1年中短パンを履き、Googleで「短パン」と検索すると、ウィキペディアを押さえ1位に表示される短パン社長。その強烈なキャラクターから「この人は、一体何者!?」と疑問に思う人も多いかもしれませんが、実はアパレルメーカーの代表です。2014年に立ち上げた自身のブランド「KEISUKE OKUNOYA」は、SNSのみの販売で売上は1億円越え。
インタビュー後編では、SNS発信のプロでもある短パン社長に、自己ブランディング術や仕事論について伺いました。
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◎奥ノ谷圭祐(短パン社長) 株式会社ピーアイ 代表取締役。 アパレル企業を経営するかたわら、自身の経験をもとにお取引先でもあるお洋服屋さんのDM、チラシ、ホームページ、SNSのアドバイスをし、クライアントの売上や集客を上げている。ニックネームは、1年中短パンを履いていることから「短パン」または「短パン社長」。強烈なキャラクターが注目され、テレビにも多数出演。2014年には、自身のブランド「KEISUKE OKUNOYA」を立ち上げ、SNSのみ発表・発注という業界初の販売方法で、売上は1億円越え。業界初の関係性ブランドとして人気を集めている。 公式HP:http://tanpan.jp |
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セルフブランディングは無理やり作るものじゃなく、「好き」から湧き出てくるもの
―短パン社長は、1年中短パンとのことですが、いつから短パンを履いているのですか?
学生時代から短パンだったから、もう20年ぐらいかなぁ。その頃から人と違う格好をしたくて、どういう格好がいいかなって考えた結果、短パンだったんですよ。当時ワイシャツ、ジャケット、ネクタイに短パン履いている人ってほとんどいなかったんですよね。ただ、冬は寒いんで(笑)。昔、短パン履くのは1年で2/3だったんですよ。今は、もう分かってると思うけど、ムリだから。長いパンツ履いていようものなら、すぐ言われるし、Twitterでも短パン履いてないってつぶやかれるし。
以前、雪降る福井県に出張に行った時に、お客さんにすげぇ残念がられたんですよ。「短パン社長って言って、短パンではないじゃないですか」って。いやいや、冬は履けねーだろって思ったけど、あぁこんな風に残念がられるんだってその時思って。
それから冬の出張の時は、長いパンツ履いて行くんだけど、お客さんに会う直前に短パンに履き替えてた。
―体張ってますね(笑)
でも喜んでくれるから、お客さんが。それでずっとやってきたんだけど、今はもう1年中短パンだよね。
―学生時代、人と違う格好をしようと思ったキッカケはなんですか?
ぼくは母親のことが大好きなので、母親の影響が強いかな。自由で個性的であり、人に愛情を送るっていう。「圭ちゃんは圭ちゃんのままでいいのよ」って言われて育てられたから。
―素敵なお母さんですね。そのお母さんの影響で、学生の頃から人と違うことがしたいと思っていたということですが、当時からセルフブランディングって意識されていたんですか?
ないない!今だって全然ない!セルフブランディングという言葉って、装ってる感じするじゃん?コスプレなのかって。でもぼくの場合は、このまま本性なんで。たまにぼくに影響を受けて短パンを履こうとしたりする人とか、例えばニックネームをルパンにして、赤いジャケット着ようする人とかいるんだけど、だいたい長続きしないよね。
まず自分がそれを好きじゃないんですよ。あとは他人に「何、あの人!?」って思われるのが怖い。もっと言ったら、彼らのお客さんはそれをしたことで別に喜んでないって話ですよ。ぼくにとって短パンっていうのは、別に作られたものじゃなく、20年前から好んで履いていたワケだから。自分の本当に好きなことを発信することが、それだけでセルフブランディングだと思うけどね。
やった人にしか見えない世界がある
ぼくはお取引させてもらっているお洋服屋さんや、異業種の方達に向けて、DM、チラシ、ホームページ、SNSを活用した情報発信について講演もやっているんだけど、その時に話すのが「まずは好きなことを10個書いてみよう」ということ。それだけでいい。それが個性になるから。
しかもそうやって自分の好きなことを発信していると、誰かの役に立つの。例えばぼくはカレーが好きで、しょっちゅうGHEEってカレー屋さんのことをSNSで紹介してるんですよ。そしたら地方から東京出張に来たお客さんが、「短パン社長オススメのカレー屋さんに行ったら、美味しかった」って喜んでくれたんだよね。その時、あっ、ぼくの発信って誰かの役に立ってるんだって思った。ぼくの好きなことは、誰かの好きなことに絶対繋がる。じゃあ、その人のために発信しようって。
こういう話をすると「それは短パン社長だからできるんですよ。僕の発信なんて、誰も見てくれないと思う」って、やる前から言う人いるよね。でもそう思った瞬間にある意味、思考停止だから。そうやって行動しない人って世の中多い。例えばぼくの講演会に100人来てくれたとしたら、実際に行動に移す人は10人いたらいい方。大体の人が「いい話だった。明日からやろう」って言って、家に帰って忘れる。または「仕事が忙しくてできない」と結局何もしない人もいるんだけど、もうね「ぼくより忙しいんですか?」って言いたい。
覚悟を決めて、続ければ積もるんで。絶対。やった人にしか見れない世界があるんですよ。ぼくはそういう人達が好きだなぁ。
少なくてもいい。本当に共感してくれる人と繋がれば充分
―とはいえ、日本人って嫌われたくない世界No.1の国民なんじゃないかと思うんです。自分を発信することで、周りからどう思われるか気にしてしまう人も少なくない。そういう方に対して言葉をかけるとしたら、何かありますか?
