『宅建士』という資格をご存知ですか?
マンションや一軒家を賃貸・売買するときに必要な不動産に関する国家資格で、実は、「転職や起業をしたい方にオススメの資格ランキング」でも常に上位になるほどの人気。
そして何より、特別な受験資格が設けられておらず、年齢性別学歴に関係なく誰もが平等にチャレンジできる「国家資格」です。
とは言っても、『宅建士』の資格を使ってどのような働き方が実現できるのか、どういった点が魅力的なのかすぐにはイメージしにくいですよね。
そこで今回の「オヤマdeワーキング(※1)」は、実際に静岡県小山町で不動産業を営む橋本 健一郎さんと、資格を活かして起業を目標としている静岡県富士宮市在住の芦澤 典子さんをお迎えし、対談形式でお話しを伺いました。
二人が静岡在住ということもあり、地方における起業や移住定住のヒント、資格を活かした女性の働き方のヒントもたくさん出てきましたよ!
(※1)オヤマdeワーキングとは:
地方でも自由に働くスキルを身につけるセミナーをテーマに、静岡県の小山町にて、働き方や暮らし方を考える講座やワークショップを開催。地元の方だけではなく、首都圏からアクセスの良い場所として積極的に首都圏の方々との交流も行う場としても開催しています。イベントの主催は静岡県 小山町役場 未来創造部 おやまで暮らそう課。町の行政が主体となって行う「女性活躍ネットワーク構築業務」の担当に、合同会社スゴモン(このメディア「SoloPro」運営会社)が任命されました。
■ゲスト登壇者
橋本 健一郎 (株)スイートホーム 代表小山町役場の前にある不動産会社。 住む人がいない空き家、空地を再生して、住居を探しているお客様にご紹介する業務に注力している。都市計画税導入にともなって、遊休不動産の今後について悩んでいる地主さんなどの相談も受けている。 |
芦澤 典子 8や 代表静岡県富士宮市在住。シングルマザーとして家事と育児の傍ら宅建士の資格を取得。5年ほどさまざまな事業所で実務に従事し、現在は独立開業に向けて下準備中。 |
■ファシリテーター
大楠翔一-合同会社スゴモン クリエイティブディレクター -Community space AERA オーナー3児の父親(男の子1人と女の子2人) 元大手化粧品会社にて、WEBマーケティングを担当。 現在はフリーランスとして、神奈川県に在住しつつ、静岡県富士宮市でコミュニティスペースを経営しながら、首都圏の企業を中心にWEBマーケティングのサポートやWEBメディアの製作などをしている。 |
Contents
『宅建士』って誰でもなれるの? 資格取得までの道のりと、取得後の働き方
ーー本日はよろしくお願いします!まずは、お二人が宅建士になった経緯を教えてください。
橋本 健一郎さん(以下、橋本):私は、もともと宅建士を目指していたというわけではなく、たまたまご縁があって今の仕事に流れ着いたといった感じです。
実家が埼玉県だったこともあり、大学卒業後は東京でサラリーマンをしていました。宅建士とは全く関係ない仕事ですよね。2~3年働き、退職した後は大学時代からの趣味だったウェイクボードを再び始めたくて山梨県の「山中湖」に通っていました。貯金も少なくなってきて、そろそろ就職しなきゃなと思っていたとき、移住をすればわざわざこっちまで通わなくていいじゃん! と気がついて(笑)。
そこで、山梨県のお隣、静岡県御殿場市のハローワークに行き、プロパンガスの会社に入社しました。仕事柄さまざまな資格を取得していくうち、だんだんと資格を取得すること自体が楽しくなってきて。趣味の一環で自分で勝手に取得した資格のひとつが『宅建士』なんです。その後、現在は静岡県小山町で不動産会社を立ち上げ独立していますが、資格を取った経緯は趣味を満喫するために移住したのがきっかけです。
ーーウェイクボードがきっかけで移住をされたり、趣味の一環で宅建士の資格を取得され、今ではご自身の会社を持つまでに……人生何があるかわかりませんね(笑)。芦澤さんはいかがですか?
芦澤 典子さん(以下、芦澤):私は小さい頃から家や土地に興味があり、新聞に挟まっている不動産のチラシの広告の間取りを眺めているような子でした(笑)。でもなかなか勉強をする機会もなく、実際に宅建士の勉強を始めたのは30歳を過ぎてからです。
きっかけは、実家の土地やアパートの管理を自分たち家族でできたらいいなと思ったからです。そのときはすでにシングルマザーだったので、学校に通って宅建士の資格を取得する時間はありませんでした。ネットで1番口コミの評判が良い参考書を購入して独学で勉強し、34歳で宅建士の資格を取得しました。
ーー独学でも宅建士の資格は取得できるのでしょうか?
