テクノロジーやゲームを活用し教育を仕組み化。営業手法や研修のビジネスモデルも資産づくりの視点が大事【オンライン×研修:千葉 順さん】 #はたサバ

記事のポイント

・自分がいなくても事業が回るビジネスモデルを構築することで、「時間・お金・場所」に縛られない働き方を実現。(例:研修講師業→研修ゲームの貸し出し)

・オンライン化によって、リアルな場で行う研修の価値はより高まる

・未来の自分のため「資産づくり」を行い、変化し続ける自分であること

新型コロナウイルスの影響で在宅ワークやオンライン上での仕事が増える中、自分のスキルとIT・テクノロジーを掛け合わせてどんなことができるのか ──。これからの働き方について想いを巡らす方もいるのではないでしょうか?

そこで働き方メディア「SoloPro」では、毎週月曜日21時〜「オンライン×働き方・スキル」をキーワードに、いろいろな業界の第一人者やチャレンジャーに、公開インタビューを実施。

「After/Withコロナ時代の働き方サバイバル戦略」略して、#はたサバ

6月22日(月)のゲストは、株式会社HEART QUAKE 代表取締役の千葉 順さんです。

主にビジネスの疑似体験ができるゲームを用いた企業研修・ワークショップ事業を展開しながら、ご自身は“半年働き・半年休む”働き方を実現している千葉さんに、働き方メディア「SoloPro」編集長の松田然が公開インタビュー。

数々のイベントでファシリテーターを務めているオンラインファシリのプロ 小林 千夏さんも招き、オンライン×研修をメインテーマに、千葉さんが考えるWith/Afterコロナ時代の働き方やキャリア、そして研修事業を行う上で求められるスキルをお聞きしました。

【ゲストプロフィール】■千葉順さん

1982年生まれ 神奈川県川崎市出身
高校時代に人工知能に興味を持ち、入学前に研究室を決めて成蹊大学 工学部(現:理工学部) 入学。卒業研究は「プログラミングを学ぶe-learningシステムの開発」

2005年、株式会社ワークスアプリケーションズ入社。システムエンジニアとして会計システムの開発に従事。同社を代表する10人の社員に選出される。また、毎年4万人が志望する同社のインターンシップ運営リーダーを歴任。

2010年6月同社を退社後、日本一周旅行を経て2010年10月、株式会社HEART QUAKEを設立。

2011年4月から2014年3月まで京都精華大学にてキャリアデザイン論の講師を務める。2018年より法政大学にて非常勤講師。(キャリアデザイン論)

【インタビュアー】

■松田然(もゆる)
働くをトトノエル専門家。
2010年に独立・起業。2013年に2社目となる、聴く・書く・伝える「合同会社スゴモン」を立ち上げ代表を務める。ライターになってから現在に至るまで3700人以上を取材しているインタビュアー。特に「働く」に関わる企業ブランディング、採用支援、組織活性などを得意としている
企業ブランディング構築・支援サービス「TotonouWork」運営代表。プロの働き方発信サイト「SoloPro」編集長なども務める。
趣味は自転車とサウナ。自転車旅しながらリモートワークで47都道府県全てを走ったり、週平均3.7回以上サウナに入っている(サウナ・スパプロフェッショナル)
ミッションは、「日本の働くをトトノエル」

