TVでも話題の短パン社長 奥ノ谷 圭祐さん。自社ブランドが全く売れなかった不遇時代を救った「個を出していく情報発信」とは?

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みなさんは短パン社長こと、奥ノ谷圭祐さんをご存知でしょうか?

1年中短パンを履き、Googleで「短パン」と検索するとウィキペディアを押さえ1位表示。「短パンを正装にしようとしている男」としてフジテレビ「アウト×デラックス」に出演以来、様々なバラエティ番組にも出演されています。

その強烈なキャラクターに「この人は、一体何者!?」と疑問に思う人も多いであろう短パン社長ですが、実はアパレルメーカーの代表です。アパレル企業を経営するかたわら、自身の経験をもとにお取引先でもあるお洋服屋さんのDM、チラシ、ホームページ、SNSのアドバイスをし、全国で講演活動もされています。

2014年には、自身のブランド「KEISUKE OKUNOYA」を立ち上げ、SNSのみの販売で売上は1億円越え。しかし、そんな短パン社長も、自社ブランドが全く売れなかった苦しい時期もあったのだとか。そんな不遇時代を救った「個を出していく情報発信」について、お話を伺ってきました。

◎奥ノ谷圭祐(短パン社長)
株式会社ピーアイ 代表取締役アパレル企業を経営するかたわら、自身の経験をもとにお取引先でもあるお洋服屋さんのDM、チラシ、ホームページ、SNSのアドバイスをし、クライアントの売上や集客を上げている。ニックネームは、1年中短パンを履いていることから「短パン」または「短パン社長」。強烈なキャラクターが注目され、テレビにも多数出演。2014年には、自身のブランド「KEISUKE OKUNOYA」を立ち上げ、SNSのみ発表・発注という業界初の販売方法で、売上は1億円越え。業界初の関係性ブランドとして人気を集めている。公式HP:http://tanpan.jp
ブログ:http://tanpan.jp/blog/
twitter:https://twitter.com/Okunoya_jr
facebook:https://www.facebook.com/tanpan.okunoya

入社当初は、自社ブランドが全く売れなかった

―短パン社長は、お父さんの会社を引き継がれた2代目社長なんですよね?

そうです。社長を引き継いだのは6年前。その前はあるアパレルの上場企業で働いていました。

前職ではブランドの責任者をしていて、人気俳優を使って広告をバンバン出したりしていたんですよ。仕事は楽しかったし、歩合制だったのでやればやるほど給料が上がっていった。だから別に親の会社を引き継ぐつもりはなかったんだけど、母親が体調を崩したことがキッカケで、父から「うちの会社を手伝ってくれないか?」と初めて言われて、今の株式会社ピーアイに入ったんです。

それから「フラムクリップ」っていうレディースブランドを立ち上げたわけですが、全く上手くいかなかった。最初ぼくは、最先端のアパレル企業から来たからと調子にのって、カッコイイ展示会をして読者モデルを呼んで……みたいなことをしていたんですが、それは大企業には合っていたけど、ぼくらみたいな中小企業のやり方には合ってなかったんだよね。

その時にエクスペリエンスマーケティング主宰の藤村正宏先生に言われたんですよ。「短パンさー、世の中には洋服なんてたくさんあって、お客さんはどこで買っても一緒じゃない?しかも今不景気だから安いユニクロやZARAが人気だけど、短パンとこの商品って結構高いじゃん。じゃあ何で、それでもお客さんは短パンのとこに来てくれるの?」って。「素材がいいからですかね?」と答えたら、「違うよ。短パンのことが好きだから、そのお客さんは来てくれるんだよ。」って言われたんです。

人はどこで買うかじゃなく、好きな人から買いたい

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我々アパレルメーカーは、全国にあるお洋服屋さんにDM(ダイレクトメール)を送り、展示会に来てもらい注文してもらってビジネスになる。でも、当時フラムクリップの展示会を開いても、最初は7人ぐらいしかお客さんが来なかったんだよね。だけど展示会の前になると「奥ノ谷さん、来週の展示会に行くからランチ食べない?」とぼくに必ず連絡をくれる名古屋のセレクトショップの方や「展示会終わったら食事しよう」と誘ってくれる福岡のお洋服屋さんもいた。