橋本:できますよ。私も芦澤さんとまったく同じ方法で合格しました。評判の良い参考書を購入して、毎日ひたすら勉強しましたね。
芦澤:学校に通わなくても十分合格できる可能性はあると思います。その代わり、毎日きちんと勉強することがポイントです。
ーー芦田さんに伺いたいのですが、女性が宅建士になるメリットや具体的な働き方を教えてください。
芦澤:まずは先ほども触れた通り、学校に通わなくても資格取得が十分に可能な点は魅力的です。育児や家事と両立して勉強を進められるのは有難いですよね。結婚をして、1度会社を辞めたものの子育てがひと段落したからまた働きたい! という女性にとっても都合が良いと思います。
また、実際に働きだしたあとの待遇も良い点も魅力です。国家資格の有資格者は企業にとっても貴重な存在なので、たとえパートやアルバイトの雇用形態でも、無資格で働くより収入や雇用期間が安定しています。資格取得に時間とお金がかからないことや、安定して働けることは女性が宅建士になるうえで大きなメリットかと思います。
ーー資格取得までの経緯や働き方を見ても、宅建士は女性のライフスタイルにマッチしていそうですね! 『宅建士』の資格を持っていれば全国どこで働けると思うのですが、地方で起業ならではのエピソードはありますか?
橋本:私が起業して事務所を構える静岡県小山町には、都会とは違い、50年以上放置されていた土地などがごろごろあります。そういった土地をいざ売却しようとなると、申請や手続きが非常に複雑です。
また、ネットに載っていない土地も多いので車で町をぐるぐる巡回して自分で土地を探す必要があったります。お察しかと思いますが、都会と比べて工数や手間がかかるんです。でも、私はその複雑さや手間をかけることにもやりがいを感じています。難題を解決していく探偵のようで楽しいんですよ(笑)。地方ならではだと思いますが、住民の方との距離が近いので土地売却の交渉もしやすい傾向にあると思います。
ーーなるほど。橋本さんは、地方ならではの不便さの中にもやりがいを見出していらっしゃるんですね。
橋本:そうかもしれませんね。だからこそ、みなさんが稼ぐことを第一目的にしていたり、従業員をたくさん雇って会社を大きくしたいと思うと地方はなかなか難しいかもしれません。
私はひとりで自由にやっているので不都合なことはありませんが、都会でならもっと効率よく仕事ができますし、土地の値も高く売れます。地方における不動産業は、自分なりにやりがいや楽しさを見つけることに重きを置きたい人にとっては働きやすい環境だと思いますよ。
ーー生活をするうえでは、収入に困ることはないのでしょうか?
橋本:食べることに困ることは無いですが、繁忙期と閑散期の収入のやりくりは必要です。冬は閑散期なので、繁忙期の夏に向けて土地のリサーチや準備を進めています。通年を通して同じ収入額ではないので、仕事のリズムに合わせたやりくりは必要ですね。
「街づくりも宅建士の仕事」町を一緒に盛り上げてくれる仲間を支えていきたい
ーー静岡県小山町ならではの働き方やエピソードも出てきましたが、不動産業以外でも小山町でスタートアップの事業を始めるチャンスはあるのでしょうか?
橋本:あると思います。小山町って街として足りないものがまだまだたくさんあるんですよ。例えば、100円ショップやドラッグストア、喫茶店も足りていないように思います。住民からずれば、用事があるたびにわざわざ隣の御殿場などに行かなければならないのは、やはり不便かもしれませんね。都会と比べて不足しているものがたくさんあり、競合他社も少ないので事業は始めやすいと思います。
芦澤:私も、橋本さんと同じ意見です。女性目線で言うと、ネイルサロンなどおしゃれを気軽に楽しめる場がないのは意外と不便です。いきなり1軒家を借りて0から始めなくても、建物の一室を借りればすぐにでも始められそうですよね。迷っている方がいたら相談してほしいです。
橋本:そうですね。小山町で不動産業をする身として、「小山町でなにかやりたい! 」と移住定住をしてきてくださる方の想いを実現する場を用意するのも大事な仕事なので、そういったご相談は大歓迎です! 小山町は自然が多くて良いところ。だからこそ、みなさんと一緒に小山町にいるだけで生活が成り立つような街づくりを目指したいと思っています。
ーーお2人の熱い想いが伝わってきます……! 実際に小山町へ移住定住をすると助成金などは出るのでしょうか。
橋本:小山町へ移住、かつ開業をした方へは最大100万円の助成金が出ます。すでに小山町在住でも開業すれば50万円の助成金が出るので、いずれ開業しようと思っている方にとっても良い環境だと思います。
■小山町スタートアップ起業支援事業補助金
http://asuoyama.jp/information/3822/
ーーそういうサポートがあるのは嬉しいですね。
芦澤:諦めないで努力をした経験は、どんなことでも無駄にはならないと思います。私自身、宅建士の資格取得を目指したのは30歳を過ぎてからですし、シングルマザーで家事と育児の両立をしながらの勉強でした。その後、宅建士としてさまざまな職場を経て、今では開業の準備を進めています。もともと勉強が得意な方ではなかったため(笑)諦めずに努力した結果が実ったのだと思っています。もし、これから小山町でなにかしたい方がいれば、宅建士として、同じ女性として、力になりたいと思っています!
まとめ
『宅建士』の資格を活かした働き方や、資格取得のための勉強法など、貴重なお話しが盛りだくさんだった今回の対談。静岡県小山町ならではのエピソードも飛び出し、資格に関する知識だけでなく、地方への移住定住・開業や女性の働き方に対するヒントも得られたのではないでしょうか。
今回のイベントは、小山CF(コミュニケーションファクトリー)で行われました。今後も、地方や女性の働き方をテーマしたイベントを開催して行きますので、ぜひ学びに来てください。
http://solopro.biz/post_lp/oyama-communication-factory/
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