知名度も実績もない僕が、世界中を飛び回りながら「好き」を仕事にできた理由【プロインタビュアー・早川洋平さん】

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大人気のインターネットラジオ番組『キクマガ』にて、インタビュアーを務める傍ら、数々の番組のプロデュースも手がける早川洋平さん。代表を務めるキクタス株式会社から配信される番組のダウンロード数は、全世界で累計1億5,000万回を超えています。

そんな多方面でご活躍の早川さんですが、ここまでの道のりは長く、遠回りもたくさんしたと言います。今回のインタビューでは、早川さんが「好き」を仕事にするまでに、何を考え行動してきたのか、お話を聞かせていただきました。

早川 洋平
プロインタビュアー/キクタス株式会社代表取締役

1980年7月24日横浜生まれ。新聞記者を経て2008年、インターネットラジオ番組『キクマガ』をスタート。よしもとばなな、加藤登紀子、茂木健一郎、高城剛ら150人以上のゲストが出演、累計ダウンロード数は1,600万回を超えている。企業・機関・個人のメディアを創出するプロデューサーとしても活動。代表を務めるキクタス株式会社から配信される番組の累計ダウンロード数は、全世界で累計1億5,000万回を超えている。

公式HP:http://yohei-hayakawa.com
キクマガ:http://kiqmaga.com
キクタス株式会社 http://kiqtas.jp/

激務から心身を壊し、苦しみ続けた記者時代

大学を卒業し入社したのは、ある新聞社でした。なぜなら学生時代から色々な場所に行って、色んな人に会って、価値観を広げることに興味があったから。また新聞社の記者になれば、自分の足で得た情報を世の中に届けることによって、社会の役にも立てるのではと考えたのです。

しかし、報道記者となった僕は、毎日24時間365日、事件を追いかける日々。朝・夕刊があるので、常に締め切りに追われ、心休まる暇もなかった。そんな想像以上の激務についていけず、ほどなくして体を壊し入院をしてしまいました。

幸い大事には至らなかったので、職場にはすぐに復帰できたのですが、理由もなく心が激しく落ち込む毎日。自分でもどうしていいかわからず、この頃はよく平日の昼間に一人で公園に行っては、ぼんやり空を眺めて涙を流していました。それまで、一度も死について深く考えたことはありませんでしたが、この時初めて、自ら命を落とす人の気持ちがわかりました。

そんな僕を心配してくれた友人のすすめで、心療内科を受診。医者からは、うつと診断されました。その後も復職と休職を繰り返し、なんとか記者を続けようと努力しましたが、結局新聞社を退職する決断をしました。

「何の制約もなかったら、何をやりたい?」と自分に問いかけた

しばらく横浜の実家で静養した後、編集プロダクションを経てあるイベント会社で働きました。でもその頃の僕は、毎日深夜まで働いていたにも関わらず、ノルマ未達で年収は減るばかり。このままでいくと、近い将来クビになりかねない状況でした。

そんな八方塞がりだった僕は、ある朝、会社の近くにあるカフェに入って、自分に問いかけました。今死んだら後悔しないか、と。答えはYES。じゃあ死ぬ時に後悔しない人生を歩むために、何の制約もなかったとしたら、自分は何をやっていきたいのだろう。

その時に頭に降りてきたのが、当時から大好きだった『インターネットラジオのポッドキャスト』、『インタビュー』、『本』という3つのキーワード。 そこでこの3つを掛け算し、「ポッドキャストで本の著者にインタビューをしたら面白いんじゃないか」と閃きました。

でも、ポッドキャストで番組を作ったこともなければ、転職をしてからインタビューの仕事をまったくしておらずブランクもある。著者の知り合いもいない。何から始めていいか分かりませんでしたし、いきなり全てを捨てて起業するのは、さすがに怖い。どうしようか考えていた時、会社員をしながら土日のみ別のビジネスをするという「週末起業」の勉強会があることを知りました。「ここに行けば、自分のやりたいことのヒントがあるかもしれない」と、藁をもすがる想いで参加することにしました。

すると、当時かなり珍しかった、自らポッドキャストの番組を運営している方に出会えたのです。さらにその方と話をしていたら、今度本を出版するとのこと。これはチャンスだと思って「今度、ポッドキャストで本の著者にインタビューをしたいと思っているんです。出演していただけませんか?」とお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。それで生まれたのが、現在の『キクマガ』の前身である『人生を変える一冊』という番組なんです。

3ヶ月で大手メディアを抜き、iTunesランキング1位に!

