「僕たちは何者にも染まらない」旅人美容師・桑原淳×旅ライター【好きを追求するフリーランスのガチトークVol.2】

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こんにちは! 恋する旅ライターかおりです。自身の好きやワクワクを追い求めてフリーライターとして生きる私と、同じく好きなことを追求するフリーランスのゲストとの対談を通じて働き方・生き方のヒントを発信する本企画。

Vol.2の舞台は、サブカルタウン・高円寺! お会いしたのは1000人ヘアカット世界一周の旅を経て、現在はカルピスが飲める美容室「Up to You」を経営している桑原淳さんです。「旅人美容師」として高い知名度を誇る桑原さんとのガチトークの末に見えてきたのは、「何者にも染まらない働き方」でした。

〜プロフィール〜

◎桑原 淳
1988年、山梨県生まれ。専門学校を卒業し、青山の美容院に就職。その後、退職し2014年4月より世界一周ヘアカットの旅へ出発する。2015年末に帰国し、3カ月後にビールが飲める美容室(現在はカルピスに変更)「Up to You」をオープン。現在は、サロンワークのほかにライター、ブロガー、オンラインサロン運営、ブログコンサル、セミナー講師など、多彩な顔を持つ。2017年7月から毎月2週間、海外を旅している。
http://junkuwabara.com/

 

◎恋する旅ライターかおり/小林 香織
2014年ライターデビュー。約15年間の会社員生活を経て、フリーランスに転身。気が向いたタイミングで恋するように旅をしながら、地球上にあふれている心ときめくストーリーを綴る。働き方を含めたライフスタイル、人生ストーリー、旅、恋愛、体験記など、幅広く執筆。ときどきライターの枠を超えて、イベントプロデュースなども手がける。生き方の選択肢を提供し、自由にライフスタイルを選びとれる人を増やすことがミッション。
http://love-trip-kaori.com/

Contents

しがらみから抜け出し、好きなことで生きるためにフリーランスへ

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南米・ボリビアのウユニ塩湖でヘアカットする桑原さん

かおり:桑原さんは美容室の社員として働いていた経験もあるそうですが、正直、組織のなかで働くのって窮屈さを感じませんでしたか?

というのも私は高校卒業後、当時大好きだったアイドルとの接点を作りたくてエンタメ業界に潜り込み、そこから10年ほどエンタメ系の組織で働きましたが、かなりしんどかったんです。信じられないぐらい冷徹な上司がいたり、ガチガチに固められたルールを押しつけられたり。自分の意見を主張するとワガママ扱い。でも、当時は会社員しか働く選択肢を知らなかったんです。

桑原:僕も同じで狭い世界しか知りませんでした。専門学校を卒業して、当たり前のように青山の美容院に就職して。美容師って自由に働けるのかと思っていたら思いの外ルールが厳しくて、窮屈さはすごく感じていましたね。150人ぐらい社員がいる大きな企業だったので、余計組織的な力が強かったんだと思います。

かおり:私は結局6回の転職を繰り返し、トータル15年会社員として勤めたあと、フリーランスの道を選びました。一歩を踏み出せたのは、編集ライター養成講座に通ってフリーランスとして生きる人たちと触れたことで、ソロで働くイメージがつかめたから。今、独立して1年半が経過し、この働き方なら願ったとおりのライフスタイルが叶うかもしれないって思い始めたところです。

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取材と旅をかねて訪れたタイ・チェンマイにて

桑原:僕の転機は神奈川に転勤が決まったことです。ガラッと環境が変わったことでモチベーションが保てず、退職しました。その後は日本一周したり、東日本大震災のボランティアをしたりするなかで、海外への強い興味と共に「やりたいことを先延ばしにしたくない」という気持ちが生まれ、「海外で美容師として働くこと」を目標として掲げるようになりました。

そのビジョンを達成するために美容室に再就職して、一人前の称号である「スタイリスト」に昇格。そして100万円が貯まったタイミングで、世界一周ヘアカットの旅に出発したんです。

かおり:海外で美容師になりたいと思っていたのに、世界一周の旅に変わったのはなぜですか?

桑原:いろんな可能性を洗い出してみようと思って、海外で就職、ワーキングホリデー、旅と選択肢を3つ掲げたんですが、やっぱり制約があるなかで働きたくなかったので、それなら旅かなって。そして出発する時点では、「帰国したら日本で自分の美容室をオープンしたい」というビジョンまで見えていました。でも、その資金をどうするかまでは考えてなかった。

僕がフリーランスになったのは、旅の最中に美容と旅関係のライターの仕事をもらえるようになってからですね。好きなことをするうちに、自然とフリーランスになっていた感じです。

ソロになったら、自分を表現するためのツールを持つ

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旅先でヘアカットする際は「Up to You(あなた次第)」と伝え、相手の好きな額を支払ってもらっていたそう

桑原:世界一周をするにあたってブログを始めたんですが、それは同じくヘアカットをしながら世界を旅していた美容師さんのアドバイスがあったからです。「美容師、世界一周」ってググったら、その人のブログがヒットして、すぐ会いに行ったんですよ。そうしたら「集客のためにブログをやったほうがいい」って言われて。

ブログのタイトルは「桑原淳 旅人美容師の1000人ヘアカット世界一周の旅」で、それは当時の同僚の女の子にアドバイスをもらいました。「1,000人ぐらい切ってきたらいいんじゃない?」って。

かおり:周囲の人にどんどん相談したんですね。突拍子もないような目標って、人に話すとき勇気がいりませんか?