Contents

起業の目的は「時間・お金・場所」の自由を得ること

もゆる
チバジュン(千葉順)とは約10年前に起業したタイミングが同じで、会社の場所もご近所だったので個人的にはだいぶ知り合い。ですが、あらためて、どんな仕事をしているのか教えてください。
千葉さん
「参加型・体験型」の研修・ワークショップを提供する株式会社HEART QUAKE の代表取締役を務めています。もゆるさんと出会った頃は個人向けのプログラミング教室などを行っていたけど、現在は、ビジネスの疑似体験ができる研修用ゲームを用いた法人向けのサービスをメインに事業を展開しています。
もゆる
ゲームを使った研修は具体的にはどんなサービスなのかな?
千葉さん
「ゲーム」×「◯◯◯◯(学ぶ内容)」の切り口でプログラムをつくっています。
例えば……
・「ゲーム」×「コミュニケーション」
・「ゲーム」×「財務会計」
・「ゲーム」×「メンタルヘルス」
など、学ぶ内容とゲームを掛け合わせるイメージです。
もゆる
難しいビジネスの知識も、ゲーム形式でなら楽しく学べそうだね!
千葉さん
まさに「ゲーム」という言葉で学習への抵抗を無くす狙いもあるんです。「財務会計の研修をします」と言うと、なんだか難しそう……と感じる人も、「ゲームをしながら学んでいきます」と言われれば、興味を持ちやすく受講するハードルも下がると思うんです。
もゆる
教育関係の仕事は起業する前からされていたのかな?
千葉さん
いいえ、会社員時代は、IT企業のエンジニアでした。
もゆる
独立する際、この事業をやりたいから起業します! って人もいると思うのですが、チバジュンはそうではなかった……?
千葉さん
教育分野で起業することは決めていました。でも、具体的に何をコンテンツとして売っていくかは決めてなかったですね。
もゆる
なにか意図があったのかな?
千葉さん
起業するときのコンセプトが「時間・お金・場所」の自由を獲得するための会社をつくるだったんです。だから先に事業は決めず、コンセプトに沿った事業を選び、展開していくつもりでした。
もゆる
なるほど、理想の働き方・生き方を中心にビジネスモデルを組んでいったんだね! そのために意識していたことがあれば教えてください。
千葉さん
自分の手を離れても事業が回るビジネスモデルを構築すること、ですかね。特に時間と場所に縛られず働くためには、属人化を避ける必要があります。今やっている作業量が10倍になっても耐えられるか? を考えながら、どんどん仕組み化していきましたね。
千夏さん
モデレーターの小林千夏です! 私も普段勤めている会社では人事として社員研修を行っています。具体的にどのように仕組み化をしたのか、気になります……!
千葉さん
仕組み化のカギは、先ほど触れたように研修をゲームコンテンツ化することでした。研修依頼が来たらゲームを貸し出し、講師がわざわざお客様先に赴かなくても研修が完結するようにしたんです。
千夏さん
研修って講師がいないと始まらないイメージがありますが、画期的ですね!
千葉さん
講師ありきの研修だと、属人化から抜け出せません。「この講師でお願いします! 」とご指名いただけるのは嬉しいことですが、売れている講師でも研修を実施できるのはせいぜい、1日2〜3件まで。でもゲームであれば、講師が出向かなくても実施できるので、20件・30件と請けられます。
もゆる
講師のスキルや経験に依存せず、いつも一定の品質・クオリティでサービス提供ができるのも良い点ですね! まさに、本来なら作業量が10倍になる依頼も仕組みで解決できる。
千葉さん
あとは座学だけでは習得が難しい「意思決定」も、ゲームでなら学べます。持っている知識をどう使うか? までシュミレーションできるのは実戦形式ならでは。ゲームなら失敗しても問題ないですが、実際の経営だと赤字になって倒産できないので簡単には意思決定できませんから。
千夏さん
なるほど。千葉さんの場合、起業した際のご自身の理想とする働き方のコンセプトに沿ったビジネスモデルを実現することが、ゲーム形式の研修につながり、その結果、楽しく実戦的に学べるコンテンツの提供ができているんですね。

“半年働き、半年休む”という仕事のスタイル

もゆる
以前取材をさせていただいたとき、“半年働き、半年休む”働き方を実践していると伺いました。その辺り、もう少し聞きたいです!
千葉さん
「売り上げ目標を達成したら、残りの期間は休む(新しい仕事を請けず次の年へ事業を仕込む)」サイクルを繰り返して、半年働き・半年休む働き方を創業した年から毎年実現しています。さらには毎年同じ売り上げ目標を設定する代わりに、昨年より早い期間で達成することを目指しています。結果的に、当初の目標値より売り上げは伸びていますが、売上より時間を作ることを大事にしています。
千夏さん
すごいですね。ただ、ビジネスモデルを仕組み化するのはイメージできましたが、営業の仕組み化やクライアントの獲得はどのようにしているのでしょう?
千葉さん
営業は苦手なので、強みであるインターネットやITを使った方法を駆使しています。そのうちの1つが、ブログマーケティングです。例えば、研修を探している人事がGoogleの検索ワードで「財務会計 研修 ゲーム」と打つと、弊社サービスを紹介するブログがページの一番上にヒットするよう戦略を練っています。
もゆる
ブログは、どのくらいの頻度で更新しているの?
千葉さん
毎日とまではいきませんが、コツコツ書いていますね。休んでいる期間も、ブログは書き続けます。このコロナ禍においてもそれは同じで、苦ではないですし、継続するからこそ効果が出るので。
千夏さん
強みを活かして仕事を獲得してるんですね!
千葉さん
強みを活かす、でいうと事業も同様です。僕は研修事業をしているにも関わらず、コミュニケーションが得意ではないんです(笑)。特に、話し慣れている人事や営業の方に比べたらとても叶いません。でもゲームにすることで、わざわざ弱みの分野で戦わず済みました。
もゆる
事業も仕事も強みで勝負できるようフィールドを選ぶことはとても大事ですね。

