仕事は得意でコラボする。漫画家 小野友里恵さんの地方と首都圏を繋ぐ働き方

地方移住や地元へのUターンに興味があっても、仕事をどうするのかが気になって一歩を踏み出せない方もいるのでは?

たしかに首都圏には仕事は多くあるかもしれませんが、インターネットを通じてスマホやパソコンで簡単にコミュニケーションができる時代になり、場所の制約は徐々に薄れてきています。

そこで今回は、自分のスキルを生かして働く場所や時間をデザインしていきたい人に向けて、富士山の麓、静岡県駿東郡小山町在住の漫画家 小野友里恵さんの働き方をご紹介します。

キーワードは”コラボ”。

旅をしながら仕事をしているSoloPro編集長 松田然との対談にて、地方と首都圏をつなぐ働き方のリアルを探っていきます。

Contents

好きなこと得意なことに没頭すると、それが仕事になる

もゆる:小野さんのご出身は小山町なんですよね?

小野さん:はい。学生時代に漫画の専門学校に通うために東京に出た以外はずっとこちらにいます。小山町は静岡県ですが東京まで電車で通える距離なので、実は学生時代もずっと実家暮らしでした。

小野友里恵。「食べ部にイイネ!」「バツイチJK 1」などの作品を手がける漫画家。小山町の魅力をお届けするマンガ「おやまちっくれぽぉと」も担当。

 

もゆる:東京の専門学校を卒業してから、いきなり漫画家デビューですか?

小野さん:いえ、実は学生時代にはデビューはしていたんですが鳴かず飛ばずで。さらに親からは一度は就職して欲しいと言われていたので、22歳の時に地元の企業に入社しました。でも……

もゆる:でも?

小野さん:私には会社員が向いてないのがすぐにわかりました。毎日決められた時間に出勤しないといけないことや、数字が苦手だったのでパソコンに向き合いながら無理無理〜って叫んでました(笑) 仕事なんだから、やりたくないことを頑張るのも大切なのかもしれませんが、会社軸で生き方を縛られるのが私には厳しかったんです。

もゆる:人間誰でも得意不得意はありますもんね。ぼくも会社員生活より個人事業主生活の方が長いんですが、自己決定感がある働き方の方がパフォーマンスが上がるタイプだと思っています。

小野さん:得意のことをするって大事ですよね。私、学生時代は勉強や運動は苦手でしたが、美術は得意でした。それで漫画家という職業を知った時は、好きな漫画を読むことも絵を書くことも仕事になる……なんて素晴らしいんだ! と思いましたからね。

もゆる:好きなことに没頭していたら、それが仕事になってるって感覚ですね。もちろん大変なことも多いですけど、それでお金をいただける働き方ができれば幸せ度も高まります。

小野さん:そうですね。それで言うと、個人事業主という働き方も良いなぁと思っていて、特に時間を自由に使えるところなど

もゆる:会社員の頃と比べてどう変わりましたか?

小野さん会社員時代は5時半ごろに起きて出社することもありましたが、今は朝9時に起きています。そして、漫画家としてのエンジンがかかるのはだいたい夜21時頃から。その日に自分に課したノルマを終わらせるまでは働くので、気づいたら深夜1時を過ぎていることも多いですね。

もゆる:ぼくも、クリエイタータイプなので、早朝や深夜に時間を忘れて原稿や企画書を書いていることも多いです。自分の集中タイムを把握しているといいですよね。

得意を掛け合わせると仕事がうまく回る

もゆる:仕事の関係者との打ち合わせや連絡はどうしているんですか?

小野さん:一緒に仕事をしているパートナーがいて、東京の出版社とのやりとりや漫画の構成シナリオ作りなどは任せて、私は絵を書くことに集中しています。

パートナーのひかりちゃん(足立原光莉)は神奈川県在住なので、LINEなどでコミュニケーションを取って、同時並行というより橋渡しで「こんな構成にしたよ」「下書きに落としたよ」などとやりとりしあいながら進めていきます。

もゆる:遠隔でコラボしている仕事のパートナーがいるんですね!

