ビジネス戦略は、愛と誠実さをベースに。クライアントの魅力を引き出し、世の中へ届けるファンづくりのプロ【オンライン×PR・広報:上村 由依さん】 #はたサバ

記事のポイント

・PR・広報にとって大事な視点は「クライアントの魅力を引き出し、世の中が求める形に合わせ打ち出すこと」

・オンライン中心の働き方になっても、「愛と誠実さ」を持つ仕事のスタンスは変わらない

・With/Afterコロナ時代に限らず、「いつでも働き方を選択できる」ようにしておくこと

新型コロナウイルスの影響で在宅ワークやオンライン上での仕事が増える中、自分のスキルとIT・テクノロジーを掛け合わせてどんなことができるのか ──。これからの働き方について想いを巡らす方もいるのではないでしょうか?

そこで働き方メディア「SoloPro」では、毎週月曜日21時〜「オンライン×働き方・スキル」をキーワードに、いろいろな業界の第一人者やチャレンジャーに、公開インタビューを実施。

「After/Withコロナ時代の働き方サバイバル戦略」略して、#はたサバ

6月15日(月)のゲストは、株式会社itty selection代表取締役 CEO の上村由依(かみむら ゆい)さんです。

東京・ニューヨーク・ハワイの日系企業やブランドのPR、PRパーソンやフリーランスの育成、NY&ハワイとつながるサービスなどを手がける上村さんに、働き方メディア「SoloPro」編集長の松田然が公開インタビュー。

数々のオンラインイベントでファシリテーターを務めている小林 千夏さんも招き、オンライン×PR・広報をメインテーマに、上村さんが考えるWith/Afterコロナ時代の働き方やキャリア、そしてPR・広報に求められるスキルをお聞きしました。

【ゲストプロフィール】

■上村 由依(かみむら ゆい)さん

株式会社itty selection代表取締役 CEO / PRプランナー / PRライター

22歳で東京からニューヨークへ。NY在住中と帰国後のトータル3年半を、フリーランスのPRプランナー・PRライター「かみむらゆい」として活動。

50社以上のPRプランニングやPRライティングに携わり、2016年、29歳で株式会社を設立。ニューヨーク・ハワイ・東京のブランドや企業のPRをサポート。2020年4月、芸術大学に社会人入学。「日経xウーマン」アンバサダー/「another life.」CPO/ニューヨークNPO法人「JaNet」広報もつとめる。

【インタビュアー】

■松田然(もゆる)

働くをトトノエル専門家。
2010年に独立・起業。2013年に2社目となる、聴く・書く・伝える「合同会社スゴモン」を立ち上げ代表を務める。ライターになってから現在に至るまで3700人以上を取材しているインタビュアー。特に「働く」に関わる企業ブランディング、採用支援、組織活性などを得意としている
企業ブランディング構築・支援サービス「TotonouWork」運営代表。プロの働き方発信サイト「SoloPro」編集長なども務める。
趣味は自転車とサウナ。自転車旅しながらリモートワークで47都道府県全てを走ったり、週平均3.7回以上サウナに入っている(サウナ・スパプロフェッショナル)
ミッションは、「日本の働くをトトノエル」

