「長崎から、新しい働き方を」地域メディア運営やICT(情報通信技術)人材育成を担う、株式会社コミュニティメディア 米田利己 社長の想い

韓国との国境の島、長崎県対馬。江戸時代の鎖国政策時にも海外との交易拠点になっていた長崎県出島。

この2つの場所に拠点を構え、ケーブルテレビ(CATV)の運営や、Webデザイナーに必要なスキル・ノウハウを習得する専門スクール「デジタルハリウッドSTUDIO」を開設している、株式会社コミュニティメディア代表の米田利己さん。

「放送や通信で地域を活性化し、さらには人材育成や、様々な分野のプロフェッショナルが交流できる場を提供していきたい」と話す米田社長の言葉からは、これからの時代に求められる地域や企業のあり方、そして一人ひとりが自分らしく働くためのヒントがたくさん詰まっていました。

今回は、プロの働き方発信サイト「SoloPro」編集長の松田然(もゆる)が両拠点を実際に訪れた際に感じたことや、米田社長にお聞きした“想い”をご紹介します。

プロフェッショナルな人材の育成や起業支援を行う拠点へ

ということで……こんにちは、もゆるです。長崎県長崎市に2021年新しくできた「デジタルハリウッドSTUDIO出島」に来ています。

“自然と一体となり、新しい働き方を!”をコンセプトにした、「コワーキングスペースAGORA出島」と一緒に運営されており、室内には……

16Kの解像度をほこる大型モニター、高い天井にモダンな椅子に快適なソファ、VRなどの最新のデジタルデバイス

Attic coffeeの淹れたてのスペシャルティコーヒーや、対馬の大石農園直送の和紅茶もいただけて

海の目の前だからこその、この贅沢な景色!

ICT産業の振興に力を入れている長崎県の、関連人材の育成や起業支援を行う拠点としてオープンしたそうです。長崎の出島と言えば、日本史の教科書に必ず出てくる場所ですよね。鎖国政策時にも海外に開いた国際交流拠点になっていた、当時に想いを馳せながら世界に通用する人材を育てていくなんて夢があります。

首都圏などから長崎へワーケーション(Work& Vacation)をする際の拠点としても活用できそうなところでした。

この場所を手がけた株式会社コミュニティメディア代表の米田利己さんとの出会いは、同じく長崎県にありながら、なかなか行く機会がなかった対馬にて。佐渡、奄美大島に次ぐ大きさの島であり、日本本土より韓国の方が近いこの場所にも、「デジタルハリウッドSTUDIO対馬」や「コワーキングスペースAGORA対馬」を運営しています。

ここでも、地域にICTやクリエイティブの教育を行い、そこで育った方々に仕事も提供することで、地域を盛り上げる活動をされています。実際に、デジタルハリウッドSTUDIO対馬の受講生や卒業生を何人かインタビューしましたが、学びや出会いで人生が変わっていく姿に感銘を受けました。

そして、優しい人柄がそのまま顔に現れたような米田さんですが、お話を聞くと、長崎にかける想いや社員を大切にする気持ち、そしてさまざまなプロフェッショナル人材とのコラボレーションで新たな価値を生み出していく気概をとても感じる方です。

少し前置きが長くなりましたが、早速インビューにうつっていきましょう!

45歳、地元の長崎で起業

もゆる

米田社長が代表を務める株式会社コミュニティメディアは2007年に創業されています。最初はどういった事業をされていたのでしょうか?

米田さん

独立したのは、私が45歳の時でした。それまでは大手電機メーカーの防衛庁(現防衛省)担当部署で情報通信に携わる仕事をしていて、ここで得た経験をもとに生まれ故郷の長崎で地域の情報化に役立つ事業をしたいと思い起業したのです。

創業当時は、長崎市の出島に小さなオフィスを構え、翌年に生まれ故郷の対馬市にてCATVの指定管理者の公募があったのを機に、2009年10月より対馬メディアセンターを開設しました。人口3万人の島で、今でこそほぼ全世帯にCATVが導入されていますが、当時は契約者はおろか、配信するコンテンツもない状態からのスタートだったので大変でしたね。

もゆる

起業してすぐにCATV事業の立ち上げは苦労も多かったと思いますが、どういった放送をされてきたのでしょうか?

米田さん

テレビの自主放送では30分の情報番組を毎日配信しています。島には大小130の神社や、風光明媚な自然の風景、貴重な史跡などたくさんの見所があり、そういったスポットを取材し番組を作っています。

もゆる

2011年6月には日本ケーブルテレビ連盟の番組アワードでグランプリ(総務大臣賞)を受賞するなど、コンテンツづくりに力を入れているのですね。

米田さん

CATV事業は放送の役割だけではなく、通信の高速化やリスク対策なども担っています。例えば、「漁村カメラ」。島内31箇所の漁港に24時間稼働の監視カメラを設置し、気象情報や防犯確認などを、自宅のデバイスやスマホなどで確認できる「地域見守り支援サービス」として展開したり、島の全戸(約1万6000世帯)を光ファイバー網でつなぐことで医療や福祉などのサービスも提供しています。また、そういった情報通信技術に携わる人を島内で育てることで雇用の創出にもつながっているのです。

