会社員をやめて、フリーランスになった。
実は、これでフリーランスになるのは2度目のことだ。
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フリーランスになったら、案外会社が恋しくなった
最初に独立したのは2013年。特許事務所の事務員からフリーライターという、まったくの別業界・別職種からの転職だった。「旅ができる」ライフスタイルを求めてキャリアチェンジを考えたとき、それを叶えることができて「好き」で「得意」で「お金が稼げる」仕事は、書くことだと思ったからだ。
事務員として働いていたころより収入は減ったが、思惑通り、仕事でいろいろなところに旅することができた。でも、初めて会社という箱を飛び出してみて、あらためて感じる「会社のありがたさ」もあった。
- ノウハウや業界の慣行、事故事例の蓄積・共有ができる
- 理不尽なお客さんに当たったとき、状況を把握し、客観的に判断してくれる人がいる
- 困ったとき、周りにすぐに相談できる
- 税金が安い
- 税金周りの計算をしなくていい
- 毎月の収入が固定なので、家計を管理しやすい
- わざわざ約束をしなくても人に会える、疲れたときにささいな会話ができる
- オフィスで仕事をすると、だらけない
- 生活リズムが安定する
どれもこれも、失ってみると痛烈にそのありがたみを感じた。
なんの土台もないところからライターになったので、「ノウハウや業界の慣行、事故事例の蓄積・共有ができる」がないことは特に痛かった。ほんのワンアクションで防げるような失敗も、あっさりしでかしてしまう。新しい案件に取り組むたびに失敗し、自分を責めに責めて、ひとり部屋の隅で「許してください」と泣いた夜もあった。
「理不尽なお客さんに当たったとき、状況を把握し、客観的に判断してくれる人がいる」
友人に話せばいいじゃないか、と思うだろう。でも、お客さんとのやりとりを一から十まで見せるわけにはいかないし、あからさまでない微妙な違和感などは、当事者でないと理解しづらい。
そのなかでも、私が会社員に戻ることにした決定打は、やはり「わざわざ約束をしなくても人に会える、疲れたときにささいな会話ができる」環境がほしかったからだと思う。
執筆作業が重なると、一週間誰とも話さないこともあった。SNSで流れてくる、仲間とわいわい働いている人の写真を見ては「羨ましいな」と思った。約束をすれば誰かと会うことはできるけど、用事があるわけじゃなく、ただ同じ空間にいてほしいだけなのだ。平日の昼間に、そんなワガママに付き合ってくれる友人は思い当たらなかった。「そこに行けば知り合いがいる」という場所があることは、なんて贅沢なのだろうと思った。
「編集者としてうちで働かないか」と声がかかったのは、寂しさを解消するために、入居するコワーキングスペースを探していたころのこと。願ってもない申し出だった。「ぜひ一緒に働きたいです」2015年9月、私は再び会社員になった。
会社員に戻り、そこからまたフリーランスへ
入社してみると、思ったよりチームでの活動はなかったし、若い会社だったので、ノウハウなどを共有する機会は少なかったが、そのほか会社に求めていたものは、ほとんど享受することができた。
辛いときには仲間が励ましてくれたし、トラブルを客観的に判断して助けてくれる上司がいた。エクセルで家計の管理をして、毎月固定額の貯金をすることができた。疲れたときに同僚と連れ立ってコンビニに行き、新発売のお菓子を一緒に買うのは楽しかった。
ではなぜ再び会社を辞めたのか。
理由は2つある。
会社に勤めた2年半の間に、
- 「会社員のメリット」が、経験とコミュニティによって自分のものになった。
- 結婚をし、年齢を重ねたことで、メリットの優先度が変化した。
【会社を辞めた理由(1)】「会社員のメリット」が、経験とコミュニティによって自分のものになった
会社に入ったことで、自分を含め、たくさんの人の仕事ぶり(トラブルも、真似したいと思える技術も)を見ることができた。すると、自分を守るために何をすべきかが分かるようになった。編集者として働いたことで、何が編集者の怠慢で、何がライターの過失か分かるようになった。状況を客観的に判断できるから、一方的に自分を責めることはなくなった。
在職中、仕事の多さに悩んだからこそ生み出せたスケジュール管理法がうまくハマった。きちんとスケジュール管理できるようになったら、家でも効率的に動けるようになった。
ライター・カメラマンを外注していたので、好きな人に仕事を依頼しては、そこから数珠繋ぎのようにたくさんの同業者と知り合った。会社の外にも、チームを組んで仕事をしたり、一緒に作業したりする仲間ができた。
つまり、
初めて独立したときに感じた「会社のありがたさ」のうち、
- ノウハウや業界の慣行、事故事例の蓄積・共有ができる
- 理不尽なお客さんに当たったとき、状況を把握し、客観的に判断してくれる人がいる
- 困ったとき、周りにすぐに相談できる
- わざわざ約束をしなくても人に会える、疲れたときにささいな会話ができる
- オフィスで仕事をすると、だらけない
- 生活リズムが安定する
あたりは、経験が自分のなかに蓄積されて不要になったり、コミュニティができたことで会社に所属しなくても享受したりできるようになってしまったのだ。
【会社を辞めた理由(2)】結婚をし、年齢を重ねたことで、メリットの優先度が変化した
結婚し、年齢を重ねたことで、「ガンガンいこうぜ」モードから「いのちだいじに」モードに切り替わった。