Contents

ニューヨークで出会ったPRの世界

もゆる
まず、どんなお仕事をされているのか教えてください。
かみむらさん
PRプランナー/PRライターという仕事を10年ほど続けています。現在は、株式会社itty selection代表取締役 CEO として東京・ニューヨーク・ハワイの日系企業やブランドのPR・広報を手がけています。
もゆる
今回のオンラインインタビューは、PR・広報の未経験者の方も聞いています。初歩的な質問ですが、どのような仕事なのでしょうか?
かみむらさん
ひと言で表すと、クライアント企業やブランドのファンづくりをする仕事です。ファンを増やすための戦略は多岐に渡ります。Webサイト制作・SNS更新・イベント開催・マスメディアに取り上げていただくお手伝い、など。お客様にとって最適なプランは何か? 予算・期間・フェーズ・業界を加味して設計・実行していくのが私たちの役割です。
もゆる
具体的にどんなプロジェクトを手がけているのか、教えていただいてもよろしいですか?
かみむらさん
例をひとつ挙げると、「ハワイの野生のイルカに会えるツアー」をPRする仕事に携わっています。コロナの影響でハワイへ行けない状況が続いていますが、「未来チケット」という形で、渡航ができるようになったときに使えるチケットを事前販売し、申し込みを受け付けているんです。「それを日本の方々に広く知ってもらいたい。コロナ禍だからこそ、PRしたい! 」というお客様をサポートするのも私たちの大事な仕事ですね。
もゆる
コロナ禍だからこそ必要とされるPR・広報の形もありそうですね。
かみむらさん
PR・広報は低価格から始めることができ、中長期的な成果を見込んで継続していくものです。広告の場合は、出稿したときだけ成果が出るということも少なくありません。これからは、どこに予算をかけるべきか、よりシビアになるので、広告費・予算は削られていくかもしれません。PR・広報の需要はコロナ禍でも伸びている実感があります。
もゆる
現在はPR歴10年、経営者としての顔も持つかみむらさんですが、そもそもなぜPR・広報の仕事をはじめたのでしょう?
かみむらさん
きっかけは学生時代に遡ります。大学を中退した後、アパレルの会社でショップ店員をしていたんです。そのうち販売だけでなく、もっとファッションの専門スキルを身に付けたいと思うようになりました。
もゆる
大学を中退してアパレル業界、そしてよりファンションの専門スキルを求めたと。
かみむらさん
はい。ちょうどその頃、日本での暮らしに息苦しさを感じていた時期でもありました。環境を変えたい、ファッションの専門スキルを身につけたい。そんな気持ちから、ニューヨークへ留学することに。
もゆる
すごい行動力ですね……!
かみむらさん
でもいきなりファッションの仕事には就けないので、まずは語学学校に入ることにしました。進路に悩んでいた時期、ニューヨークの大学に留学している日本人大学生向けの就活セミナーがあり、登壇者(今では人生の師匠と呼んでいます……! )の方と話す機会がありました。

広告代理店のニューヨーク法人の取締役の人で、そのときに抱いていた悩みを相談をすると、「きみはファッションの中でもPR・広報に向いてる」と言われて。それがPR・広報との出会いでしたね。

もゆる
人生の師匠との出会い、ですか! きっとターニングポイントだったんでしょうね。でもなぜ向いていると言われたんですか?
かみむらさん
やりたいことを問われたとき、「ニューヨークで出会った写真家やダンサーなど才能溢れるクリエイターを、ビジネスの側面からサポートしたい」と答えたんです。物づくりをしたり自分を表現して生きる人を尊敬していたんですね。それならファッションの作り手になるより、PR・広報をやってみたら? と勧めてくださいました。当時は、どんな仕事かも知りませんでしたが、興味を持ちました(笑)。
もゆる
師匠との出会いが、PRパーソンとしての幕開けだったんですね! そこからどのようにPR・広報の仕事をするようになったのですか?
かみむらさん
ニューヨークへ留学している間、2年間ファッション系の会社でPR・広報の下積みを経験しました。帰国後、日本のPR会社でも2年間勤め、独立。そうして現在の活動につながっています。

どんな企業でも力になれる。PR・広報の魅力

千夏さん
ファシリテーション担当の小林です。かみむらさんが魅了され続けている「PR・広報の魅力」とは何か、教えてください!
かみむらさん
業界業種問わずあらゆる企業やブランドの力になれるところですね。プロフェッショナルなスキルを身につければ、尚のこと。良い商品サービスを世の中に届けられることは、やりがいです。
千夏さん
素敵ですね〜!
もゆる
クライアントの希望を叶えるため、どのような視点を大事にしていますか?
かみむらさん
クライアントの魅力を引き出し、世の中が求める形に合わせ打ち出すことですね。PR・広報の仕事は、PRパーソンが売りたいものを売る仕事ではありません。お客様の商品サービスを、世の中の人々に刺さるよう発信することが仕事です。そのため社会が何を求めているのか? を常に把握しておくことは大事ですね。
千夏さん
かみむらさんご自身は、どのようにスキルを身につけたのでしょう?
かみむらさん
日本のPR会社に勤めた経験は大きいですね。担当していたクライアントが、大手企業のメーカーや情報通信系の会社だったんです。クライアントの要望に応えるため中途半端な仕事はできません。そのときにしっかりPR・広報の基礎知識やスキルを叩き込まれました。業種業界問わずあらゆる企業を担当できたことは、スキルアップにつながったと感じています。
もゆる
ご自身も、広報・PRプランナー&PRライター養成講座を主催するなど、PRパーソンやフリーランスを育成する活動をされていますもんね!
かみむらさん
そうですね。未経験からPR・広報の職に就くのは、狭き門です。転職の募集要項を見ても、だいたい実務経験3年以上などが条件で。でも未経験からPR・広報を志す熱意ある若者はたくさんいます。私にできることはないか、と広報・PRプランナー&PRライター養成講座を開講しました。PR・広報の基礎知識やスキルを身につけ卒業された方には、お仕事も発注させてもらっています。PR・広報を学ぶことで、ご自身のキャリアにつなげていただければ嬉しいですね。
千夏さん
スキルを身につけたあと、実際のプロジェクトを通じて実績づくりもできればキャリアの可能性は広がりそうですね!
かみむらさん
最近はオンラインに特化したスキルも必要だなと感じています。コロナ禍でリモートを取り入れた働き方が増えてきていますよね。PR・広報の業界でも、テレビ局がカメラを回して現地へ取材に行くことが難しいため、自分たちで撮影した動画をテレビ局に納品することが多くなりました。そうなると、カメラの前で自分を表現する力や流暢に話すコミュニケーション力が必要だな、と感じています。
もゆる
たしかに。カメラに向かって話す力は、オンライン会議やオンライン取材でも大事ですね。僕は画面に映る自分を見るとついつい恥ずかしくなってしまうのですが(笑)、もっと練習しようと思います!

