すべて手放したから出会えた、母親そして個人事業主という新しい生き方

adobestock_98632355

はじめまして。新潟在住の新米ママ&ライターの のざわ ともこです。個人事業主として活動を始めてまだ1年未満ですが、今回は自己紹介も兼ねて、私自身がこの1年で何を考え、何に取り組んできたのか。そこからどんなことが分かったのかを綴りました。

実は、この2年は私にとって激動の期間でした。というのも、2年前に夫の転勤により、突如、新潟という見知らぬ土地に移り住むことになりました。同時に妊娠していることも分かり、勤めていた東京の会社も退職しました。好きだった仕事、慣れ親しんだ土地、友人・家族、自由な時間を一気に手放すことになったのです。

子供が生まれ、しばらくは家事育児に奮闘する日々を送っていたのですが、そんななかでもやはり、「どんなに環境が変わっても、自分らしく働いて人生を充実させたい!」という思いが次第に強くなっていきました。それで2016年4月に、思い切って個人事業主としての活動をスタートすることにしました。

全てが初めてのことですから、この1年はトライアンドエラーの繰り返しでした。年始には2人目の子供が生まれるので、さらなる試行錯誤の日々が待ち受けています。それでも、すべてを手放す決断をしたからこそ出会えたのが、今の「新しい生き方」だと思っています。

私の新米ママ&新米個人事業主としての活動をご紹介することで、生き方を変えることに戸惑いを感じていた、数年前までの自分と同じように感じている方へのエールとなれば、とても嬉しいです。

プロフィール:
東京のIT企業で広報経験を積む。現在は夫の転勤先の新潟市で2歳の娘の育児をしながら、個人事業主としてライターと企業広報をしている。広報活動では、約3ヶ月間で契約企業のテレビ露出3本、日本経済新聞、地元最大手の新潟日報など各紙の露出を果たし企業PRと採用活動に貢献。平行して同企業のオウンドメディア『新潟永住計画』では、東京からの“移住者目線”を活かした企画考案や記事の執筆を行う。第2子出産のため現在は産休中。

Contents

母親と個人事業主に同時になってみてわかったこと

「人生終わった」幸せなはずなのにそう感じた

約2年前までの私は、東京で情熱の限り力いっぱい働き、たくさんの友人に恵まれ、独身人生を謳歌していました。が、結婚し、夫の転勤が決まり、娘の妊娠が分かり……人生がガラリと変わりました。キラキラと活躍する友人たちに背を向け、大きなお腹を抱えて”自分の舞台”だった東京を去りました。

働かなくても夫が養ってくれるし、かわいい我が子にも恵まれて、家族のサポートも十分に受けて……こんなに恵まれながら、こともあろうか私は「人生終わった」と感じてしまいました。誤解のないように言い直せば、「私のキャリア人生が終わった」という意味なのですが、それくらい仕事は自分にとって大切であり、自分の存在価値を証明してくれるものだったのです。時には踏ん張ってしがみついてきた“自分の支え”を手放すことは、とても不安で怖いことでした。

細かいことは後回し!開業したら自覚が芽生えた

新潟で専業主婦になり育児に奮闘するなかで「やっぱり自分は仕事を必要としている!」と自覚してから、個人事業主になるまでに時間はかかりませんでした。が、個人事業主として開業するには一体なにをすれば良いのか?「フリーランスって何?個人事業主と同じ?屋号も必要?」など基本的なこともなにもわからない状態でした。

そのため、とりあえずネットで必要そうなものを調べて新潟税務署に行き、窓口の親切なお兄さんに全部書き方を教えてもらいました。「法律的なことは兄(弁護士)がいるし、税務的なことは母(税理士事務所勤務)がいるし、なんとかなるでしょ。まずは開業!」といった勢いで開業届を出してしまったわけですが、結果的に気持ちも引き締まりました。

なにより娘に対して「働く母」になれたことが嬉しく、誇らしく思えました。独り身の頃よりも母親になったことで「どんな自分でありたいか」をより具体的にイメージするようになりましたし、家事育児と仕事では、湧き上がるエネルギーの根源が違うのだということをハッキリ自覚しました。

5分の仕事が5時間に!落ち込んでも夫とママ友のエールが支えに

ありがたいことに東京時代のご縁でいくつかお仕事をいただけるようになったのですが、張り切ってパソコンに向かうものの、大苦戦することになります。集中すれば5分程度でできる内容が、娘の発熱による保育園からの「お迎えコール」で一時中断。作業を再開できるのは寝かしつけた後で、結果的に納品までに5時間もかかってしまうなんてことはしょっちゅうです。これでは仕事にならない、と焦り落ち込むこともよくありました。

そんな時、個人事業主として働くことを応援してくれた夫と、育児の大変さを日頃から共有してきた親しいママ友からのエールが何よりも支えになりました。子供がいなければもっとスムーズに働けたかもしれませんが、子供がいるからこそ出会えた大切な人や仕事のありがたみを日々実感しています。

