仕事から健康、恋愛まで。「心理学を学んだお坊さん」に個人事業主の悩みをぶつけてきた【光琳寺副住職 井上広法さん】

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こんにちは。SoloPro編集長の然(もゆる)です。今日はお寺に来ています。

誰にでも将来の悩みや不安の1つや2つ、ありますよね? 私は今、このメディアでどんなキャラ設定でいくかで迷っています(笑)。

……という個人的な話はさておき、SoloProは、個人事業主や起業家が働き方で課題に感じていることのヒントを提供し、ライフスタイルを良くしていくためのメディアです。

今回は、そんな皆さんの悩みをお坊さんに聞いてもらおうと、個人事業主になりたての女性ライター2人とともに、栃木県宇都宮の光琳寺にやってきました。

仕事から健康、恋愛まで、幅広い悩みにズバリ回答してくれたのは、TV出演や書籍執筆など、幅広い活躍をしている同寺副住職・井上広法さんです。

「心理学を学んだお坊さん」として知られる井上さんは、この日もSoloProを含めて取材3本と、各方面から引っ張りだこの人気ぶりでした。

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◎井上 広法(いのうえ こうぼう)
浄土宗光琳寺 副住職。佛教大学で浄土学、東京学芸大学で臨床心理学を専攻。グリーフケアの観点から「遺族における法事の心理的役割の検討」を執筆。東日本大震災を契機に、お坊さんが答えるQ&Aサービス『hasunoha』を立ち上げる。ポジティブ心理学の知見を活かしたワークショップ「お坊さんのハピネス・トレーニング」を毎月開催。「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日系)をはじめ、TVやラジオにも多数出演中。一男一女の父
はじめまして……ではなく、お久しぶりです! 井上さんとは以前にも、キャンプ場で朝まで語り明かしたことがありましたね。ユーモアを交えて何でも答えてくれるお坊さんがいるんだということを知って、衝撃を受けたことを覚えています。
井上さん
ありがとうございます。
その時の経験もあって、今回は井上さんに個人事業主や起業家の悩みを聞いていただこうと思い、この場を企画させていただきました。
とはいえ、私自身は実はそこまで物事に悩む性格ではなく(笑)。本日は個人事業主になりたての女性ライター2人を同行させましたので、おもに彼女たちの悩みを聞いていただければと思います。
井上さん
分かりました。よろしくお願いします!
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(左)谷ゆりあ
好奇心旺盛な自由人ライター。10代の頃から波乱万丈な生き方をしており、女優業やトレーナー業などさまざまな視点から「自分らしく生きるスタイル」の発信をしている。
(右)桑名ユウキ
22歳の新人ライター。認定臨床心理カウンセラーの資格を持つ。前職では不動産会社の広報として、主にSNSでの発信を担当。趣味は瞑想、読書、海外旅行。

自分らしく働きたければ、マインドフルネスで初心に返れ

さて、最初の質問は私から。今まで何百人という個人事業主の方と話をしてきましたが、将来への不安を抱えていたり、なかなか自分らしいことができないという悩みを抱えていたりする人が非常に多いと感じています。
これはSoloProというメディア自体のテーマでもあるんですが、自分らしい働き方を実現するにはどうすれば良いでしょうか?

井上さん
皆さんが独立してフリーランスになったというのには、それだけの想いとモチベーションがあったはずです。自分らしい働き方をする方法をひと言で言うなら、なぜ独立したのか、その時に何がしたかったのかを忘れないことです。
そのためには、マインドフルネス瞑想が効果的です。マインドフルネスとは元々、仏教の「念」という字から派生してできた言葉。「念」は「今」に「心」と書くように、「今、ここ」に集中するという意味です。
「今、ここ」に集中するとは、不安や悩みといったざわざわした心(モンキーマインド)を一度リセットするということです。ただし、心のざわざわは排除しても、そもそも自分が誰なのかくらいは覚えていないといけない。それこそが初心です。
そうやって初心を思い出すことが、自分らしい働き方を実現する助けになるのです。
最近ではGoogleなどの企業でもマインドフルネスを取り入れているところが出てきていますね。SoloProでも先日取り上げたところです。やったことのない人がマインドフルネス瞑想を始めるには、どうやるのがいいでしょうか?
井上さん
都会は瞑想する環境としては騒がしすぎるのですが、毎朝起きた後に瞑想をすることで、その都度、初心に返ってやるべき仕事に向き合えるようになるでしょう。現代人は朝起きて携帯電話をいじる人が多いですが、仕事の前に心を一度整えるべきです。

