「よそ者」から「街を盛り上げる仕掛け人」へ。吉田 知弘さんに聞く、移住した地域における人との関わり方・巻き込み方

初めて山口県・萩を訪れたのが約3年前。

吉田 知弘さんは、全く縁がなかった土地で、マルシェや”ヨシダズナイト”など数々のイベントを企画したり、古い町屋を再生した民泊施設の管理を請け負うなど、現在では地域を盛り上げる仕掛け人の1人として活動しています。

移住してきた当初は経験も何もなく、”よそ者”としてはじめたアクションが、今ではいろいろな人を巻き込み、地域の活性化にも繋がっている……

今回は、そんな吉田さんの考え方や活動から、今いる場所で自分の強みを活かす働き方ご紹介します。

好奇心を軸にキャリアを構築

もゆる
現在、ぼくは萩に1週間滞在しています。面白い人はいないかなぁと街をブラブラしているのですが、今日はお祭りがあるみたいなのでさっそく行ってみましょう!

萩・食の祭典2019 HAGIたまちテーブル

もゆる:なんでも今年初めて企画されたイベントのようですが、すごい賑わいです。運営者は誰かなぁと思い、聞き込みを開始すると……(イベントがあると登壇者や主催者と関わりたくなるライター魂)

あっ、この方です。イベントの企画・運営者でありながら、自らDJとして場も音も作る吉田 知弘さん。

忙しい時にいろいろ聞くのも迷惑だとの思いから、後日インタビューさせてくださいとお声がけさせていただきました。現場からは以上です。

……ということで3日後、吉田 さんがお気に入りの「長屋門珈琲カフェ・ティカル」にて。

ここの豆にこだわったコーヒー美味しかったなぁ

もゆる:先日開催されたイベント「HAGIたまちテーブル」は大成功でしたね。吉田さんは昔から萩でこういうことをされていたのですか?

吉田 知弘さん(以下、吉田さん):いえ、それが僕は萩が地元の人ではなく、ましてやイベント屋さんでもありませんでした。

もゆる:そうなんですか!?

吉田さん:はい。岡山県の倉敷市出身で、萩に来るまでは、東京のアパレル会社で販売を担当し、地元に戻ってからは子供に関わる仕事をしようと思い保育の勉強をしながら、子供服の販売員や買い付けを行なっていました。あっでも、学生時代は人やアイデアを掛け合わせてクラブイベントをよく開催していましたよ。

HIPHOPでいうサンプリング=あるものを抜き出してつなぎ合わせる、ということが好きで。スチャダラパーってわかります?

もゆる:もちろんです。うちら、おそらく同世代です。

吉田さん:そうですね(笑)。当時「とにかくパーティーを続けよう」というフレーズに共感して。今でもとても影響うけています。

もゆる:いいですね〜。そんな吉田さんが、今は萩で自らイベントを開催していますが、経験してきた業界はだいぶ違いますね。

吉田さん:はい。服を売る仕事にも慣れてきて、半分ぬるま湯に使っている感覚もあり……このままでいいのかな? と考えて、今度は場所を変え北アルプスの山小屋や、利尻島のホテルで働いたりもしました。

もゆる:アパレルから山小屋や島のホテルへ。だいぶ大胆なキャリアですね。

吉田さん:そうですよね(笑)自然や人と対峙する中で、次にやりたいことを探していたんです。一時は、住宅リフォームの職業訓練校に入り住宅メーカーへの入社も検討していましたが、そのタイミングで、人づてから「地域おこし協力隊」というものがあると聞きました。そこで、また興味を持ったんです。

まさに好奇心から次のチャレンジを見つけていく感じですね。

地域で有益な情報を得る難しさ

もゆる:いいですね。人生をサバイブしている感じがします。

吉田さん:いやぁ、でも大変でしたよ(笑)どこかの地域にアテがあったわけではないので、長野、高知、京都、徳島……いろいろな場所に伺いましたが、どこもピンとこなくて。まず、そもそも現地に行っても情報が入らない。

もゆる現地ではどういった活動を?

