コネもツテもない土地で仕事をつくるには?沖縄からの「逆上陸」を狙う金城辰一郎さんの戦略

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生まれ故郷の沖縄に戻り、デジタルマーケティングエージェンシーを立ち上げた金城さん。記事の前編では、順風満帆だった東京での生活を捨て、起業という道を選ぶまでをご紹介しましたが、後編では、実際に起業してから直面した苦労や、軌道に乗せるまでにやって来たことについて聞いています。金城さん流の「地方発の仕事のつくり方」とは?

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リアルとブログの両輪で地道に営業。「ムラ社会」に居場所を作る

生まれ故郷とはいえ、いきなり沖縄で起業することに勝算はあったの?
金城
そうですね。人脈も仕事もなかったのですが、自分ならやれるという自信だけはありました。東京のスタートアップで揉まれてきた経験っていうのは大きいと思うので。

直前まで在籍していたBASEでは、オンラインの世界へ集客するための施策として、オフラインのイベントを企画したりしていました。沖縄でもWebサイトへの集客はもちろん、イベントや実店舗などへ集客する仕組みを考えることも多いのですが、どちらもWebマーケティングという点では変わらないですから。

結局どこで仕事をするにも基本は変わらないので、培ってきたスキルや経験がものを言うってことだね。じゃあ独立してから苦労することはあまりなかったのかな?
金城
とんでもない!もちろんありましたよ。仕事の繋がりが全くない中でのUターンでしたし、本当に次の仕事の見込みがない中での独立でした。

これは地方にありがちな話かもしれないのですが、和を尊ぶというか、繋がり中で仕事が回っているのは感じましたね。日本の中の狭い島である沖縄は特にその傾向が強いかもしれません。あとは、Webを積極的に活用していない企業も多いので、どう自分の価値を知ってもらうかが課題でした。

地方は「ムラ社会」みたいなものもあるから、移住して最初の頃は仕事を得るのに苦労するという話はよく聞くよね。金城くんはそれを乗り越えるのに何を心掛けたのかな?

金城
最初は地道に地域に根ざして活動している企業や代理店を訪問して、自分の強みをしっかりプレゼンして一つ一つリレーションを構築していくという正攻法で頑張りました。そうやって1つ繋がって信頼が得られると、他の方を紹介してくれたりすることも増えて、仲間に入れてくれる感覚がありましたね。

あとは、そうしたリアルの世界での人脈作りと並行して、今まで通りブログやSNSで情報発信することも続けていました。また、沖縄来てからの面白い変化は主催するイベントの数が増えたことですね。「この分野のプロフェッショナルですよ」と自分から伝えることで向こうから仕事がやってくるというのは、どこにいても変わりません。

地域に根を張りつつ、オフラインを駆使して東京に「逆上陸」

金城
そうやって地道に活動するなかで気付いたのは、沖縄では企業も代理店も新聞などのメディアも、Webに対する課題感が大きくある。だからこそのチャンスがたくさんあるということです。これは、東京にいたままでは気付けなかったことじゃないかと思います。

そう考えたら、これまでに培ってきた経験を活かせれば、ここでも何かできそうだという実感がわいてきました。それに、沖縄は観光資源が多く、コンテンツがたくさんあるので、仕事をしていて面白いですよ。例えば先日開催されたMONGOL800が主催の夏フェスのWebを任せてもらったり、地元を代表する企業のオウンドメディアやSNSを使った企画ができたりと起業当初に思ってた以上に毎日忙しくなっています(笑)

スタートダッシュとしては順調だね!他に沖縄に移住したからこそのメリットと感じていることはある?
金城
個人的なことで言えば、実家の前が海なので、すぐに気分転換ができるのはいいですね。仕事は電源・WiFiがあるカフェまで行けば集中できますし、一人で仕事していることが多いので無駄な会議もありません。昔からの友人もいますし、東京の知人もたくさん沖縄にきますので、帰ってきて良かったなと思うことが多いです。
沖縄の海がすぐ近くにある暮らしは憧れるなあ!
金城
ただ起業当初は不安で、仕事ばかりしていた時期もありました。いや、今もなんで、もっとメリハリつけて遊ばないとダメですね(笑)
一方で沖縄は東京と比べて時給単価が安いから、収入面でどうなのかと考える人もいると思うんだけど?
金城
その点は確かにその通りなんですが、だからこそ沖縄から東京、海外へ「逆上陸」する構想でいるんです。地元の仕事は続けていってしっかりと信頼を築きながら、一方では東京に向けて情報発信したり、イベントなどを展開していくことで、地方にいながら県外のクライアントの仕事を請けることもこれから増えていくと思います。
その意味でも、金城くんにとってブログやSNSは欠かせないツールなんだね。

どんな場所にいても新しい挑戦ができる時代になってきた

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金城
起業して感じるのは、個人だからできることって意外といっぱいあるなってことです。実は最近、本を出版したのですが、これもブログで書いていたことが出版社の編集さんの目に止まったことがきっかけです。

金城
「チャットボット」というのはコミュニケーションを自動化するプログラムのことで、「Facebookメッセンジャー」や「LINE」などで活用され始め、今注目が集まっています。僕自身もこれから注力していきたい分野で、これを使ったビジネスを展開しようと、熊本にいる友人と遠隔で開発を進めているところです。
オンラインでプロジェクトメンバーと繋がって開発できれば、どこに住んでいるかは関係なくなるね。
金城
そうなんです。だから僕自身も、今後は個のスキルをもっと磨いて、いろいろな地域や国に呼ばれるような面白い実績を上げていきたい。どこに住んでいてもチャレンジできることの幅が広がっている今だからこそ、世界にインパクトを与えられるということを、人生を通じて証明していきたいです。

金城くんのようにスキルや経験、そして好奇心があれば、どんどんボーダレスに活躍できる時代になってきたのをすごく感じました。素敵な話が聞けて良かったです。ありがとう!

 

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