もゆる

放送・通信を整備することで地域が安全に、そして豊かになっていますね。私が2020年に島を訪れた際は、貴社が運営する「デジタルハリウッドSTUDIO対馬」にも伺いました。ITやクリエイティブ人材の教育を行い、卒業生がコミュニティメディアの社員として活躍することも多く、とても素敵な循環ができているなと感じました。何より、学んでいる生徒さんの顔がみんなイキイキしているのが印象的でした。

ICTのプロフェッショナルを育て、地域の情報格差を無くす

米田さん

「デジタルハリウッドSTUDIO対馬」は、2018年12月に厳原にオープンし、地元の社会人や若い世代を対象にしたWebデザイナー講座を行っています。コロナ禍前は、国内外のアーティストを対馬に呼び作品制作に打ち込んでもらうアーティスト・イン・レジデンスを手がけ「対馬アートファンタジア」という芸術祭も行うなど、クリエイティブな人材の教育や交流などの機会も作っていました。

もゆる

米田社長がそこまで地域や人のために動ける原動力はどこにあるのでしょうか?

米田さん

私が生まれた対馬は島だったので、限られた経済圏で、本土と比べて情報も十分には享受できない環境でした。ただ、アマチュア無線が趣味だった私は、対馬にいながらBBCやラジオオーストリア、南米の放送を聴いたり、世界6大陸の人々や南極の昭和基地とも交信したりと、通信の面白さを知る原体験がありました。そして、今は場所を問わずインターネットがつながれば公平な情報を得られます。さらに、地方でも通信やコンテンツを学べる環境を整えれば、首都圏に人材流出することなく、地元で人を育てていくことも可能なのです。

もゆる

実際に、デジタルハリウッドSTUDIOが対馬にあったからUターン・Iターンしたという生徒さんも多くいますよね。地域だからこその教育や人材育成のあり方を貴社からはとても感じます。

そして、コミュニティメディアの社員の働き方の柔軟性も特質すべきものだと感じます。長崎だけではなく、金沢や東京にも拠点を設けたのは、パートナーの転勤などに伴って退職ではなく、その先でも働く機会を作るためだったともお聞きしました。

また、デジタルハリウッドSTUDIOでWebデザインを学んだ主婦の皆さんを社員にして、個々のライフスタイルにあった働く場を提供したりもしていますよね。そんな皆さんの声も聞きましたが、とても貴社に感謝していたのが印象的でした。

米田さん

ありがとうございます。これからも、ICTを学ぶ機会と場を提供し、仕事を創る力を育むことで、大切になものを大切にしながら、自分らしくイキイキと働く人を増やしていきたいと思っています。

文化の交流拠点「長崎」で、これから手がけていきたいこと

もゆる

そして今回、長崎市にも大きな拠点を開設しました。

米田さん

ここ「長崎出島ワーフ」は観光客も地元の方も多く訪れる場所です。コロナ禍中の開設でしたが、落ち着いたら全国各地、海外からも人が集まる拠点にしていきたいですね。

もゆる

その魅力がここにはあると感じます。他にはどんなことを実現していきたいですか?

米田さん

現在、地元の大学のサッカー部と連携した取り組みを行っています。デザインやHP制作、映像制作の技術でチームをサポートし、試合の映像配信やチームのチラシやグッズを手がけるスキルを選手自らも身につけたり、選手引退後のキャリアにも役立てるように支援しています。

また、長崎の出島はとても素晴らしいロケーションなので、ワーケーションの拠点にも使えるようにコワーキングスペースとしても開放しています。

もゆる

私も旅ライターという仕事柄、全国いろいろなコワーキングスペースを利用しました。でも、ここまで快適に過ごせて、仕事風景も“映える”場所はあまり記憶にないのが正直なところです。長崎に来たら、長期滞在しながらここで仕事したいなと思いました。

米田さん

もゆるさんみたいに自転車に乗る人におすすめの場所も開拓しています。ここから車で45分くらいの野母崎で「コミュニティスペース・リップル」も運営しています。自転車だとちょっと遠いのですが、コワーキングスペースにもなっているのでぜひ活用して欲しいですね。

もゆる

それはいいですね! ※後日、サイクリングで行ってきました。すごい素敵な場所でした!

アメリカ西海岸のような雰囲気が素敵
海が青い!
軍艦島を見ながらサイクリングもできます。
もゆる

米田さんのお話を聞いていると、どの地域もまずは“人”だと強く感じます。想いが強い人がいれば、そこに人が集まるし、育っていく。このサイクルを自ら体現し、場所も作り、ICTなどの技術も積極的に取り入れていく姿勢にはとても刺激を受けました。

米田さん

長崎は昔から文化の交流拠点でした。そして、今はデジタル技術があれば、どこでも学べて、働ける時代です。過去の歴史や、今ある最先端を学び、未来につなげていくことで、長崎から日本を盛り上げていきたいですね。私もこれからが楽しみです。

 

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