?
井ノ上さん
税理士をはじめた当初は、主に中小企業の社長さん向けに情報発信をしていました。やはり法人は単価が高いのと、本業である「税務顧問業」は継続して安定した売上に繋がりますからね。ただ、その反面、つまらない仕事も正直言うと多かったんです。
井ノ上さんの著書である「フリーランスのための一生仕事に困らない本
」にも、売り上げの30%をしめる大口顧客を失った時は、絶望ではなく”安堵”だったと書いていましたね。
井ノ上さん
法人顧客は売上としては大きいのですが、社長さんの愚痴のような相談も多かったんです。それに会社が大きくなると担当者が増えるので動きも遅くなりますし、組織の成長に自分が貢献しているのか? と、疑問に思うことも多々ありましたからね。

でも、そんなストレスを感じながらも、独立して間もない時だったので自分から契約解除を申し出る勇気はありませんでした。

それに対して、フリーランスの方とは、1対1のハートフルな付き合いができるし、フットワークが軽いので何をやるにもスピード感があって面白いと感じていたんです。なので大口顧客から契約解除された時は、自分の気持ちに素直になれそうで安堵の気持ちになったのです。

私もライターとして色々なクライアントとお付き合いがありますが、確かに規模が大きい会社は単価は高いのですが、自分の仕事の貢献度が測りづらかったり、プロジェクトに関わる方も多いので調整業務がやたら大変だったりしますね……。
井ノ上さん
あと、私の場合、2007年からブログを始めて今も毎日ずっと続けているんですが、記事を書いているうちに自分の気持ちに気づいていったことも大きかったです。中小企業の社長に向けてブログを書いていてもつまらないと。私の場合はですが(笑)

毎日ブログで情報発信している理由

ブログを書いていると自分のぶれない軸が見つかったりしますよね。井ノ上さんは2007年から毎日欠かさずブログを書いているのもスゴイですし、少し話は逸れますが、ライフスタイル系の情報発信も多いですよね。ITガジェットとかトライアスロンとか。
13680328_10209870049209036_8917426114446398544_o
井ノ上さん
トライアスロンは、ハワイと日本を行き来しながら暮らすデュアルライフを送っている本田直之さんとの出会いが大きかったですね。ビジネスとライフスタイルを融合した生き方に影響を受けて、本田さんも利用されているトライアスロンショップで自転車を購入してデビューして、今ではチームを作って活動しています。
税理士の世界って正直お堅い印象があったのですが、井ノ上さんは雰囲気からして違いますね。
井ノ上さん
確かに税理士はお堅い印象がある職種ではありますよね。例えば、2010年から仕事でMacを使い始めて、それをtwitterでつぶやいたら、同業の何人かから「そんなことできるわけがない!」と書き込まれたこともありました。当時はWindowsが当たり前でしたから、受け入れられなかったのかもしれませんね。でも、普通にやっていたら埋もれると思っていましたし、今ではApple製品はもちろん、最新のガジェットはなんでも試して、それもブログで情報発信しています。税理士だから、こうしないといけないという固定概念はないですね。
そんな自分の仕事のスタイルを貫いている井ノ上さんを見て勇気付けられると同時に、読者の中には、とはいえ自分の意思を通したり、仕事を断るのはやっぱり難しいと思ってしまう方も多いと思います。何からはじめればいいと思いますか?
井ノ上さん
お金の日々の管理ですね。普通であれば1年に1回くらいしかしないじゃないですか。
そうですね。しっかりお金を見るのはフリーランスであれば確定申告の時期だったり、企業であれば決算の時だったり。
井ノ上さん
私は、毎日リアルタイムでお金を見ているので、今どのくらい固定費がかかっているのかや、このお客様がいないことでどれだけ時間が空くかなどを把握できるんです。だから、お金の状態を管理することで、仕事を断るか否かの判断ができるのです。
プロスポーツ選手が常に自分の体の状態に気を使うのと同じように、自分のお金の状態を毎日把握するというのは仕事をする上で大切なんですね。
井ノ上さん
あとは、仕事を得られる状態を作る”営業”は、毎日やらないといけない。それが、私にとってはブログを書くことなんです。よく攻めの営業というと、いっぱいテレアポして提案書書いてというイメージがあるかもしれませんが、そういうのはやりません。ブログを毎日書くことが攻めになっているので。