大丈夫です、みんな他人のことにあんまり興味ないから。講演会でもこういう質問あるんですが、「友達100人いるっていう人って、多分90人はあなたのことあんまり興味ないよ」って答えます。
「でもそんな中でも、あなたが発信している情報を見てくれる人がいるとしたら、何人いると思う?」と聞くと「私の発信なんて、誰も見ないですよ」と答えながらも「でも5人ぐらいは見てくれるかな」とか言うんですよ。だったらその5人のために発信して、その人と関係性を深めるべきだと思うんです。
そうやってあなたが好きなことを発信し続けていけば、絶対共感してくれるお客さんがいるから。本当に共感してくれる友達のような関係性の人だけ繋がれば、まずクレームって起きないんですよ。少なくてもいい、本当に仲いい人と繋がろう。それだけで充分だって。ぼくだってもともと展示会に来てくれるお客さんは7人しかいなかったけど、自分を出して好きなことを発信していったらどんどん増えていって、今は1500人ぐらいになったんだから。
それに友達とか仲間は、絶対見極めた方がいいよね。少なくていいから、いい友達やいい仲間が集まるとお互い応援し合うんだよね。だから、スゴイいいモノが生まれる。
誹謗中傷する人は、心が弱い人。こちらが堂々としていたら去っていく
―短パン社長はテレビにも出演されて注目が集まっているので、時に誹謗中傷を受けたりして悩むことはないんですか?
ぼくは誹謗中傷ハンパないっすよ。やっぱり人はまず外見で判断するから。でも今は、もう何を言われてもいいかなぁって。昔傷ついたりしたこともあるけど、それ以上に、ぼくの発信を喜んでくれる人の姿を見るのが好きなんですよ。だから今は何ともないよね。
ちょっと有名になってくると、色々言ってくる奴はいるよね。「なんだアイツ、最近すげぇ人気出てるし、売上も上がってるんじゃねぇの?アイツ自分の利益しか考えてないんじゃねぇの?」って。そう思う人は、絶対仕事がうまくいってない人。妬み、嫉みしかないからね。大丈夫、そういうのは心が弱い人しか言わないから。堂々としていれば去っていくんです。
ぼくが特に吹っ切れたのは、フジテレビの「アウト×デラックス」に出たぐらいかな。人間の好き嫌いって、ここまで分かれるんだなって体感した。テレビに出て、もともとのぼくのファンは喜んだけど、すごくバカにする番組だからまったく知らない人には、ただのバカだと思われたと思う。100人「アウト×デラックス」見たら、たぶんぼくを好きになった人は1人か2人かなって感じ。でもそれで「もういくところまでいっちゃった方がいいな」と思った。
一方で、もしぼくのことを嫌いな人がいたとしても、ぼくの発信を見てたら好きになるだろうなっていう意識もあるんです。自分がどんな想いで仕事をしているのかっていうのを、ちゃんと伝えていけば、ぼくに共感してくれる人が5人から10人、10人から50人、最終的に100人と増えていくと思うんです。
自分を出すってことは、自分を好きになること
ぼくはビックになりたいとか、売上を何十億にしたいとか、全く思わない人なんです。自分が好きなことを発信していって、身近な人が喜べばいいなと思って続けていたら、気づいたらどんどん応援してくれる人が増えていったんですよ。
自分を出すってことは、自分を好きになること。やっぱり自分が好きじゃないと、ビジネスもうまくいかないっしょ。だから恐れずに自分を出していった方がいいと思います。
まとめ(編集後記)
本インタビューでは、短パン社長のこれまでのキャリアについて、個を出す情報発信について伺いました。短パン社長のキレッキレなトークに終始笑いが絶えないインタビューでしたが、仕事に対する熱い想いに思わずシビれてしまう取材となりました。
特に印象的だったのは、身近な人に対する強烈な愛がヒシヒシと伝わってきたこと。世の中には周りのことより、自分の利益ばかりを考えている人は、残念ながら少なくない。でも短パン社長は「目の前の人を死ぬほど喜ばせたい」という強い想いがあるから、それがお客さんをはじめたくさんの人にちゃんと伝わっているんだなと思いました。だからこそ、その熱い想いに感動したお客さんがクチコミを作り、さらに広まって、どんどんファンが増えていき、ビジネスも上手くまわっていく。とても理想的な形だなと思いました。
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うん!うん!と、うなずける記事で改めて自分の仕事への向き合い方を見つめ直し、好きだと感じる事ができた記事でした。ありがとうございます。
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