ビジネス書やハウツー本と違い、なかなか売れない難しいジャンルであるエッセイで「ニューヨークの魔法シリーズ」が異例のヒット!第1弾を皮切りに、第2弾、第3弾と次々と出版され、2016年12月1日には第7弾が発売。シリーズの累計は35万部となりました。「エッセイでここまで版を重ねるのは異例」と編集者をも驚かせている本シリーズ。では、なぜここまでヒットしたのか、前編記事に続き後編ではベストセラーが生まれた理由に迫っていきたいと思います。
◎岡田光世
東京生まれ。青山学院大学卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。読売新聞米現地紙記者を経て、作家・エッセイストとなる。
高校、大学時代に1年間ずつ、アメリカのウィスコンシン州とオハイオ州に留学し、1985年よりニューヨークに住み始める。今もニューヨークと東京を行き来しながら、執筆を続けている。
著書には、ニューヨークの街の温かい触れ合いを描いた「ニューヨークの魔法」シリーズ、まんがで現地の生きた英語表現を学べ、同時にニューヨークの文化や習慣を知ることができる人気のシリーズ「奥様はニューヨーカー」など多数。
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・公式Facebookページ
・新作著書
Contents
大切なのは「聞く力」!? なぜ人は著者にだけ心を開いて、とっておきのエピソードを話すのか
「ニューヨークの魔法」シリーズには、ニューヨークで暮らしている人達と交わされた、心があたたまるエピソードがたくさん詰まっています。
そんな文章を書くためには、初対面の人から素敵なストーリーを引き出す「聞く力」が必要なのでは!? ということで、まずはその秘訣をうかがってみました。
岡田さん流「聞く力」(1)まず自分が素になること
逆にガードが固く一人で完結してしまう人は、手を差し伸べる必要や隙間がないから、人も情報も集まりにくいのではないでしょうか。そういう意味でも、素の自分を出せる人は、人も情報も集まりやすいのかもしれません。
岡田さん流「聞く力」(2)相手の話を興味を持って聞く
基本的に人って話を聞いてほしいのだと思います。家族の話だって、耳を傾けていない人も多い。例えば私の母は、よく愚痴を言うんですが、仕事で忙しい時はそれを聞くのが面倒に感じることがあります。でも、たまにちゃんと話を聞いてあげると、態度がコロッと変わり、表情が明るくなりますもんね(笑)
岡田さん流「聞く力」(3)自分とは違う価値観を受け入れる
岡田さんは本の中で、できるだけ「~べき」など自分の主張を書かないようにしているそうです。でも敢えて訴えたいことがあるとしたら、「どこの国のどんな人でも自分と同じ土俵に立っていて、相手がどんな価値観を持っていても、まずはそれを尊重し受け入れること」とおっしゃっていました。
人と接する時も、自分と違う価値観を持っている人を受け入れ尊重すること、偏見を持たないことを意識しているそうです。
私たちは同じ人間だから、人間として感じる痛みはみな同じ。だから、もし相手が自分と価値観が違っても、その人の痛みを自分のこととして感じること、受け止めたりすることはできますよね。
よく「この人とはもう付き合わない!」とか「許さない!」って思ってしまいがちですが、そんなことを言っていたら、世界平和なんて来ない。世界平和は、そういう身近なことから始まると思うんです。
もし嫌なことを言われたり、されたりしても、自分にはその人のいい所が見えていないだけかもしれない。だから私は、例え相手が私に対して壁を作ったとしても、私は相手に壁を作ったりしないようにしています。
岡田さんが考える、ニューヨークの魔法シリーズがヒットした理由
ニューヨークの魔法シリーズの内容は、日々の何気ないこと。でも多くの読者が共感した理由は何なのでしょうか。岡田さん曰く、それは日本人がなんとなく感じていた「寂しさ」にあるのではないかとのこと。
日本人は冷たいのではなく、人にどう思われるかが怖いだけ
これまで私は、日本はしがらみの社会だから、会社や学校などの人間関係に疲れて、その他ではなるべく人とコミュニケーションを取りたくないのだろうと思っていました。
でも、この本を出版して、読者から「日本もニューヨークのようになったらいいな」とか「この本を読んで、私も人に話しかけられるようになりました」というような感想がたくさん届いたのです。
それを見て日本人は冷たいのではなく、本当は電車の中で席を変わるなど、誰か困っている人がいたら助けたいと思っている。でも人にどう思われるかが怖かったり、気になったりして、コミュニケーションを取らないだけなのではないかと気づきました。
ある編集者がこの本を読んで「甘酸っぱい子供時代を思い出す」と言ってくださったことがありました。子供を見ていると本当によく笑うし、好奇心のまま動いている。ニューヨークって大人でも、そういう部分が残っている気がします。だからニューヨークの人を見て、自分も子供の頃そうだったな、こんな感じだったな、彼らみたいに人の目を気にせず自由に生きられたら楽だろうな、楽しいだろうなと思うのかもしれません。
人の悪い所ばかりをフォーカスするのではなく、最後に光が見えるものを書いていきたい
最後に岡田さんに、これから書いていきたいことを伺いました。
そして、ほんのちょっとした出会いが誰かを嬉しい気持ちにさせたり、そこで交わされたほんのちょっとしたユーモアが誰かの心をぽっとあたたかくする。ニューヨークの魔法シリーズでは、そういうことを伝えられたら嬉しいです。
まとめ
岡田さんが人の話を聞く時も、書く時も一貫しているのが、相手が自分と違う価値観でも受け入れ尊重するということ。そしてどんな人でも美しさを持っていると信じているところ。だからこそ、岡田さんと話すと人はいつの間にか心を開いてしまうし、岡田さんの文章は多くの人の心を動かすのだと思いました。
この考え方は、人とコミュニケーションを取る上で、人に何かを伝える上で、とても重要だと思いました。全ての仕事は、人との関わり合いの中で生まれる。様々な職業の方、立場の方にとっても、参考になる考え方だと思いますので、是非みなさんも生活の中で取り入れていただければと思います。
12月17日(土)岡田光世先生、新刊「ニューヨークの魔法の約束」発売記念トークショー&サイン会 開催!
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でも、私が嬉しい時も悲しい時もそのまま表現するからか、夫には「光世は喜怒哀楽が激しい」って時々言われちゃうんですよね(笑)。