耳が痛い話です(笑)
井上さん
ビジネスマンは並行してたくさんのプロジェクトに関わることも多いかと思いますが、人間は一度に一つのことしか考えられないということが、研究から分かっています。昔マルチタスクという言葉が流行ったこともありましたが、「ながら作業」では、どうしても仕事を「片付けている」感覚になってしまうんです。
マインドフルネスで「今、ここ」に集中することで、散らかっている頭を整えて、目の前の仕事に取り組むことができるようになるのです。
桑名
実は、以前いた会社で瞑想を勧められていたのですが、瞑想はやるべきものだと分かっていても、やりたくない時があります。特に会社を辞めてからは、自分からやることがほとんどなくなってしまって……。

井上さん
自分がやりたいと思うまでやらなくていいんです。やらされてやるくらいなら寝ていた方が良い。仕事にしたって同じで、やらされているうちはものにはなりませんからね。

自分で決めた道だからこそ楽しい。「なりたい自分」をイメージせよ

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初心に返ることの大切さは分かるのですが、私はどうしても環境によって影響を受けてしまいがちなところがあるんです。
井上さん
原因があるから、結果がある。その中で私たちは生きています。「この環境だから、こういうキャラクターになる」というのは自然なことです。仏教では、無我(本当の自分はいない)というのが基本的なスタンス。あるのはその時々の“モード”、ということです。
桑名
環境の変化ということでいうと、フリーランスになったらなんでも一人でしなければならない感覚があります。孤独と向き合う覚悟をもつにはどうしたらよいのでしょうか?
井上さん
会社から離れたから孤独になるのではないんですよ。組織に帰属していたとしても、人間はそもそも孤独なのです。組織にいて人に囲まれている時には、そのことに気付かないだけ。人は生まれてきた時から孤独であり、それが人間のあり方なのです。
では、そもそも自分が何がしたいかという軸はどうやって作ればいいのでしょうか。最近は「やりたいことが見つからない」という人も多いと聞きますが。
私の周りの個人事業主の方でも「目標設定が難しい」と言う人が多くいます。やはり、目標設定が最初に必要なのでしょうか?
井上さん
目標がないと、目隠しした状態のまま進んでいるようなものですから、何処に向かっていいのか分からないですよね。そんな状態では、本来楽しいものも楽しくない。自分で決めた道だからこそ、楽しいと感じるというのはあると思います。だから、やっぱり最初の目標設定は大事です。
確かに、何十年も先を見据えて自分がどういう生き方をしたいのかを考えるというのは難しいことです。それでも、せめて5年先10年先を見る必要はあるでしょう。どういう自分になりたいのか、漠然としたものでもよいので、とにかくイメージを持つことが大切です。
偉大な先人が書いた本を読んでみるのもイメージを作る手助けになるでしょうし、「こんな人になりたい」と思える10歳以上年上の友達を作るというのもいい。いずれにせよ、人生を意味付けるのは自分。意味は探すものではなく、自分で付加していくものなのです。