愛と誠実さをベースに。ビジネス戦略を立てる

もゆる
Withコロナの時代、何か変わったことはありますか?
かみむらさん
ほとんどないですね。というのも、コロナ禍の前からニューヨーク・ハワイのお客様が多かったので、オンラインでのやりとりには慣れていました。

でもオンライン・オフライン問わず、仕事における大事なことは変わらないと思うんですよ。

もゆる
というと?
かみむらさん
私がいつも大事にしていることは、仕事に「愛と誠実さ」を持つことです。お客様の商品サービスを、まるで自分のことのように捉え、扱うこと。お客様の立場になったとき、そんなPRパーソンに頼みたいと思うんです。お客様のサービス商品を世の中へ届けるためにはどうしたらいいのか? ビジネスとしての戦略を打ち立て、成果にこだわる真摯な姿勢は変わりませんね。
もゆる
愛と誠実さ……大事ですね。自分が食べていくため、生き残るために仕事をしていると、受注することや締め切りを守ることが仕事になってしまうことも……特に駆け出しの頃はよくありますよね。クライアントやユーザーを想像して意識をそちらに向けること、そして自分自身の心の余裕(余白)を持つことは、良い仕事をする上で大事だと、僕も日々感じています。
かみむらさん
そうですね、心の余裕は大事だと思います。自分が満たされていないと、人へ愛は与えられないので。大変なときに無理をして頑張ることも一つの選択ですが、あえて学びの時期と捉え休憩するのも大事だと思います。攻めだけでなく、蓄える・耕す時期も人生には必要です。自分を満たし楽しみながら、「愛と誠実さ」のある仕事をし続けたいですね。

“働き方”を選択できる自分でいること

もゆる
最後に、この企画で皆さんに聞いている質問ですが、かみむらさんのWith/Afterコロナ時代の #はたサバ(働き方サバイバル戦略)を教えてください!
かみむらさん
働き方を選択できるようにしておく、ことですかね。コロナだからどうこうではなく、自分が休みたいときに休む・働きたいときに働く。常に選択できるようにしておきたいです。
千夏さん
なるほど。働き方を選べるようにしておくためにも、自分の強みを確立し、自分自身をPRしていくことが大切なのかな、と感じました!
かみむらさん
コロナ禍で、働き方・仕事の価値観が変わりつつある今、自分も周りも0から学び始める時期なんだと捉え、ゆったり学ぶのもいいと思いますよ。「スキルを身につける」ことは、競争ではないので。
もゆる
小林さんも普段は、会社員として人事や研修業務をしている傍ら、複業としてオンラインイベントのファシリテーターを務めたりと多方面で活動されていますもんね!
千夏さん
まさに、学びのためですね! やればやるほどインプットできますし、後々見返して次に活かすこともできますから。自分が楽しめる範囲で、勉強と実践を繰り返しています。
かみむらさん
実際にやってみると実績として残り、自分の財産になっていくからいいですよね。視聴者のみなさんも、今取り組んでいることを皮切りに、自分のキャリアや可能性を広げていってほしいです。きっと一石二鳥いや、「一石五鳥」くらいになってご自身に返ってくると思いますよ!

 

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