山間の小さな町から心地いいコミュニティーづくり。和歌山県古座川町に5年で11人の移住者を呼んだ岩倉昂史さんの地域との関わり方

人口3000人にも満たない自然豊かな町、和歌山県古座川町。

岩倉昂史さんがこの地に移住したのは2015年2月。21歳のときでした。

出身地の京都から11県を見て回り、行き着いた古座川町で起業や結婚、子育ても行い、現在は観光や移住者を増やす取り組みにも積極的に関わっている岩倉昂史さん。

彼の影響で11人程の新たな移住者も増えたと言います(2020年2月現在)。

なぜ、岩倉さんはこの地を選んだのか、そしてどんな地域との関わり方をしているのか……古座川町を訪ね話を伺いました。

1年のリミットを決め日本全国の地域を渡り歩き、和歌山へ

ーー まず、岩倉さんが移住を考えたきっかけを教えてください

私が住んでいた京都や大阪といった大都市の一部を変えていくのではなく、小さな町から社会をつくっていければいいなと思いました。

そう思ったのは東日本大震災を経て自らの生き方を考えたことや、ソーシャルビジネスの会社に入って社会に関わるのは面白そうだと思ったことなど理由はいろいろあります。

ーー その考えに至るまでの岩倉さんのキャリアはどんな感じだったのでしょうか?

18歳のときに京都でシェアハウス併設のカフェ経営に携わりました。その歳で経営しようと思ったのは、いろいろ実験してみようと思ったからで、等身大の自分の力で飯を食べていけるのか?というチャレンジでした。

そこからデザインの勉強をしようと専門学校に入る予定が、ある会社で働きながら学べることになり、プチ独立や、転職の末、ソーシャルビジネスへの起業支援を通してデザインや仕事のやり方なども学びました。

移住に興味を持ったのもその頃です。また自分で何かをやろうと思い、1年のリミットを決め日本全国を渡り歩きました。

ーー どんなところに行ったのでしょうか?

主に人口の少ない地域を訪れました。沖縄の本部、山口県や熊本県のサイハテ村など、11県程のいろいろなエリアに。その中には観光のテンションで行くような場所や、すでにしっかり整備されているところもありましたが、個人的には地域のデザインに興味があったので、その視点で人や自然を見ていました。

ーー 和歌山県古座川もその流れで訪れた、と。

はい。最初の印象は自然が壮大で、川がきれいな場所だということ。でも、それだけなら日本全国の田舎にはよくある話ですよね。

でも、古座川で会ったカヌーのインストラクターの方に言われた言葉が印象的でした。「自然の中でどう生きるか」「川の流れはコントロールできない(変えられないけど)自分自身がどう行くかは変えられる」「これからを一緒に考えたい」と。

このように話してくれる人がいる、というのも移住を決断する1つのポイントでした。

楽しくて気持ちいい暮らしをみんなと

ーー 移住されてからは何か変わりましたか?

まず、私が心がけたのは、自分たちの手でつくり、生活の感触を確かめること。例えば、小さな子どもたちの中には「魚が切り身のまま泳いでいる」絵を書くという話を聞きます。自ら魚を獲ったり捌いたり、野菜を種を植えることから始めるという経験がないのです。
これを今どきの子どもはなんて言いますが、僕らは産まれたときから、水道やガス、電気は当たり前のように引かれていて、インフラが整っているのが当然という感覚もあります。

僕らの知らないところで生活は整えられて、その中でただただ暮らせちゃってる。。。なんだか違和感というか、気持ちよく納得して生きている感じがしていませんでした。
知識の納得だけでは気付けない部分、手に感触がある暮らしをしてみようと、古座川に引っ越してまず、畑を耕し、鶏を飼い、ガスは引かず火はマッチでつけるなど、いろんなチャレンジから始まりました。

ただ、勘違いしないでほしいのは、山にこもる”仙人”になりたかったわけではありません(笑)。

自分一人でこだわりたいわけではなく、楽しくて気持ちいい暮らしをみんなとしたかったのです。そのための実験として暮らしを変えていきました。1年目には年間120名もの人たちが体験に来てくれ、暮らしや心境の共有をしていました。
家族もできて実験できる範囲も変わりましたが、これからも「楽しくて気持ちいい暮らし」を探求していきたいですね。

ーー そろそろ移住されてから5年になりますね。

そうですね。移住初期にコミュニケーションのデザインを行う株式会社Kozacaraを立ち上げ、現在はコワーキングスペースも運営しています。

事業は、地元の人にわかりやすいようにチラシ・ポスターなどの印刷やHPを作る会社ですとは言っていますが、もっと踏み込んで、観光や移住など地域をデザインするような取り組みをメインに行なっています。

具体的には、和歌山県や市町村の行政案件、雑誌媒体をはじめウェブマガジンやメディアなど都会の企業とも一緒にプロジェクトを動かしています。

プライベートでは家も買って、京都府出身の妻と結婚し二人の子どもと暮らしています。移住して5年経ちますが、ここで明日どう生きるかを考えて選択するのではなく、「死ぬまでここで生きていくなら」「子どものふるさとはどんな地域であってほしいか」を考えて選択を重ねていくことで、より豊かなコミュニティーができていくと信じています。

ーー 岩倉さんのように地域のキーパーソンになる移住者は他の地域にも必要ですね。

観光も移住もグラデーションだと思っています。冒頭でまずは小さなまちづくりをしたいと思い古座川町に来たと言いましたが、現在は紀南エリア、そして三重や奈良も加えた紀伊半島を盛り上げるという視点にも気付き、エリアのプロモーションなどに積極的に関わっています。

まずはこの地に来てもらうこと、そして人や仕事を紹介するなど、その方がスムーズにこの土地に馴染めるようにサポートしています。

古座川は自然も人も魅力的で、移住者のコミュニティもあるので、ぜひ皆さんにも一度来ていただきたいですね。

ーー 私もはじめて来ましたが、とても魅力的な場所だと感じました。今回はステキなお話ありがとうございました!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

松田 然

ライターカンパニー「合同会社スゴモン」代表。リーマンショック時にライターとなり、以後13年で4000人以上を取材。いろいろな人の働き方や生き方に触れたことで、現在は”自分の旗を立てる「働き方」のサードプレイス「SoloPro」”を運営し、メディア事業、キャリアコーチングなども行っている。趣味では、自転車旅ライター(仕事をしながら47都道府県走破)として、自らも働き方の実験をしている。