そうやって展示会に来てくれるのは7人ぐらいしかいなくて、最初は少ねぇなって思っていたけど、よくよく考えてみたら、この人達って一人もフラムクリップって言ってねーや。短パン社長目がけて来てくれてるって気づいたんですよ。

それにぼくは子供の頃から母親に「あなたは、あなたのままでいいのよ」と言われて育てられたんですが、藤村正宏先生もまったく同じことを言っていて。「短パンはプライベートでそんなに面白くて、友達にサプライズをしたりして喜ばせたりするのが好きなのに、なんでビジネスになったら、お客さんにそれできないの?短パンは短パンのままでいいじゃん」って言われたんですよ。

そこからですね。今はお客さんが少ないけど、その人達の数を増やしていくために、もっと個人出していこう。ぼくのこと好きな人から買ってもらおうって思ったのは。

個人を出していったら、お客さんの反応が変わった

―まずはどんな所から変えていったんですか?

まずはDM(ダイレクトメール)だね。昔は展示会をする度に、全国のお洋服屋さんに招待状を800通ぐらい送っていたけど、来てくれるのはさっきも言ったけど7人ぐらい。つまり793通は無駄になってたんです。

うちの会社も、よくあるアパレルメーカーのDMみたいに、外人モデルの写真と展示会会場の地図が載っていて、何日に新商品入荷って書いてあるDMを作ってた。でもそれって、フラムクリップが死ぬほど好きな人じゃない限り、だいたい捨てるじゃないですか。

そこで招待状に「短パンが目印です」ってぼくの写真や名前を入れたり、個人をちょっとずつ出していったんです。そしたらお客さんの反応が変わったの。「フラムクリップって短パン社長のブランドだったの?」って。「分からないわよ。この世の中にこんなにDMが来て、アパレルメーカーの展示会もたくさんあったら」って。それからもっと本格的に、個人を出したDMを作り始めました。

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このDMを見て気づくと思うんだけど、フラムクリップより短パン社長が目立つでしょ。フラムクリップの方が小さく書いているっていう(笑)。ユナイテッドアローズみたいな人気ブランドだったらみんな認識すると思うけど、ぼくらみたいな中小企業は、ブランド名や会社名やお店の名前よりも、個人なんだよね

そうやってDM、チラシ、名刺、店頭POPといった紙の販促物はもちろん、ホームページ、ブログ、Facebook、twitterなどSNSまで、自分はどんな人で、何が好きなのかなど、どんどん個人を発信していくようにしたんです。すると次の展示会には30人、その次の展示会には100人とお客さんが増えていき、売上も上がっていきました。

秒速で売れる、SNS限定販売ブランド「KEISUKE OKUNOYA」の誕生秘話

キッカケとしては、自分の好きなコーディネートを毎日Facebookにあげてたんですよ。そしたら友達から「短パン社長が履いてる、そのボーダーの短パン欲しい」っていうコメントが入ったんですよ。6件ぐらい。

「何言ってんだよ。そんなこと言ったってどうせ買わねぇだろ」って思いつつ、ちょっと作ってみようかなって思ったんですよね。売れなかったらフラムクリップの商品として売ればいいやって作ったら、20時間で全部完売しちゃったの。好きなことを発信していたら、それが仕事になっちゃった

ぼくは「マイ・インターン」っていうアン・ハサウェイ主演の映画が好きなんだけど。あれってアンハサウェイがFacebookにグリーンのカーディガンを投稿したら、友達にそれ欲しいって言われて、それがきっかけでファッションの通販サイトを作ったら、大ヒットする話でしょ。彼女も「好き」を仕事にしている。あの映画、ぼくがモデルになってんじゃないかって思うんだよね(笑)。

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▲KEISUKE OKUNOYAの短パンコーディネート

マスメディアより一人の「好き」という情報の方が、説得力がある時代

―最近「KEISUKE OKUNOYA」では、洋服だけでなくカレーやコーヒーも売ってますよね(笑)?しかも、ものすごい人気!!