やっぱり0と1は決定的に違う。繰り返しになりますが、それまで僕は著者の知り合いなんて一人もいませんでしたが、著者同士は繋がっているんですよね。第1回目の出演者からどんどんご縁が広がり、会社員をしながら月に8人ぐらいずつインタビューができるようになりました。

ただ、番組を始めた当初は本当に忙しかった。本業だけでもハードだったのに加えて、インタビューの編集作業は取材時間の約5倍かかるので、毎日3~4時間睡眠。周りからは「もうちょっと休んだら?」と心配されていました。

それでも、やっと「これしかない!」と本気で思えることが見つかって、水を得た魚じゃないですが楽しくてしょうがなかった。まるで、何かにとりつかれたようにやっていましたね。人って本当に好きなことが見つかると、たとえ睡眠時間が少なかろうが、周りから反対されようが、誰にも止められないのかもしれません

また、月に8人ずつインタビューをしてよかったのが、著者のファンの方たちも僕のポッドキャストを聴いてくれるようになったこと。なぜなら、著者の方も番組で自分の本を紹介されるのは嬉しいこと。ブログやメルマガで「今度ポッドキャストに出演するので、チェックしてくださいね」とよく告知をしてくれました。

彼らのファンからみても、無料で著者の対談が聞けるわけだから、デメリットがない。結果的に倍々でリスナーが増えていき、番組を始めて3ヶ月後には、BBCやCNNなど大手ニュースメディアを抜き、iTunesポッドキャスト・ランキングで1位になりました。

この時に、「これはすごいぞ!」 と思いました。今の時代、本当に面白いことをしたら、僕みたいな個人が大手メディアと同じ土俵で戦えるんだ、と。このポッドキャストというメディアは、ものすごく可能性があるんじゃないかと直感的に思いました。

独立して3週間後にはリーマンショック勃発。半年間無収入に

しばらくすると、ある証券会社からCMを出したいと言われ、スポンサーもつくように。それまでマネタイズをまったく考えずにやっていましたが、収益も上がるようになりました。

もちろんこの収益がずっと続くとは思っていませんでしたが、ポッドキャストの可能性にかけたいと思い、会社を退職。……が、その3週間後にリーマンショックが勃発! それがきっかけでスポンサーがなくなり、すぐ無収入になってしまいました。人生って本当に何があるかわからないですよね(笑)

でも、「このメディアは、これからますます伸びる!」と信じていたので、半年間耐え続けた。すると、インタビューをさせていただいた方々から、自分たちの番組を作ってほしいとプロデュースの仕事をいただけるようになったのです。

彼らはみんな一流の起業家や経営者なので、これからこのメディアが面白くなることが見えていたんでしょうね。次第にプロデュースの依頼が増えていき、個人だけではなく、企業や大学などの機関までクライアントに。今では、このプロデュース業が、僕が代表を務めるキクタス株式会社のメイン事業のひとつとなり、弊社から配信される番組のダウンロード数は、全世界で累計1億5,000万回を超えるようになりました。

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好きなことを仕事にできる人、できない人の違い

やっぱりここまで広がった理由としては、ポッドキャスト自体が、無料で世の中に拡散するメディアだったこと。さらにスマートフォンの普及にともなってユーザーも増えて、 時代が味方をしてくれたことも大きい。

でも、僕からすると、本当に好きなことを続けていけば、結果は後からついてくると思うんですよね。じゃあなんで、世の中には好きなことを仕事にできる人、できない人がいるのか。その違いは『三方良しができているか』だと思うんですよ。

例えば、僕がこのビジネスを9年も続けられているのは、まず『僕自身』が楽しんでるんですよね。さらに『取材された相手』も、自分の良さを引き出してもらって肉声でリスナーに想いを伝えることができる。彼らにとってもPRになるんです。それで二方良しじゃないですか。