“スピードの美学”よりも【分割仕事】で心の余裕を確保

子供の病気で仕事に穴をあけることは覚悟して始めたものの、その発生タイミングと回復目処が立たないことが何よりもストレスでした。そこで可能な範囲ではありますが【分割仕事】にしてみました。

例えば、納期が1週間先のライティング案件がある場合、これまでの私であれば「月火で集中して書き上げて早めに納品しよう」という設定をして、残りの日数に他の仕事を入れていました。でも月曜日に限って「お迎えコール」が鳴るもので、そうなると予定が全て狂ってしまい、夜間作業など自身を追い込むことになりがちです。

なので、ついつい染みこんでしまっていた”スピードの美学”を捨て、1週間丸々かけて仕事を分割し、納品日に間に合う設計に変えました。空いた時間は好きに使えばいいし、前倒してもいいし、他の【分割仕事】を進めてもいい。なんといっても心に余裕ができました。

自分らしく働いている!と感じられる瞬間が嬉しい

fullsizerender

新米個人事業主はスキル1本勝負がまだできない。キャラを前面に

個人事業主としてスタートしたものの、まだまだスキル勝負ではやっていけないので、ある意味開き直って「これは難しいけれど、これは得意です」、「一生懸命やるのでチャンスをください」という、まるで千と千尋の「ここで働かせてください!」状態で自分の意思を伝えまくりました。

そして、任せていただいたからには遠慮せずどんどん介入し、相談し、時には意見をしてとことん相手そして仕事そのものと向き合っていく。指示待ちではなく自分で企画を考えてダメ元でも提案するという、本来の自分らしさを全面に出しています。いえ、結果として出てしまっているんですが。

でもまずは「自分がどういうキャラか」をオープンにしたほうが、キャリアを活かすチャンスが早く巡ってくる気がしました。実際に「外注さん」というよりも「外部契約のビジネスパートナー」という一歩近い距離で本気の仕事ができる結果になっていると今は感じています。単発仕事も中長期的でコアな仕事もさせてもらえる、この距離感は私にとって刺激的で「自分らしく働いている!」と感じられる嬉しい瞬間がたくさんあります。

評価にしがみつかない、こだわらないことで謙虚になれた

それでも上手くいくことばかりではないので、ご迷惑をおかけする際はきちんと謝罪し、リカバリーしていただいたことへの感謝を精一杯伝えるしかありません。でも「頭を下げてばかり……」と落ち込むよりも「こういう条件にいる私でも、任せてもらえる仕事があるんだ」ということのほうが幸せに感じられるようになりました。

落ち込むのはきっと、「こう思われるんじゃないか」など相手を通しての自己評価にしがみついていたからかもしれません。育児しながら働きはじめたことで、少し謙虚になれたと思います。特に個人事業主は会社員のように制度やチームワークという概念がないので、状況がよくない時こそ自分の立ち振舞い次第ということを実感しています。

半径10キロの世界を手放した結果、30倍に広がった

まさか自分が個人事業主として働くことになるなんて、2年前の自分には想像できませんでした。しかも事前情報も知り合いも一切ない新潟という土地で、子育てをしながらなんて。

東京で働いていた時の行動範囲や関わる人たちとの距離感は、せいぜい半径10キロ圏内でした。それと比べればもちろん関わる人の数や仕事の種類はぐんと減りましたが、その半径10キロの世界を思い切って手放した結果、「東京ー新潟」の303キロ、つまり約30倍の範囲で仕事ができる環境を手に入れることができました。

東京のクライアントと定期的にチャットミーティングをしたり、オンライン作業をしたり、環境さえ整えば不足なく仕事ができる便利な時代です。ギュウギュウの満員電車に乗ることもなくマイカーで移動し、好きな場所で集中して仕事ができています。育児をしながらだと、東京にいても新潟にいても仕事の量は当面セーブせざるを得ません。それを考えれば、一見ハードルが高そうに思えたその選択が、結果的に自分の人生を充実させることになったと感じます。

大変だと思わないのは、好きなことをしているから

ママ友や友人からは「育児しながら個人事業主で活動して(おまけに妊婦で)ハードじゃない?」と心配されることがあります。もちろん善意からなのですが、自分で選んだ道ですし何より自分が「面白い!」と思える仕事しかしなくなったので、周囲が思うほど大変な苦労をしている実感がありません。

確かに、小さい子供を育てながら母親が社会で働くことは楽ではないですが、これは個人事業主であっても会社員であっても変わらないと思います。そしてこれは子供を持つ男性にも言えることです。両立の大変さを比較するよりも、仕事に熱狂できているか、「面白い!」とシビれる瞬間を味わえているか、ということの方が幸福感に影響すると感じるようになりました。

私の場合、大変あつかましいことではありますが、違和感を感じる、つまり自分が納得できない案件は思い切ってお断りし、自分の強みを活かせる案件のみ引き受けるようにしています。このように“我がままに”活動できるのも個人事業主のメリットの1つだと思います。

