好きなことで稼ぐ力は「小商い」で身につけろ 〜元丹波市議・横田親さんが、これからの時代の豊かさを伝授する

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こんにちは。SoloPro編集長の松田 然(もゆる)です。今回は、兵庫県東部にある丹波市までやってきました。

2016年12月4日付で丹波市議会議員の任期を終えたばかりの横田親さんのご自宅におじゃまして、聞きたかったのは、個人事業主や起業家が避けて通れないテーマである「稼ぐ力」について。

好きなことをやるだけなら簡単。稼ぐだけならやってやれないことはない。でも、自分らしい活動でお金を生み出す力がある人が、どれだけいるでしょうか?

横田さんは議員時代から、小商い塾を主宰するなどして、「稼ぐ力」を広める活動に力を入れていました。そんな横田さんに、自分らしい活動で「稼ぐ力」をつける方法、そして議員を辞めた、これからのことについて聞きました。

◎横田親(よこた いたる)

1982年、三重県生まれ。株式会社リクルートエイブリックに6年間勤めた後、兵庫県丹波市に移住。在住約2年3か月ながら投票日10日前に立候補し、丹波市議会議員に最年少で当選。小商い塾を主宰したり、市内に数多くのコミュニティを立ち上げたりと、様々な手法で全国から移住者や旅人を集める。

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年収が高いことが本当に幸せなのか?

今日は「稼ぐ力」をテーマにいろいろと話を聞いていきたいのですが、その前にまずお聞きしたいのは、横田さんがなぜ、縁もゆかりもなかった丹波市で活動するようになったのかってことです。

横田 親さん
それは、これからの時代の幸せの形というのは、丹波市のような田舎にこそあるのではないかと思ったからです。というのも、僕はもともとリクルートのグループ会社で働いていたんですが、当時はリーマンショックの後で、経済が停滞し始めていました。

そうした状況を考えたら、今後も日本で暮らしていく上では、「年収が低くても豊かな暮らし」について考える必要がある。そのヒントは田舎にあるのではないか、と感じたんです。当時、僕は大前研一さんのBBT大学(オンラインのMBAスクール)に通っていたので、そのフィールドワークを兼ねて丹波を訪れたのが、ここでの活動の始まりです。

感情的な幸せは、年収7万5000ドル(約900万円)までは収入に比例して増えるけれど、それを超えると比例しなくなるって聞いたことがあります(米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授の研究)。横田さんが考える「年収が低くても豊かな暮らし」とは、どういうものですか?

横田 親さん
年収って、他人の決めるものだから自分じゃコントロールできないですよね。そういう他人の決めた指標に踊らされるから、ストレスが溜まるんです。そして溜まったストレスを発散するために浪費するから、さらにお金が必要になる。

その点、田舎にはもともとストレスになるようなことが少ないし、自給自足の生活をすれば、仮に年収が180万円程度であっても、実質的には年収300万円くらいの生活ができてしまうんです。

今、地方へのIターン・Uターンは、その意味でも注目されていますよね。私の親も、東京から新潟の田舎に移住して、畑を耕したり、海でとれた海産物と野菜を物々交換したりして生活しています。一時期流行ったロハスな生活をしてみたかったみたいですが、だいぶストレスフリーな生活が板についてきたようです。

妹は妹で、旦那さんと一緒に山を開拓して畑を作っていて、収入は減ったと思いますが、なんだかとっても豊かな生活をしているように感じます。

ちなみに、お兄ちゃんである私は東京に住んでいますが、地方を転々と回りながら仕事を生み出しているので、心は豊かですよ(笑)

小さくてもいい。まず始めるところから「稼ぐ力」は生まれる

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「年収が低くても豊かな暮らし」があると言いながら、横田さんは議員在任中、「稼ぐ力」をテーマに活動していましたよね? 「年収が低くても豊かな暮らし」と「稼ぐ力」には、どういった関係があるのでしょうか?