テクノロジーを活かした研修はさらに増える。同時に、人と会って研修をする価値も無くならない

もゆる
(緊急事態宣言や外出自粛になってから)研修の仕事はどう変わりましたか?
千葉さん
コロナ禍の影響で3月〜4月に実施予定だった研修は、ほとんどストップしましたね。その間、既存のゲーム研修をオンライン対応できるようシステム開発をしました。5月末にはリリースを完了し、6月から問い合わせをいただいています。またテレワークが進む中で、オンラインでの社内コミュニケーション活性化のためのオンラインチームビルディング研修「Oh! TEAM(おうちーむ)」を株式会社チームビルディングジャパンと共同開発しました。すでに販売も開始しています。
もゆる
さすが、エンジニア出身だとオンライン化への着手、そしてサービスのリリースも早いですね……! 今後、研修・教育業界もオンライン化していくのでしょうか?
千葉さん
テクノロジーを活用した研修は、避けては通れない時代になると思います。業界的にもコロナ禍になる前からeラーニングは売れている傾向にありました。今後はさらに、講師がITリテラシー・システムの基礎知識を身に着けておいて損はないと思いますね。
千夏さん
人と会って研修をする機会は、どんどん無くなっていくんですかね……?
千葉さん
いいえ。むしろオンライン化によって、リアルな場で行う研修の価値は、高まると思います。自粛期間中、誰かと話したい・会いたい気持ちを強く抱いた方もいると思うんです。人と触れ合うことは人間の本質だと実感し、リアルな場での研修は無くならないと確信しましたね。

研修は何を学ぶかも大事ですが、雑談や研修後の飲み会を含めたコミュニケーションの場を通じた学びや交流も価値があります。チームビルディング研修なんかは、特にですよね。テレワークの導入が進めば、職場のメンバーと会うことも減りますから、リアルな場で実施する研修はとっておきの機会になるかもしれません。

資産をつくる、未来の自分のために

もゆる
最後に、この企画で皆さんに聞いている質問ですが、千葉順さんのWith/Afterコロナ時代の #はたサバ(働き方サバイバル戦略)を教えてください!
千葉さん
未来の自分のために、資産をつくることですね。資産とは、後に残るもの。僕にとっては、ゲーム研修などの自社プロダクトやブログが資産に当たります。大学生の時に読んだ「金持ち父さん貧乏父さん」の影響もあるけど、資産は1日にして得られるものではないけど、毎日、毎年コツコツ積み重ねることで得られるもの。まさに継続は力なりだよね。
もゆる
たしかに、ライターもお客様から受託で仕事を受けると自分の資産にはなりづらいですよね。
千葉さん
例えばライターでも、クライアントワークしかやらない人と、自分のサイトやブログでコツコツ書き続ける人とでは、長い目で見ると残る資産や実績が違うと思うんですよ。さらには自分の時給(=価値)を上げるとクライアントからの仕事を断ることもできるようになる。
もゆる
自分の時給が低いと、来るもの拒まず請けて疲弊する割には資産が増えない、てよくあるよね。断れるって大事。そのためにも、クライアントワークでスキルを磨きつつ、だんだんと視点を変え「自分のプロダクト=資産」にも時間・労力をかける働き方ができるといいですね。
千夏さん
先ほど「ブログを書くのは苦じゃないから休みの期間も続けている」とおっしゃっていました。趣味の延長であったり無理なく継続できるものを、資産づくりとして始めるのがいいのでしょうか?
千葉さん
そうですね、Instagramとかでもいいと思います。私ともゆるさんの共通の友達でもある一人は毎日投稿をし続けて、フォロワーを10万人にまで増やしていました。コロナ禍は、コツコツと資産をつくる良いタイミングだと思いますよ。
もゆる
では最後に、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします!
千葉さん
人生100年と言われる時代です。長い人生、また新型コロナウイルスのような予想もしていなかった事態が起こるかもしれません。昨日と同じ日常がこれからも続いていくとは限らない。

だからこそ、変化し続ける必要があると思うんです。時代に合わせ、自分自身も事業も変化させる。そうして未来の自分の資産となる仕事をしていきたいですね。

 

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