しかし、会社に勤めていると、仕事量はチームの売上目標にどうしても左右されてしまうし、働く時間や場所には制限がかかる。「収入は減ってもいいから、もっと余裕のある生活がしたい」「通勤がなければ、朝の時間で洗濯と洗い物ができる」「勤務時間がなければ、夕食前にランニングもできる」そんな思いが日に日に増していった。フリーランスなら、仕事量、時間、場所を自由に自分で決められるのが魅力だった。
また、いずれ子供を産むことを考えると、今のうちに好きなこと(旅とか旅とか)をやり尽くしたいと思った。フリーランスなら、思いつきで明日から離島に行って仕事をすることも可能だし、お金にならないけど面白そうなことを始めるのにも、少し収入が減るのを我慢するだけでいい。
こうして私は、2度目の独立をすることに決めた。
フリーランスのデメリットをどう解消するか
私は今でも、会社というものが好きだ。
そこそこ得意で好きな仕事ができて、自分のライフステージに合わせて働く時間や場所を柔軟に変えられるならば、すぐにでも会社員に戻りたい。固定収入がほしい。税金のことなんて考えたくない。会うことにハードルのいらない「仲間」がほしい。
しかし、私は、収入・時間・場所の自由を得る選択をした。
だから今後は、「フリーランスのデメリット」と上手に付き合っていかなければならない。そして今、目の前にあるフリーランスの課題は2つ。
- 収入が不安定
- 仕事にメリハリがつかない
「不安定な収入」を少しでも安定させるためには、毎月固定額の仕事を得られると安心だ。ただ、長期でお付き合いするからこそ、できる限り「ストレスがたまらない仕事」を選んだほうがいい。「ストレスがたまらない仕事」とは、「好き」で「得意」で「人間関係がいい」仕事のことだ。
というわけで始めたのが、このメディア『SoloPro』の、編集の仕事。
『SoloPro』のミッションは「自分らしく生きる個人を増やすこと=幸せなフリーランスを増やすこと」。そのために、記事の作成をはじめ、イベントをしたりコミュニティを作ったりする。ミッションに共感できるから、記事作りも楽しめるし、リアルな場作りは私がやりたかったことのひとつでもある。
また、『Solopro』編集長の松田 然(もゆる)さんは、月の半分は国内外を飛び回る旅ライター。旅がしたくてライターになった私のロールモデルだ。しかもめちゃくちゃ性格がいい。言動の端々から相手を尊重していることが伝わってくるし、誰かの悪口を言っているのを聞いたことがないし、威張っているところも見たことがない。それでいて結構、業界のステークホルダーとつながっていて頼もしいのだ。つまり、人間関係においても安心感しかない。
だから私は、退職が決まってすぐ、松田さんに会いに行って「仕事くれ」と言った。実は、私が初めて松田さんに会ったのも、ライターになりたてのときにネットで松田さんの記事を見つけて「会ってくれ」と連絡をしたのがきっかけだった。暑かましさが身を助けることもある。
そしてもうひとつ、「仕事にメリハリがつかない」という問題にどう向き合うか悩んでいたが、最近、答えらしきものが見つかった。
独立してから連日すごく律儀に、朝ポジティブになって夜ネガティブになっている。「今日中の仕事」が終わっても、結局PC開いて仕事に関係のあることをしているからかも。リフレッシュの概念を失ってる。とはいえボーッとテレビを見るのもシャクだし、そんな私が今始めるべきは、運動だと思うんだ。
— 坂口ナオ(ぐっさん) (@skgc_n) 2018年3月4日
これについては、SoloProが運営する「FreeRun’s(フリーランズ)」というコミュニティが活動を助けてくれそうだと思っている。「FreeRun’s」は、オンライン上でお互いのトレーニング内容を報告したり、定期的に集まって運動したりするフリーランスのコミュニティだ。最近参加するようになった。私はビックリするぐらいに体力と根性がない。つまり、よほど運動に自信がない人でも私よりはマシなはずなので、はじめるなら今がチャンスだと思う。
今後は私みたいな人をハッピーにする活動をしていきます
私は人よりもすごく不器用だ。
それでも、会社で経験を積ませてもらったり、そこでたくさんの仲間と絆を結べたり、松田さんや『SoloPro』のような存在に出会えたことで、最初に独立したときよりずっと快適で、幸せなフリーランス生活を送ることができている。
とはいえ、フリーランスの課題も、その解決方法も人それぞれ。
これから私が『SoloPro』でやることは、そうした多様なフリーランスの課題に対して、いろんな角度から「解決のヒント」を提示していくこと。それは私にとって、フリーランスになりたてで右も左も分からず、失敗ばかりして泣いていた昔の自分を救う作業でもある。
あの頃の私や今の私が、「読んでよかった」「参加してよかった」と思えるような記事やイベントを、これからたくさん作っていくつもりだ。とはいえ、私はまだまだ未熟者だし、『SoloPro』は絶賛成長中のメディアだから、きっといろんな人の力を借りることになると思う。
「SoloProでこんな記事書いてほしい!」「いやむしろ私が書く!」「こんなイベントやってほしい!」「企画やらせろ!」みたいな意見があれば、気軽に声をかけてほしいし、声をかけてもらえなかったら、勝手に巻き込む(←おい)。
というわけで、独立を考えている会社員の方やフリーランスの皆さま、これからどうぞ、末長くよろしくお願いします!
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