プラス、『リスナー』はそれを有料で買うのではなく、有料でもいいようなクオリティのものを無料で、しかも場所と時間を超えて受け取れる。この三方良しの場がポッドキャストなんですよ。この三方良しがあるから、その輪がグルグルとちょっとずつ、でも確実に大きくなって、気づいたらクライアントもリスナーも増えていったんです。

もしそれが1~2年だったら僕の勘違いかもしれないけれど、9年サービスが続いているし経済的にも上手くまわっている。だから、この考え方は間違ってはいないんじゃないかと思います。

累計1,500万ダウンロード突破!早川さんが手がける番組『キクマガ』は、なぜ人気なのか?

実は僕自身がパーソナリティを務めている番組『キクマガ』でインタビューをする際も、この『三方良し』という考え方を大事にしています。例えば、僕が自分の聞きたいことだけを聞いていたら、自分勝手なインタビューになる。でも、相手にとって、ひいてはその後ろにいるリスナーにとっても役立つ質問であれば、みんなハッピーになれる。

ただ時には例外もあって、三方を意識し過ぎると平凡な質問になってしまうこともある。例を挙げると、トップランナーの中には、自分の成功談しか語りたくない人もいる。でも、リスナーは成功談よりも失敗談やそれをどう乗り越えたかという話こそ聞きたいだろうし、僕自身もそういう話ほど人生の役に立つインタビューだと思っています。

だから、もし失敗談など踏み込んだ質問をした時、相手が身構えたら、僕はICレコーダーを止めて説明します。こういう質問をしたのは、あなたの過去を根掘り葉掘り聞いて陥れたいわけでも、興味本位で聞いているわけでもない。今成功して輝いている人でも、辛い過去を経験して乗り越えてきたからこそ、今がある。そのことをリスナーが聞いたら励みになるだろうし、彼らの人生に役に立つ。またそうすることによって、彼らはあなたのことを嫌いになるどころか、むしろファンになるだろう。僕を信じて話してもらえませんか、と。そうするとたいていの方は話してくださります。

一見、相手が話したくない失敗談を聞くことは、三方良しにならないように思うかもしれない。でも、実はトップランナーの人にとってもプラスに転じるんです。このように僕が意識しているのは、どこまでも三方良しになっているかだけ。聞き方や言い方などのテクニックじゃない。そこだけは気をつけていますね。

もちろん最初からできたわけではありません。番組を始めたばかりの頃は、そんな意識はまったくなかった。自分のことしか考えずに、とにかく聞きたいことだけインタビューをしていた。するとある時、iTunesのレビューでバッシングを浴び、もうポッドキャストを辞めようかなと思うぐらい激しく落ち込んだことがありました。

でもその際に、番組をプロデュースさせていただいている作家の本田健さんに、こんな言葉をいただいたのです。「君の番組を楽しみに聞いている人がいるんだから、その人達と目の前の人が幸せになることだけを考えればいいんじゃない?」と。

それからは「自分のことだけでなく、目の前の人と、後ろにいるリスナーのことを考えよう」と意識できるようになり、次第に『キクマガ』のリスナーも増えていった。結果、ありがたいことに今では累計1,600万回以上も聞いて頂ける番組になりました。

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時間と場所を超えられ、かつ三方良しの「場」を持っていれば、世界のどこでも生きていける

今はテクノロジーの発達で、場所や時間を簡単に超えられるようになったので、ポッドキャストのような三方良しの「場=コミュニティ」を持っていれば、どこに行っても面白いことができる。日本にいようが海外にいようが、生きていけるんじゃないかなと思っています。

個人的な感覚ですが、これからはアップグレードじゃなく、アップデートの時代上を目指す『向上』じゃなくて、どれだけ自分を『更新』できるか。僕はこれからも世界中を飛び回りながら、人生を更新している人たちに会って、インタビューをしていきたい。そして人生をアップデートするようなヒントを、この時間と場所を越えられる三方良しのツールを使って、発信し続けたいですね。

 

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