どうしたら「余白」を作れるか、楽しめるか

fullsizerender_1

個人事業主だから作れるリセット時間

「新しい生き方」なんて格好つけてみたものの、うまく行かなくて何もかもぶん投げてしまいたくなる瞬間があります。仕事で期待に応えられていないのではという焦りや、もし「良妻良母センター試験」や「仕事育児の両立センター試験」なるものがあったら落ちている、と自信を持って(?)自信をなくすこともあります。

そんな時は自分をリセットする時間が必要なわけですが、そのタイミングを自由に作れるのが個人事業主になって良かったと思えることの1つです。会社員をしていたらまさかトイレで1時間も泣くわけにはいきませんし、車を飛ばして海を目指したり、カフェで心のサプリ本を読むなんてことはできません。仮に行き詰まって全部ぶん投げても、現実は変わらないどころか悪化するばかりなので、「あぁ駄目だ!」と感じたら切り替えてリセット時間を作ります。

デジタルデトックスや育児絵日記で「余白時間」を楽しむ

好きなことを仕事にしているとはいえ、つい追われている感覚や負のスパイラルに陥りそうな時は思い切って「今日はパソコンに触らない日」と決めて、読書などインプットの時間に切り替えるようにしてみました。本を選びとる作業のなかで、”今自分は何を必要としているか”がクリアになります。このデジタルデトックスのタイミングも「毎週金曜日」などと自分にルールを作らず(仕事で相手に迷惑がなければ)、気まぐれでいいと考えています。

そしてもうひとつ毎日やっている「余白時間」の楽しみ方ですが、仕事や育児家事の合間に娘の成長記録を付箋に描いて、Instagramに投稿しています。お恥ずかしいレベルのものですが、いわゆる「育児あるある」を描いた育児絵日記です。イラストアプリを使ったり綺麗に色を塗ったりする時間もテクニックも無いので、普通の付箋にボールペンでサササッと描いています。

すばしこく動きまわる子供をスマホのカメラ越しに追いかけ回すよりも、こうして記憶を辿って我が子の成長を描き残す時間の方が優しい気持ちになれる気がします。この「余白時間」も育児・家事・仕事をこなすうえで自分を追い込まずに済む方法のひとつになっています。今では国内だけでなく海外で子育てしている日本人ママさんからもフォローやコメントをいただけて、励みになっています。

img_0217 img_9927 img_9916 img_9862

スミレ日和

2人育児で仕事復帰、どうやりくりするか

子供が小さいうちはとにかく手がかかって目が離せず、リスクと隣合わせです。この存在が2人に増えるとエネルギーもリスクも2倍になるので、「幸せも2倍だね」などと微笑んでばかりいられません。1人が病気にかかればもう1人にうつる可能性があり、仕事に影響が出る可能性も倍以上になります。いかに共働き家庭として夫と分担してやりくりするか、個人事業主であることを上手く活かしたライフサイクルを作っていくか、が今後の課題になりそうです。

まとめ

もし会社を辞めていなかったら、子供がいなかったら、個人事業主という選択はしていなかったかもしれません。でも、今は母親でありながら個人事業主として「新しい生き方」をスタートしてみて本当に良かったと感じています。

会社員時代、独身時代にもそれなりの苦悩や先が読めない不安はつきまとっていましたし、おそらく解決のすべも自分では見出せずにいました。働き方に関してはどちらかというと保守的でチームワークを重視するタイプだったので、個人事業主という選択を自らするなんて考えられなかったと思います。

でも、これまでの生き方を思い切って手放したことで、何にも代えがたいもの(家族)を得て、自分らしく働けるフィールドにも出会えました。大切なのは、どんな環境にいても自分の本音を捉えること、自分で決断することだと思っています。決断すれば行動が伴い、周囲も協力的になってくれます。

「手放す」ということを繰り返しましたが、結婚も出産も移住も決して受け身ではなく自分で決断したのですから、それができた自分に自信を持ってもよいのではないかと今では思っています。こうして人生を自分で舵取りしているという実感を得られたのは、個人事業主という一歩を踏み出したから、そして最愛の家族がいるからです。どこにいても、親になっても、たとえこれから先も試行錯誤の連続でも、自分らしく働ける方法、輝ける場所がちゃんとあることに感謝しながら暮らしていこうと思います。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US

東京のIT企業で広報経験を積む。現在は夫の転勤先の新潟市で2歳の娘の育児をしながら、個人事業主としてライターと企業広報をしている。広報活動では、約3ヶ月間で契約企業のテレビ露出3本、日本経済新聞、地元最大手の新潟日報など各紙の露出を果たし企業PRと採用活動に貢献。平行して同企業のオウンドメディア『新潟永住計画』では、東京からの“移住者目線”を活かした企画考案や記事の執筆を行う。第2子出産のため現在は産休中。