小野さんはい。漫画家としてデビューした頃は全部一人で行なっていたのですが全然売れなかったんです。どうしようかなぁと悩んでいた時に、専門学校で出会ったひかりちゃんと「コラボしてみようか」という話になって。最初は記念になるしね、と冗談言いながら二人とも軽い気持ちでしたが、相性はぴったりでした。

もゆる:どんな点で相性の良さを感じたんですか?

小野さん:私は絵が得意だけどシナリオ作りなどは苦戦しがちで、ひかりちゃんはその逆だったので、うまく棲み分けができたんですよね。

もゆる:なるほど! ライターの世界でも、今ここで行なっているようなインタビュー(取材)が得意な人もいれば、黙々と記事を書くのが得意な人もいる、そういった得意同士を掛け合わせたコラボはぼくもよくやります。

小野さん:最初の5年は一人で、一度就職して、それから二人三脚体制になってもうすぐ5年になります。結果的には、コラボした時の方が仕事が断然しやすくなりました。

もゆる:ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、コラボすると売上もシェアする形ですよね? そこを気にさせれる方もいると思いますが、お金の面ではどう感じましたか?

小野さん:はい、五分五分でシェアしていますが、そもそも二人の得意を掛け合わせて仕事がうまく回るようになったのでむしろ感謝しています。

もゆる:コラボするメリットって、得意を掛け合わせることの他に何がありますか?

小野さん:一人の時はプレッシャーがあって、特にネタが出てこないとか……でも、相方がいてくれたから上手くいくことも多く、今ではこの人がいないとやっていけないと思っています。

もゆる:ステキなパートナーですね。インターネットでつながれば物理的な距離も関係なくなるいい時代だと感じます。

首都圏と地元の仕事で請け方

もゆる:読者の方の中には、地方で暮らすのもいいなぁと思っている方もいるかもしれませんが、小野さんの場合はどこに魅力を感じていますか。

小野さん:私は移住ではないので、地元の友達や家族がいつもそばで支えてくれるのが大きいですね。

もゆる:たしかに地元に戻るUターンなら、その点がとても大きいですよね。例えば、Iターンで何も馴染みがない人が小山町に来た場合はどうでしょうか?

小野さん:そうですね。ゆっくり過ごせますけど、コミュニティに入ったり、新しい友達ができないとやっぱり寂しいですよね。小山町の場合は東京から1時間半ほどのアクセスなので友達を呼びやすかったり、都内に出ることもそこまで苦ではないので、場所のメリットがあると思いますが。

もゆる:小山町、本当にアクセスがいいですよね。ここに住むとしたら他に何が魅力ですか?

小野さん:食べ物と水ですかね。蕎麦が美味しいですよ。

もゆる:わさびも名産ですもんね。自分も何箇所かのお店に寄って蕎麦を食べました。

小野さん:私は、小山町の魅力をお届けするマンガ「おやまちっくれぽぉと」も担当していて、主に小山町のグルメを漫画で紹介しています。

もゆる:おおっすごい! ちなみに小野さんオススメのグルメスポットはどこですか?

小野さん:「鬼太鼓」という蕎麦屋さんですね。

もゆる:いいなぁ。蕎麦食べたくなってきました。この「おやまちっくれぽぉと」はパートナーさんとコラボで作ったのですか?

小野さん:これは一人ですね。自宅の近くに住んでいる知り合いから依頼を受けて。首都圏の仕事は二人三脚でも地元の仕事は自分一人でできることなら自分でと、仕事によっても切り分けています。

もゆる:なるほど!勉強になりました。ライターの仕事もカメラマンやデザイナーとコラボして仕事をしたり、同業でもぼくの場合は旅先で出会ったライターとコラボして仕事をしたりします。距離が離れていても意識次第ではいろいろな可能性がありますね。ぜひ今度、テキストとマンガでもコラボさせてください。

あっ、最後に今オススメの著書はありますか? 

小野さん:現在は「バツイチJK 1」に力を入れています。無料試し読みもできるので、ぜひ。

 

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