桑原:僕の場合は仲がいい人とか、信頼できる人だけに言いますね。結果として、自分を表現するためのツールとしてブログを選んだこと、ブログのテーマを「旅と美容師」に絞ったことが功を奏して、ただの旅日記だったのに、あれよあれよという間に読者が増えていって。読者のほとんどが、僕と同じような旅好きの美容師さんでした。

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桑原さんが経営する美容室「Up to You」にて

かおり:ブログの執筆で心がけていたことって、何かありますか?

桑原:あるときから「美容師の働き方」とか「英語について」とか、日記だけじゃない価値を提供できるような内容に切り替えたところ、信じられないぐらいバズって。

2015年に書いた「【英語を笑う人】これに気づいてない日本人は永遠に英語を話せるようにはならない。」という記事は、ホリエモンがシェアしてくれたり、芸能人が反応してくれたりして、当時1日10万PVぐらい読まれました。この頃からライターの仕事も依頼されるようになったんです。

かおり:1日10万PV!? 個人のブログでそこまでバズるって、驚異的ですね。そのほかにも、SNSのフォロワーも世界一周中に4万人を超えたとか。

桑原:はい、とくに反響があったのがInstagramでした。毎日、世界の絶景やヘアカット中の写真を上げまくっていたら、Instagramの公式アカウントからお声がかかって、そこで僕のアカウントを紹介してもらえたんです。そうしたら一晩で15,000人ぐらいフォロワーが増えて(笑)。やっぱり「旅と美容師」っていうテーマが特殊だったからでしょうね。

かおり:そんな夢みたいな話があるんですね!? 私は先日やっと、Wordpressで個人ブログを始めたばかりなんですが、ちょっと希望が見えました。私も桑原さんと同じく、メインターゲットを同業者のフリーライターもしくはフリーライターになりたい人に設定しているんです。

嫌なことはやめる。判断基準は「自分が楽しめるかどうか」

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イタリア・ローマのコロッセオでヘアカット

かおり:桑原さんは帰国後、面貸し(※)で美容師として独立し、著書「世界を知るために旅に出たら日本を知る旅だった 世界一周1000人ヘアカット」を出版。とんとん拍子に高円寺で美容室「Up to You」をオープンし、さらにオンラインサロンのオーナーまで務めているんですよね。

※面貸し……美容室がフリーランスの美容師に場所と施術に必要な施設を提供して、対価を得るという運営形態。フリーランスの美容師は個人事業主として、面貸しする美容室と業務委託契約を結んで勤務する。

桑原:お店をオープンした直後はものすごく繁盛していたんですが、そのうち暇になってきたので、思いつく限りいろんなことをやってみたんです。そのうちの一つがオンラインサロンでした。嫌だったら続けていなかっただろうけど、いい反応が得られたり、コミュニティとして成長していくことが楽しかったから、だんだんオーナーの仕事が好きになってきて。

あとセミナー講師も時々頼まれるようになったんですが、講師業は最初は苦手でした。でも、できないのが悔しくてしゃべる練習をしたら、だんだん慣れてきて楽しくなった。そのあたりから、美容師、ライター、ブロガー、セミナー講師、オンラインサロン経営というベースができてきました。判断基準は「自分が楽しんで続けられるかどうか」、稼げそうなことでも嫌なことはやらないって決めてます。

かおり:私は今ちょうどライター以外にも手を広げて、オンリーワンの働き方を模索しているところです。先日は初めて、イベントプロデュースとファシリテーターを務めました。人とのつながりを生かせるイベントプロデュースはライターと相性がいいし、メディアと連動してイベントを企画することもできる。何より誰かと出会って、コミュニティをつくるのが楽しいから。

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SoloProでインタビューした仲本千津さんをゲストに招いて行ったイベントにて

かおり:ただ周囲のライター仲間たちは、続々と雑誌や書籍の執筆を手がけるようになっていて、きっとライターとして真っ当なキャリアはそっちの道なんですよね。私は書くことを極めてもいないのにあれこれ手を出していて、これで本当にいいのだろうかって思うことはあります。

桑原:美容師で例えると、今って美容業界全体の売上が落ち込んでいるんです。だから美容師としてのスキルだけを極めた結果、がんばっても売上が上がらず苦労している人が大勢います。ライターも一緒じゃないですか? この先AIが発達してライターの仕事が奪われてしまったら、書くことしかやってこなかった人は一気に仕事を失うことになる。

一つのことに固執しないで、その職業のあり方をもっと柔軟に変化させたほうがいいと思います。複数のことをやっていても、それぞれを関連づけていけば相乗効果が生まれますし。僕は今年(2017年)の6月から肩書きをなくしました。だって、まともに肩書きを名乗ると11個もあるんですよ。さすがにうざいでしょ(笑)。

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世界一周中に出会ったパートナー・ナオミ(愛称:キャンベル)さんとの美容室ウェディング

世界を旅している最中に出会った“幸せそうに働く美容師たち”は、共通して「固定概念に縛られていない人」だった。最後に桑原さんは、そんなことを話してくれました。

どこにでもいる平凡な美容師だった桑原さんは、当たり前のキャリアを外れて世界へ飛び出したことから、自分らしい働き方を手に入れた。

私も今は旅が好きなだけの、ごく平凡なフリーライターです。でも常識に捉われず、勇気を持って自分の好きを追求していけたら、そのうちオリジナルのカラーをまとえるかもしれない。生き方の選択はいつだって自由でいい。そう考えたら、心底ワクワクしてきませんか?

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