欲を無くすとは命を絶つということ。目的に沿った欲ならアリだ

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桑名
井上さんご自身は悩みをお持ちですか?
井上さん
そうですね……一つ挙げるなら、やはり健康ですかね。なぜなら、個人事業主は体が資本。いざという時に自分自身が動けないと、周りに迷惑がかかってしまいます。お坊さんだって個人事業主ですから。
桑名
健康維持ってなかなか大変ですよね。何かやっているんですか?
井上さん
その点でもマインドフルネスが役に立ちます。マインドフルネスのもう一つの特徴に「慈悲」というものがあります。瞑想を続けることで慈悲の精神が深まれば、自然と自分自身の体を大切にするようになるはずです。
さきほど、なりたい自分をイメージするように、という話をしましたが、まず「自分の体をこうしたい」という思いがないことには、体をそうもっていくことはできません。健康でありたいと心底思っていれば、無意識に体にいい選択をするようになるのです。
桑名
「なりたい自分」というお話が何度かありましたが、欲があると物事がうまくいかないこともある気がするんですが?
井上さん
欲があることは仕方がないこと。欲を無くすとは、命を絶つということなのです。欲には「良い欲」と「悪い欲」があります。自分がやりたいと思う目的に沿う欲であれば、それは「良い欲」であり、持つのはアリなのです。
なるほど……。他にも悩みは挙げたらきりがないです。何かに悩んだときの解決方法があれば教えてください!
井上さん
お釈迦さまが言うには、3つだけ解決できないことがあります。それが歳をとること、死ぬこと、病気になることです。逆に言えば、それ以外はしっかりと分析していくことで、大体解決します。分析のポイントは、外側をシャットアウトして集中を自分に向けること。マインドフルネス瞑想が有効なのも、そういう理由です。

話題は恋愛、お金、そして幸福論へ

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話が盛り上がってきたところで場所を移して、井上副住職が「宇都宮で一番美味しい」と絶賛する餃子屋さんへ。
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本日はありがとうございました。2人はもう聞きそびれたことないかな?
私は恋愛をしている時、それしか見えなくなってしまうんです。それはなぜですか?どう対処すればいいんでしょう?
SoloProは働き方を良くするメディアですが、めったにない機会なんで、今日ばかりは何でも質問させてください(笑)
井上さん
恋愛は本能だから、没入するのは仕方がないことなんです。没入する分、そこからのストレスもすごいので、仏教では最初から恋愛しないことを推奨しています。仕事と恋愛が両立できないなら、恋愛をしないか、そうなるものという前提の上でやらなければならない。いずれにしても覚悟を決めるべきですね。

個人事業主は会社員と違って、将来の収入がどうなるか不透明です。そうした不安もあって結婚に踏み切れないという方も多そうですが、お金と恋愛の関係についてはどう考えればいいですか? 愛があればお金はなくてもいい?
井上さん
最初は綺麗ごとで走れるかもしれないですが、愛を育てるにはお金もある程度は必要でしょう。仏教では、過度なお金を持つことはよいとしませんが、手段としてのお金は必要なものと捉えています。
桑名
では……お坊さんが奥さんにするなら、どのような女性がいいのですか?
井上さん
私も今まで色々な取材を受けてきましたが、今日はだいぶざっくばらんに聞かれましたね(笑)。でも、あらかじめ聞くことが決まっている取材より全然好きです。(※記事化できていないこともいろいろとお聞きしました)
お坊さんの仕事は奥さんと二人三脚なんですよ。仕事のパートナーを選ぶような感じ。私が今の奥さんと結婚したのも、「この人なら、自分が死んでも次の日に頭を丸めて、お坊さんになってくれる」と思ったからです。
実際に結婚してみたら、頭を丸めるなんて全く考えていないということに気付かされましたが(笑)
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では、私も最後に……そもそも幸せってなんですか?
究極の質問きたっ!

井上さん
幸福とは、今の自分の状態に納得と満足があることではないでしょうか。
さきほどある程度のお金は手段として必要とお話ししましたが、そうした外部からの刺激を目的にしてしまうと、いつまでたっても満足感は得られません。そうではなく、「今、ここ」に集中して、それに満足できる精神を作ることです。
また、人は他者と一緒にいることで幸せを感じやすい生き物であることも分かっています。スポーツなど、同じ目的を持って行動すると満足を得やすいのは、そのためです。人間が本質的に孤独であるというのはさっきお話しした通りですが、その中でも他者と協力することができたら、幸せに一歩近付くのではないでしょうか。
そしてもう一つ、この本を読むことで幸せになる練習ができますよ。

最後に宣伝きたっ!(笑) とはいえ、今日は個人事業主の切実な悩みから究極の幸福論まで、幅広い質問に答えていただき、勉強になりました。お忙しいところありがとうございました!

 

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