そうそう「短パンカレー」と「短パンコーヒー」ね。ぼくは洋服、カレー、コーヒー、ビールとかが好きなんだけど、甘いモノは食べられない。でもそれ、ぼくのSNSを見ている人はみんな知ってるんですよ。いつも発信しているから。だからバレンタインデーにはチョコレートが1つも届かなくて、カレーとかビールが届くの(笑)

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▲短パンカレーのパッケージ

―なるほど。「それだけカレーやコーヒーが好きな人が作ったモノだから、美味しいに違いない」って説得力がある。だから、多くの人が「短パンカレー」や「短パンコーヒー」を買うんですね。

もう好きなものだったら、何でも売れると思っている。でも好きじゃなかったら、売らない。それをやっちゃったら芸能人だよね。例えばジョージ・クルーニーはビールが好きじゃなくても、ビールのCMに出るかもしれない。でも今の時代って、それを見て「ジョージ・クルーニーかっこいい!私もそのビール買いたい!」って思う人って少ないんじゃないかな。だってジョージ・グルーニーはそのビール飲んでないと思うし。今ってマスメディアの情報より、一人の「好き」っていう情報の方が説得力がある。そういう時代なんじゃないかな

感動がクチコミを作り、それが広がっていく

―そういえば短パン社長って、Facebookでタグづけされまくってますよね?それにシェアやリツイートも本当に多い!

そうなんですよ、ヤバイっす。日本で一番タグづけされる男だと思ってる(笑)。「KEISUKE OKUNOYA」の商品がお客さんに届くと、何が行われるかというと、その短パンを履いてセルフィーで写真を撮ってぼくをタグづけしてブワーってアップされるんですよ。

―SNSで紹介してってお願いしているワケではないのに、勝手にタグづけされるんですか?

そうそう。で、誰かが短パン履いてアップすると「その短パンなんなの?」っていう感じで、ぼくの知らない誰かがコメントしたり、さらに知らない人にシェアされたりツイートされたりして勝手に広がってく。もうぼくもビックリ。

あと「KEISUKE OKUNOYA」を買ってくれた人には、一人一人手書きで手紙を書くんですよ。その人のFacebookを見て、その人に合ったメッセージを書くから、その時期は腱鞘炎になる(笑)。この前は460人分手紙を書いたんだけど、3日かかったから。でも大変だけど好きなの、手紙書くのが。これも親の影響。子供の頃からずっと母親に、「戸棚におやつが入ってますよ」みたいな感じで手紙もらってたから。

金儲けしようと思っている人間に、人はついてこない

―洋服を買ってお手紙をもらうことなんて滅多にないから、その感動を共有したくて、自然とクチコミしちゃうのかもしれないですね。

洋服って売るだけじゃないから。洋服を着た人がご主人とデートに行ったりすると「感動体験」につながるワケでしょ。「短パン社長が紹介していた洋服で、主人と久しぶりに食事に行ったら若返ったわ」って言われたら、こんなに素晴らしい仕事ないなって思うんですよ。そうやって最終的に価値と価値が重なってお金が発生する。こういう気持ちがなかったら、仕事なんて辞めた方がいいです。

金儲けしたいって思っている人に、絶対人は寄ってこない。一番大事なのは、目の前のお客さんを死ぬほど喜ばせるということ。いつも来てくれるお客さんに愛情を注いでいけば、結果ってついてくるから

ぼくの場合は、それがDMだったりSNSだったり手紙だったりしたんだけど、自分らしいやり方で個人を出しながら、大切な人のために発信したらいいんじゃないかな。

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インタビュー後編では、SNS発信のプロでもある短パン社長に、自己ブランディング術や仕事論について伺いました。後編でも心に突き刺さる、短パン社長の名言が炸裂だったので、お楽しみに。

インタビュー後編はこちら

 

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    鮫川佳那子(さめこ)

    【NY在住ライター/ニューヨーク女子部♡主催】 青山学院大学卒業後、サイバーエージェントに入社し広告制作・メディア編集に携わる。現在はニューヨークの新聞をはじめ様々な媒体でコラムの連載や、海外で活躍する日本人のインタビュー記事を執筆。またNY在住の20~30代女性が300名以上所属するコミュニティ「ニューヨーク女子部♡」を主催し、イベント企画運営も行っている。