横田 親さん
私が考える「稼ぐ力」とは、価値を生み出し、それを伝える力のことです。

丹波って、正直どこにでもあるような普通の街です。すごい観光名所があるわけでもないですし、スターのような人がいるわけでも、交通のアクセスがいいわけでもない。でも、そんな普通の街にも磨けば光るものがある。

例えば、丹波の野菜はブランド野菜として高く売れますし、多くの人が自分の個性を活かして自発的にイベントや勉強会を開いています。住民一人ひとりがそうした強みを磨くことができれば、普通の街にも「稼ぐ力」はあるんです。

稼ぐとは、価値を生み出し、それを伝えること……なるほど! それができれば、自然とお金はついてくるということですね。

横田 親さん
はい。そしてそこでいう「価値」というのは、何もものすごいイノベーションである必要はない。小さくてもいいから、まずは始めてみることが大事だと思います。僕が小商い塾で伝えたいのも、そのことです。

最初は売れなくても、続けていればお客様が何を求めているかを知ることができる。経験を積んでできることが増えていけば、いずれはそれを仕事にできることもあるかもしれない。

議員として活動したのは、丹波のような普通の街の成功例を全国へ発信することで、「稼げる」という自信を持った人の輪を広げていけるんじゃないかと思ったんです。

自分らしく働くというのがこのメディア(SoloPro)の1つのテーマでもあるのですが、「小さく始める」というのは一つのヒントになりそうですね。

マジで一番テンションの上がることを仕事にしちゃえ!

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横田 親さん
小商い塾でよく伝えている「5:2」という数字があるんです。「5」はストレスがどんどん増えていくもの。「2」は逆にストレスが減っていくもの。これって何のことだか分かります?

ピンときちゃいました(笑)。1週間の平日と休日ですか?

横田 親さん
そうです。でも、こんなバランスじゃストレスがどんどん増えていくのは当たり前ですよね。だったら、この平日の5日に好きなことをして稼げばいいんじゃないかと。

ただ、いきなり会社を辞めて、全ての時間を好きなことにあてるのは大変です。なので最初は、平日に1日4時間だけ好きなことに取り組む。これで平日だけで5日合計20時間。休日は1日がっつり12時間半取り組めば、1週間で45時間も好きなことに時間をあてることができるようになる。これが、小商いの考え方です。

続けていけば、1か月で180時間、1年で2160時間、4年で8640時間……。これだけやって売り上げが出なかったら、やること間違ってますよ(笑)

そしてもう一つ。好きなことっていうのは、頑張ってやるようなことじゃなく、ついついやっちゃって没頭しちゃうようなこと。僕であれば、町の変革に関わることであり、人の成長のきっかけを与えることです。だから、人の人生をひらくような仕事をしています。

よく、「好きなことを仕事にすると、それが次第に嫌いになってしまうんじゃないか」って心配する人がいるんだけど、すぐ辞めちゃうのは本気で好きでないだけかもしれない。まずはマジで一番テンション上がることを、小さくてもいいからやってみてほしいですね。

私も自転車旅は中学校の頃からやっている「マジで好きなこと」なのですが、今はそれが仕事になりましたからね。夢中になれることをするって大切ですよね。実は丹波に来る前も、鳥取を自転車で走ってきました(笑)

横田 親さん
旅なんて、それこそやりたい人がいっぱいいるレッドオーシャン(競争過剰)な分野ですが、自分が本気で好きなことなら続けられるし、自分のありたい姿を実現するために好きなことを仕事にするのはいいですよね。

ありがとうございます。そんな横田さんは今後どんなことをしていく予定ですか?

横田 親さん
議員経験を通じていろいろなネットワークができましたし、何かやるのに「誰に、なにを、いつ、誰から、どのように伝えるべきか」みたいな社会の構造が分かってきたから、議員でなくてもできることがあると思っています。再出馬しなかったのはそのためです。

今後は活動の質と速度と総量を高めるためにもう一度フリーになって、丹波を拠点にしながらも、日本全国に小商いを通じて自分らしく稼ぐ人を増やしていきたいと思っています。

勉強になりました!そして横田さんのこれからの活動が楽しみです。本日はありがとうございました。

 

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