吉田さん:ゲストハウスや地元の店に入って、人に話しかけていました。でも、その地域にちょっと来ただけではなかなか有益な情報を得るのが難しく。

もゆる:わかります。旅で伺う程度なら観光名所などを教えてくれますが、この地で働く、暮らすとなると現地のキーパーソンや友人などと繋がらないと情報を得るのは大変ですよね。

吉田さん:吉田さん:高知の室戸岬で、自分に合う地域を見つけるのは難しいなぁと悩んでいた時に、インターネット上で萩の地域おこし協力隊の募集を見つけました。そして「ruco」というゲストハウスがあるのを知り行ってみようと思いました。萩に今にいるきっかけはここからです。

もゆる:あっ、ぼくも昨晩泊まりました。とても素敵なところですよね。

1階はコワーキングスペースやカフェとして利用できる

夜は地元の方々も集まるバーに。こういったところで交流が生まれる。

吉田さん:ここを拠点に滞在し、街の人と関わっていたら、「まだ萩にいるならうちにも泊まりなよ」と、提灯屋さんの大谷さんという方に声をかけていただきました。

もゆる:それでどうなったんですか?

吉田さん:はい。すごいオープンな方だったのですが、気を使わせてしまうし僕も気を使ってしまいそうだし、お断りしようかなと思っていたんです。でも、せっかくだし、と思って泊めていただきました。2泊も。お酒をいただきながらいろいろな話をしていく中で、こんな言葉をかけてくれました。

「人と違った生き方をしているなら、それをやり続けなさい。妥協しなくて良い。尖った経験というのは、積み重ねると点が線となり、最後には大きな円になる。それが、あなたにしかできない価値になる」と。

なんだか、とても嬉しかったのを覚えていて、今もその言葉に支えられています。

もゆる:いい言葉ですね。ぼくも、人と違うことをやるのは最初は怖かったり人の目が気になりましたが、やり続けていると、それが実績になったり自分のブランドになったりして、自分なりの価値として感じられるようになりました。

吉田さん:この言葉をきっかけにもう少し自分らしく頑張ろうと思い、萩に協力隊として移住しました。そこからいろいろな人を紹介していただき、さらに素敵な出会いがたくさんありました。

もゆる:吉田さんは、自らチャンスを活かせる方ですね!

吉田さん:そうだと思います。私が心がけているのは、出会った人の話を聞くこと。人を紹介していただいたらすぐ会いに行くこと。今もこれを意識してやっています。

「Agree to disagree」意見が違っても一度受け入れてみる

もゆる:それから萩ではどんな活動を?

吉田さん:最初は農政課に所属し、萩の夏みかんを担当しました。その時、観光課の「夏みかんまつり」の際に使われていない場所を活用してイベントを企画・提案し開催したら好評いただいたんです。

他にも、中学生を呼んで民泊体験を企画したり、地元のパン屋さん「yuQuri」と美容室「kilico」で「ヨシダズナイト」というイベントを開催したり、地域づくり推進課が企画する、萩津和野旅「人に出会うご縁の旅」のアテンドを務めさせてもらったり……その中でいろんな人と関わる機会を得ていきました。

もゆる:なんだか最初からいろいろと巻き込み巻き込まれていますね。移住者ながら、いろいろと任されるくらい信頼を築けた理由はどういったところにあると思いますか?

吉田さん:そうですね。僕の場合は、好奇心のまま街を歩きまわって、挨拶して、声かけてということをずっとやっています。そういうことが結果的に信頼に繋がっているのかなと感じます。

もゆる:そういうのとても大事ですよね。

吉田さん:はい。萩の中でも市外でも、フットワーク軽く自分から足をつかって出向いていたり、とにかく人に会うのはとても大切だと感じています。

もゆる:今回の「 HAGIたまちテーブル」のイベントもその繋がりで?

吉田さん:はい、地域の人や役場の人と日々の信頼を積み重ねていたので、今回も日程と場所、予算が決まった中で企画運営の依頼をいただきました。

今回は一人で請けて、実行部隊はほぼいない状態からのスタートでしたが、自分の良さとして、フットワークが超軽いのでまずはやってみようと。


もゆる:街のよそ者が地元の人や行政を巻き込むのは大変だと思いますが、意識していたことはありますか?

吉田さん:協力隊を受け入れる側の行政ならではの大変なことを理解しようとしてきたのも、信頼してもらえた一つの要因かもしれません。あとは、自分の好奇心を優先して動くこと。言われたことをただやるのではなく、まずは自分がやりたいことかを大事にしています。

もゆる:よそ者だからこそ地域に媚びるのではなく自分を大切にしながら地域にできることをする、と。とても参考になります。

吉田さん:あっ、もう1つ大切にしていることがありました。Agree to disagree

もゆる:アグリー トゥ ディスアグリー?

吉田さん:意見が違っても一度受け入れてみる。そこから自分の意見を言うこと。人を巻き込む上で大切にしている点です。

もゆる:勉強になります! ありがとうございます。

 

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