さらに言えば、相性が良さそうなお客様が来るような情報発信を心がけることで、そもそも仕事を断らなくていい状態にすることもできます。

と、言うと?
井ノ上さん
私が好きなこと、できることをブログで書くことはもちろんですが、例えば、「お気軽にご相談ください」と書くと、なんでも来ちゃうのでよくないですよね。他にも、見積もりできますと書くと、実際に作るのに工数がかかりますし、いざ出してみたら返事がこなかったりするので、最初からサイトに金額を提示しています。それによって、金額が合わないお客様からは連絡が来なくなるので、無駄な仕事を増やさないためのバリアになるんです。
いざ相談を受けたら断るのも難しいので、最初から嫌な仕事がこないようにする情報発信の仕方もあるんですね。

やらないことリストを作成して毎日ルーティンで確認

使用画像1
井ノ上さん
例えば、私は書類を作って役所に届けるのが大っ嫌いなんです。あと、値下げは応じないとか、セミナーでは事前に私のプロフィールを見てきている人が多いので当日は自己紹介をしなかったり、紙の資料を配るのもやらないですね。
やらないことを徹底してますね。
井ノ上さん
他にもいろいろあるので、「やらないことリスト」にして、月曜日はこれ、火曜日はこれって、毎日ルーティンでリストを確認しているんです。
数はどのくらいですか?
井ノ上さん
全部で180個くらいになっています(笑)
すごい!「やりたいことリスト」を作る人はいますが、逆なんですね。
井ノ上さん
やりたいことはすぐやってしまっていいじゃないですか。自転車旅とかトライアスロンとか。でも、やりたくないことをやるとあとあとマイナスに響いてくるんです。

なので仕事の場面では、最初からやりたくないことが来ない環境を作るか、もし来ても「やりたくない」とは直接言いませんが、「お役に立てそうにはありません」という言葉を使ってお断りすることはありますね。

フリーランスだと仕事を請けることにフォーカスしがちですが、断る力は自分らしく生きる上で大切なスキルですね。

何のために働くかを、今一度考える意味

最後に卵が先かダチョウが先かの話じゃないのですが、みんな自分らしい活動はしたいと思うんです。ただ、フリーランスに限らず、駆け出しの頃は仕事がないとやっていけないので、来るもの拒まずで動く方もいますが、最初の頃はしょうがないのでしょうか?
井ノ上さん
1日24時間あるうちの寝る時間以外は仕事をしているのもいかがなものかと思います。そのうち1時間でも、ブログを書いたり、お金の管理をすると決めたり、あと、遊びでも運動でもいいんです。仕事をしない時間を決めるのが大事だと思います。
私も一時期、寝る時間を惜しんでまで働いていましたが、これじゃいかんと思いスポーツジムに通い始めたら、仕事の効率は良くなりました。
井ノ上さん
私の場合、今は、金・土・日・月・祝日は、税理士業務をしてはいけないと決めています。その日は本を書いたり、セミナーの準備をしたり、トライアスロンの練習をしたりと。独立当初はそんな時間の使い方はしていませんでしたが、人生にはお金が重要な時と、時間が大事な時があると思うんです。何のために働くかを今一度考えることは大切ですね。
そうですね。私も日常に旅があるという理想のライフスタイルを掲げて働き方をデザインしているのですが、今回の対談は本当に勉強になりました。
井ノ上さん
やりたいことのために、やらないことを決める。さらに、世の中と違うことをやって、それを発信していくことが、これからの時代の生きやすさにつながるかもしれませんね。
フリーランスのための一生仕事に困らない本
井ノ上 陽一
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 76,818
新版 ひとり社長の経理の基本
井ノ上 陽一
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 49,832
ひとり税理士の仕事術―雇われない・雇わない働き方 仕事も人生も楽しむ税理士
井ノ上 陽一
大蔵財務協会
売り上げランキング: 51,706

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください